サンファンバウティスタ号解体?!世界でも希少な木造復元ガレオン船
さて、今回は【慶長遣欧使節】が、航海に使用した国産ガレオン船、『サンファン・バウティスタ号』の話と、世界でも希少な木造復元ガレオン船で有るサンファン・バウティスタ号が、解体されてしまう事に成った経緯を解説する。
ちなみに、現在世界に存在する木造の復元ガレオン船は、宮城県石巻市の【サンファン・バウティスタ号】
東京ディズニーシーに展示されている【ルネッサンス号(正確な復元船では無い)】
スウェーデンの【ヨーテボリ号】等だが、現状海洋航行に耐え得る船は、【ヨーテボリ号】のみだ。
まずは、宮城県では学校で教わるけど、全国的には教わらない【慶長遣欧使節】について、軽く触れておこう。
>慶長遣欧使節は、慶長18年(1613年)に仙台藩主伊達政宗がフランシスコ会宣教師ルイス・ソテロを正使、支倉常長を副使として、スペイン国王・フェリペ3世、およびローマ教皇・パウロ5世のもとに派遣した使節である。
大航海時代にヨーロッパ勢力は、世界各地に植民地をつくっていた。植民地活動で先行していたのはカトリックのスペイン、ポルトガル[1]であり、太平洋地域に於いてスペインはフィリピンを植民地としてマニラ・ガレオンなどで多くの利益を上げ、ポルトガルはマカオを拠点にしていた。一方、植民地活動で遅れをとっていたプロテスタントのイギリス、オランダも、遅れを取り戻すべく積極的な活動をしており、徳川家康は、オランダの商船リーフデ号で豊後国(現・大分県)に漂着したイギリス人ウィリアム・アダムス(三浦安針)を外交顧問としていた。
こうしたなか、慶長14年(1609年)に前フィリピン総督ドン・ロドリゴの乗ったサン・フランシスコ号が上総国岩和田村(現御宿町)に漂着するという事件があり、慶長16年(1611年)には答礼使としてセバスティアン・ビスカイノがスペイン国王フェリペ3世の親書を携えて来日した。しかし家康は、スペイン側の要求であるカトリックの布教を許せば、それをてこにして植民地化されかねない、というアダムスの進言もあり、友好的な態度を取りながらも全面的な外交を開くことはしなかった。
このような状況のなか、伊達政宗は家康から許可を得て欧州へ使節を派遣することにした。慶長遣欧使節の主目的は仙台藩とスペインの通商交渉であったと言われる(スペインとの軍事同盟、さらにはそれを利用しての倒幕があったとする説もあるが、この説への反対意見もある)。一方、この使節はルイス・ソテロが自らの宣教師兼通訳と言う立場を利用して布教上の目的から企てたものであり、政宗らの権威がそれに利用されたに過ぎないとの主張もある。
政宗は仙台領内において、セバスティアン・ビスカイノの協力によってガレオン船サン・フアン・バウティスタ号を建造した。この造船には、江戸幕府から派遣された船大工も参加していた[6]。当時、フェリペ3世を国王とするスペイン帝国は、世界最大の植民地帝国であった。スペインは、ガレオン船の建造技術を国家の最高機密としており、造船技術を外国に漏洩した者を死刑に処していた。政宗はルイス・ソテロを外交使節の正使に、家臣・支倉常長を副使に任命し、ソテロや常長を中心とする一行180余人をヌエバ・エスパーニャ(現在のメキシコ)、スペインおよびローマへ派遣した。
(ウイキペディアより)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%85%B6%E9%95%B7%E9%81%A3%E6%AC%A7%E4%BD%BF%E7%AF%80
更に詳しく知りたい諸兄は、ウイキペディア等を参照して貰いたい。
ちなみに、ウイキペディアの内容は、仙台市博物館やサンファン・バウティスタ号が展示されている、『宮城県慶長使節船ミュージアム』の内容とも合致するので問題無い。
更に、【サンファン・バウティスタ号】自体の解説については、此方を参照の事。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%90%E3%82%A6%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%B9%E3%82%BF%E5%8F%B7
実は、サンファン・バウティスタ号が、2回も大航海している事が分かるぞ!!
