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学校が教えない社会科・歴史・公民  作者: 学校が教えない社会・歴史・公民
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【令和学問のすすめ】米の国内生産が大ピンチ!!

「百姓を憐むことをもって、憲法の第一としたい。民の飢えや寒さを思い、貧窮の苦悩を知ることが重要」

島津義久


「万事について倹約を守るべきである。贅沢な生活を求めるには、下の人民から搾取しなければその出所がない。倹約さえ守れば、人民を困窮させず、侍から地下人や百姓にいたるまで富貴となる。国中が富貴になれば、大将も鋒先が強くなって、合戦の勝利は疑いない」

北条氏綱


「代官がもし私利私欲で悪いことをしたならば、百姓は容赦なく直訴してほしい」

島津義弘


「政治をやる人はもっともっと行政の対象の国民の立場になって考えてみるがいい。農民の生活の向上を叫びたい人は、農民の生活がどんなものかと体験してからにしてもらいたい」

白洲次郎


「何度学んでも悟らない人は、何度耕しても種をまかない人のようだ」

ジュームズ・フィニー・バクスター



さて、学生諸君には、いまいちぴんと来ない事かも知れないが、最近は「米」の価格高騰が続いている。


具体的には、去年に1月(2024年1月)の全国平均価格が、米5kgあたり「2168円」だったものが、今年2月(2025年2月)には、「3828円」まで高騰している。


参考までに書いておけば、2023年1月では「2033円」だった。


電気料金やガソリン・灯油・ガスなどの化石燃料の高騰も考えると、生活費の高騰は目を覆わんばかりだ・・・。


無論、これらの生活インフラに掛かる光熱費や輸送費の高騰で、米価格も高騰している事は間違いないが、実は他にも理由がある。


一番の「米」の高騰理由は、政治的な大失敗・・・。

つまり、「減反政策」による供給力不足だ。


≻「コメ価格上昇とインバウンド消費」


コメの小売価格が上がっている。これは昨年の猛暑による不作や品質低下とインバウンド(訪日外国人)による消費増のためといわれている。


しかし、2023年産米は作況指数101で平年作を上回っていた。品質低下なら価格は下がるはずだ。また毎月300万人の旅行者が日本に7日間滞在して日本人並みに食べたとしても、消費量は0.5%増に過ぎない。最近話したある外国人は、大正の米騒動で富裕者が攻撃されたように、日本を楽しむ外国人旅行者を妬んで悪者にするつもりだとまで疑っていた。もちろん我々日本人にそのような悪意はないと伝えた。米価上昇の根本的な原因は「減反(生産調整)」だ。


減反とは農家に補助金を与えてコメの供給を減らして米価を上げるものだ。数年前から農業団体は農家にもっと生産を減らすように指導してきた。農林水産省としては目的通り米価を上昇させて満足していることだろう。(中略)


1993年の平成の米騒動は冷夏が原因といわれているが、根本的な原因は減反である。当時の潜在的な生産量1300万トンを減反で1000万トンに減らしていた。それが不作で783万トンに減少した。しかし、通常年に1300万トン生産して300万トン輸出していれば、冷夏でも1000万トンの生産・消費は可能だった。


今は水田の4割を減反して生産量を700万トン以下に抑えている。しかも余裕のない需給操作なので、今回のようにささいなことで価格は変動するというのが実態だろう。

(日本経済新聞【十字路】(2024年8月1日付))より引用


とまぁ、主に「自民党」による農政の失敗が主な原因だが、流石に自民党ばかりの責任とも言えない部分はある。


この当事、日本人の米の消費量が、小麦粉製品の需要の高まり(パン・麺類など)などで減少し、米価を安定させる為に「減反政策」を実行した背景がある。


しかし、今だから言える事なのかも知れないが、減反政策を行わず、「高級ブランド米」として、少量でも海外への輸出を行い、保存した備蓄米を、品質が劣化した物から、製菓用や飼料用として、安価に販売する政策を行い、米の供給量を維持する政策を実行すべきだったと言えるだろう。


現在の無様な有様を見ればね?


国民の主食である「米」の安定的な生産量を維持する責任は、日本政府に有るのだからね。


そりゃ、食料自給率も落ちる一方なのは、主に「自民党」と「農林水産省」の責任であろう。


さて、タイトルの通り、米の国内自給が「大ピンチ」なのは、現在の「米」の価格高騰からも理解出来るだろうが、既に、最早取り返しが付かない所まで、日本の米農家は追い込まれている。


何せ、米農家が物凄い勢いで減少しているからだ!


