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ブラッディ・リヴァイアサン  作者: ホムラ
#01「強欲グール」
5/10

4

4.

「どんな時も正義を貫きなさい。それが人々を護る魔導騎士の役割なのだから」


 それが僕の父の教えだった。

 父は魔導騎士であり、僕はそんな父の姿に憧れ魔導騎士の道を志した。

 正義の道を行き、人を護る。それが魔術を使う才能を与えられた者の役割。

 そんな風に、幼い頃は呑気に考えていた。

 だが――

 

「君の父上は死にました」


 魔術実験の暴走爆発。街一つが消し飛ぶ大事故だったらしい。

 父はそれを収めるために街に向かい、人々を避難させ――その途中、爆発に巻き込まれたらしい。

 死体さえ残らなかった。

 それを告げられた時の衝撃は、今でも覚えている。

 絶対的に正しかった父上が死んだ。

 人生の進むべき目標が突然消えたような感覚。

 その時まで、僕は「正しければ、正義であれば大丈夫」なのだと考えていた。

 正しきに沿って、正義の道を歩めば、正しく人を護れるのだと。

 父が、そうだったのだから。

 だが、父は死んだ。正しくあったのに、人を護れず、死んだ。

 僕は膝から崩れ落ちそうになる。突然足元が――立つべき所が無くなったような感覚だった。

 それでも、その時立っていられたのは――必死に僕にしがみつく、妹の存在だった。

 同じく父の死を告げられたラピスは、懸命に僕に抱きついていた。

 まるで、溺れる者が藁に掴むように。

 僕が崩れたら――妹まで倒れてしまう。

 だから立った(・・・・・・)

 その時から、僕にとっての正義は少し意味を変えた。

 倒れてはならない。理不尽に屈してはならない。

 正義が負けたら、残された者に道は無くなってしまう。そのまま倒れるしか無くなってしまう。

 だから、正義は――負けてはならない。

 どんな事をしても、どんな状態にあっても、倒れず、負けず、屈せず――そんなモノでなければならない(・・・・・・・・)

 それが、僕の生きる指針となった。

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