波多野 蒼
これはある少女と友達になり、そして
ある少女を殺さなくてはいけないお話。
―潤井高校 2―3 朝会―
「はーい、みんな席につけー!
今日からお前達と、この教室2―3で
一緒に勉強することになった転校生だ」
そう言いながら僕達の担任の先生
桂木 統士先生が転校生を教室に招き入れた
髪型はショートで少し青がかった髪だ。
「初めまして、羽多野 蒼です…
今日からよろしく…お願いします」
えっ、かわいくない?連絡先聞こうかな!
私も友達になりたい!私もー!
などの言葉が飛び交い教室がすぐに湧いた
確かにかわいい、とは思う
「こら静かに!波多野が困ってるだろ!」
先生がキツめにそう言い放つと
教室の中は少し静まった
「んじゃあ、波多野はあそこの席に座ってくれ」
そう言われると波多野 蒼は
僕のすぐ後ろの空いた席に座った
通りすがりにいい匂いがしたのは得だったかもしれない
それはさておいて…
こうして朝に設けられる
15分ほどの朝会は終わり
僕達の教室に新しい仲間がやってきた
早速席を立ち上がり僕の元へ
歩き寄ってくる奴がいる
親友の海堂 照だ
「なあ月詩ー、お前いいなあ
蒼ちゃんすぐ後ろとかさー
消しゴムとか落として、あの…すみません
消しゴム…とってくれますか?
とか言われちゃったりしてさー!」
「うるさいてるてる坊主だまれてるてる坊主」
「誰がてるてる坊主じゃ!!!2回言うな!!
」
いつものようにお決まりの返しが返ってくる
でも少し違ったのは後ろから笑い声が聞こえた
振り返ると波多野 蒼が笑っていた
明るくてかわいい笑顔で。
しかしこちらに気付くと
笑ってなんかいないが如く
すぐに無表情へと変えてしまう
「えっと、僕は春野 月詩
こいつが親友の海堂 照
よろしく波多野さん…?でいいかな?」
「よろしく!!はたのっち!!」
「う、うん…よろしく…」
控えめな声と頷く動作
知らない所へ来たのだから
そりゃそうなるだろう
後、言わずもがなてるてる坊主の馴れ馴れしさか
「おい、てるてる坊主
馴れ馴れしくしすぎ、やめろ」
「ええー、じゃあ…はたのってぃ」
「だまれ」
「はい」
さっきと似たようなやり取りだが
波多野さんは笑わなかった
とーんちーんかーんこーん
とーんちーんかーんこーん♪
へんなチャイムと共に1限目が
始まりますという合図だ
しかし波多野さんが来たともあって
席につかず周りに男女が集まっている。
連絡先を交換している女子や
ただただ近くに来て波多野さんのことを
見に来ている男子やら目的は様々だ
ガラガラガラッ
「さあお前ら席につけー!
いつまでも騒ぐんじゃないぞ!
もう高校2年生だろー」
桂木先生のお出ましだ
しぶしぶ席へつく2―3の生徒
「では始める、起立!礼!着席。」
いつもとは少しだけちがう1日が
これからが、始まっていくのであった。