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ブラッディ・リヴァイアサン  作者: ホムラ
#01「強欲グール」
10/10

9

9.

「兄さん!」


 血まみれの騎士団制服姿のまま帰った僕を迎えたのは、騎士団本部に保護されていたラピスだった。

 

「ああ、こんな血まみれで――また、こんな――」


 妹は僕の姿にショックを受けている。

 大丈夫、傷は治っている――と返そうとした所で、僕はふとあの男のことを思い出した。

 この事件の犯人。自分を犠牲にして、娘を生き返らせようとした男。

 何をしてでも、自分をどれだけ犠牲にしようと、目的を果たす。

 その点では、僕とあの男は同じなのかもしれない。

 ならば、自分を殺してまで目的を遂げたあの男の姿は――

 

「ごめん、ラピス」

「え?」


 僕は、ラピスの手を握りながら、謝っていた。

 ごめん、ラピス。心配させて。

 何をやっても、自分をどれだけ傷つけても誰かを護る。それが正義だと思う。

 正義は負けてはならない。正義は屈してはならない。正義は――折れてはならない。

 ()()()()()、不安にさせてごめんなさい。

 

「どうしたの急に、兄さん」

「いや、考えないといけないな、と思ってさ」


 自分を最後に死なせる正義。もしかしたら、自分の行く末にそんな未来が待っているのかもしれない。

 それは駄目だ。それは間違っている。だから――

 負けない正義。

 屈しない正義。

 折れない正義。

 そして――()()()()()正義。

 それを、見つけないと。

 そんなモノがあるのか、それは分からない。もしかしたらこの世のどこにも無いのかもしれない。

 それでも、探さなければならない。

 涙を浮かべたラピスの顔を見ながら、僕はそう誓った。

 

 ――ブラッディ・リヴァイアサン#01「強欲グール」完


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