≻「米農家「倒産・廃業」過去最多 「予備軍は10倍」との見方も 実効的な支援が急務」


米農家の倒産・廃業、前年比2割増

帝国データバンクは1月12日、レポート「『米作農家』の倒産・休廃業解散動向(2024年)」を公表した。2024年の1年間、負債1000万円以上の法的整理による倒産を集計したもので、倒産は6件、休廃業・解散(廃業)は36件、計42件が退出した。23年は35件だったので前年比約2割増で、年間の最多件数を更新した。


4分の1が「赤字」、過半が「経営悪化」

米農家の2023年度の業績は、最終損益で「赤字」が25.8%、「減益」が29.4%、合わせて「業績悪化」が55.2%にのぼった。

(JA.com)より引用


さらに悪い事に、米の産地の人口減少が、人口減少率ワーストに成るほど酷い有様だ!!


米の生産地TOP3が

1:新潟県

2:北海道

3:秋田県

なのだが、自然減含む人口減少率が


1:秋田県

9:新潟県

19:北海道

と成っているので、正に日本主食の「米」の生産能力の危機なのだ・・・。



≻【コメ作りの年間200万の赤字を給料で補填していた 】


50年前の親父の時代は、専業のコメ農家でも食っていけたんだが、今はとてもじゃないが食べてはいけない。俺のところは700俵(42トン)収穫できるから、個人レベルでは規模は大きい方だけど、兼業時代からずっと年間マイナス200万円くらいだったよ。


だから、サラリーマンで稼いだ給料を米作りにかかる費用に充てていたんよ。コメ作りで出た赤字分をサラリーマンの給与所得と損益通算すれば還付金が戻ってくるから、兼業ならなんとかやっていけるレベルだ」


「30キロ5万円になって、やっとサラリーマンなみの生活」


「去年の『コメ騒動』以降は問屋から30キロ2万円くらいの金額で買ってもらったけど、それまで何十年もだいたいその半額くらいの値段で推移してたからな。


若い子がコメ農家専業で普通のサラリーマンくらいの生活をしたいとなると、(買い取り価格が)30キロ2万円でも厳しいよ。田んぼの規模にもよるから一概には言えないけど、個人でやるなら30キロ5万円くらいになったとしたら年収500万円くらいの生活ができるんじゃないかな。


JAや米問屋は買い取った金額にプラスするだけだから儲かるんだよ。彼らが自分でコメを作らないのは儲からないのを知っているからさ。これまで名だたる大手企業が米作に参入してこなかったのは儲からないってわかってたからだ。


米の買い取り価格が安かったわけだから、規模が大きくなったところでたいした利益は出ないんだよ。それにコメ農家が年々減少しているから、少ないパイから利益を出すために農機具メーカーはどんどん値段を吊り上げていく。


コメの世界においては生産者だけが儲からないって感じだな。まあ農業全般そうなんだろうけどな」


「コメ農家は年々減少しているわけだからそりゃ足りなくなるよ」


「投機目的、買占めと、いろいろな要素があるのはあるんだろうけど、そんなのは微々たるもんだろう。政府も『もうコメが足りません』って言っちゃえばいいのにね。ただただ生産量が減ってコメがないってだけの話だと俺は思ってる。


もちろん消費者がパニックを起こすから国もそんなこと言えないだけで、本当はそういうことなんだと思うよ。コメの年間生産量が700万トンって言ったって過去から見れば半分近くと大幅に減っているわけだ。そのうえでコメの需要は上がっている」


訪日外客数、いわゆるインバウンドが昨年約3680万人と前年比4割増で過去最高を記録した日本では、コメの需給バランスも急激に崩れたようだ。

(集英社オンライン)より引用


このように、日本人の主食である「米」の国内自給率すら、最早危機的な状況なのだ!


もし、万が一にも戦争など起きようものなら、第二次世界大戦よりも酷い有様に成るのは、疑いようも無い。


これから、「米」の生産量を増やそうとしても、そもそも担い手も居なければ、有効な海外への販路も無ければ、備蓄米の二次使用の流通も確保出来て居ない。


今までの「自民党政権」や「官僚組織」が、如何に日本国民の安全を蔑ろにして来たかが、米の価格高騰問題からも理解できよう。


しかし、直ぐには回復出来ないからと言って、何も手を打たない訳にも行かない。


今からでも、高級ブランド米として海外への輸出先を確保し、備蓄米の飼料や加工用の二次使用の販売先を確保すべきだし、米農家を増やす為の「営農補助金」も出すべきであろう。


これは、米農家に限った事ではなく、担い手不足の「畜産業」「漁業」「その他の農家」にも共通のテーマであろう。


一番の解決策は、農業・畜産業・漁業・林業は、公務員化(出来れば国家公務員)して、国営化する事だろう。


そうすれば、設備投資に何千万円掛かろうとも(漁船の購入やトラクターなどの購入に、数千万円掛かる)国が支給すれば済む事だし、漁獲量や収穫量に関係なく収入が安定するから、人気職種になる可能性も出てくるのだ!


国民を飢えさせる政府や官僚など、問題外なのだよ。


以前から指摘しているが、食料の輸入ほど確実性の無いものはない・・・。


不作や経済制裁など、輸出先の政策や災害一つで、幾らでも供給不足に陥ってしまうし、今回の様に紛争等による燃料や穀物の高騰でも、不安定化してしまうのだからね。

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