>第一回航海
1613年10月28日(慶長18年9月15日)、サン・ファン・バウティスタ号は当時ノビスパン(新イスパニア)と呼ばれていたメキシコのアカプルコを目指して、月浦から出航した。『伊達治家記録』には、船の乗員は180名余りで、これに加えて商人がいたと記されている。使節団員で名前が出てくるのが支倉常長を含めて12名で、これとは別に向井忠勝配下の幕府関係者10名ほど、南蛮人40名ほどが船に乗っていたという。また、日本以外の記録によれば、ノビスパンで洗礼を受けた日本人は78名で、常長と共にヨーロッパに渡った随員は40名ほどだったとされる。
第二回航海
1616年9月30日(元和2年6月20日)、ルイス・ソテロの要求でサン・ファン・バウティスタ号は再びアカプルコを目指し浦賀を出航した。仙台藩の横澤吉久(将監)や、カタリーナ神父らスペイン人10人、向井忠勝派遣の船頭ら日本人200人が同乗した。その航海中に悪天候で船頭を含む約100名の水夫が亡くなった。船は1617年2月23日(元和3年1月18日)にカリフォルニアのロス・モリネスに到着し、その後、アカプルコへ航行した。この頃、日本とスペインの関係は冷え切っており、前回と同様にサン・ファン・バウティスタ号の再来は歓迎されなかった。また、悪天候による船の損傷を修理する必要が生じた。
(ウイキペディアより)
木造のガレオン船が、2回も日本から海外へ大航海したのだから、感嘆を禁じ得ない!!
しかも、日本人の船大工が作った船でだ!!
勿論、東北地方の船大工が作った。
これだけでも、全国区で教える意義は有ると思うのだが?
てか、北米にも立ち寄っているのは、驚きだろ?
で、その日本における歴史的な快挙を成し遂げたサンファン・バウティスタ号の復元船が、東日本大震災による被災で船体などに歪みが生じ、宮城県の指示により、解体されそうに成っている。
ちなみに、現在解体停止訴訟中だが、余談は許さない。
>【サンファン号解体差し止め訴訟、原告が意見陳述】
宮城県慶長使節船ミュージアム(石巻市)にある木造復元船「サン・ファン・バウティスタ号」を巡って、市民団体が村井嘉浩知事に解体工事の差し止めを求めた訴訟の第1回口頭弁論が7日、仙台地裁(大寄麻代裁判長)であった。県は今年度中に工事に着手する計画で、請求の棄却を求めた。
復元船は1993年に完成。2015年の県の調査で老朽化が判明し、17年に県が解体の方針を打ち出した。
訴状で、船の改修案を複数示した上で「後継となる展示物を作る費用は、改修保存の費用に比べて不当に過大な可能性がある」と指摘。県の判断の過程に問題があったとし、解体工事の契約締結は知事の裁量権の乱用だと主張する。
この日は、伊達家の分家、宮床伊達家の子孫でもある都甲マリ子さん(36)が原告の1人として意見を述べた。「私たちや下の世代にまで、伊達政宗の功績の歴史と、郷土の誇りを伝えていく努力を共にしてほしい」と呼びかけた。
県は原寸大の再建を見送る一方、4分の1サイズのプラスチック製の新船を建設する方針だ。だが、原寸大の木造船の取り壊しには反対が根強く、市民団体は20年2月、保存を求める国内外3千人超分の署名を県に出した。
(朝日新聞デジタル)
https://www.asahi.com/articles/ASP976TSRP97UNHB00C.html
ちなみに、サンファン・バウティスタ号の復元には、宮城県内から5億6,000万円の募金が集まった。
宮城県の支出分は、約10億円となる。
確かに、サンファン・バウティスタ号の維持管理には、それなりの費用が掛かる。
保存案に出ている、ドライドック(地上に陸揚げするドック)による、乾燥保存案なら、現在の水中ドックよりも、維持管理費を節約出来るし、木造船と言う意味で、海水や二枚貝等による腐食も防ぐ事が可能だ。
しかも、宮城県民からの募金も、サンファン・バウティスタ号の復元費用に使われており、県民からの反対が有るのなら、費用問題による解体を行うのは、宮城県の越権行為と言われても致し方ないし、サンファン・バウティスタ号の歴史的な背景や、世界的にも希少な『木造復元ガレオン船』を、安易に廃棄して良い物とは思えない。
ましてや、宮城県石巻市にして見れば、被災後の観光資源としても、サンファン・バウティスタ号は貴重だ!!
結局このサンファン・バウティスタ号の解体問題にしても、新自由主義による小さな政府論の、緊縮財政が問題なのは間違いない。
それこそ、安倍内閣当時に、『外国人観光客が〜!!インバウンドが〜!!』と、安倍晋三自身が喚き散らしておいて、その歴史的にも貴重で、かつ観光資源としても重要な、サンファン・バウティスタ号の保存費用は
※『宮城県の自己責任!石巻市の自己責任!!保存費用が無い?なに〜?聞こえんな〜(笑)www』
と言う事に成るよな?
観光資源だよ?インバウンド推進じゃないの?
これが、新自由主義者の手前勝手な、いい加減な考え方の見本だ!!
本当に呆れて物が言えない!!
文化財的な価値も、観光資源的な価値も持ち合わせている、サンファン・バウティスタ号を解体して、4分の1の模型にする?!
しかも、FRPで?!
ふざけてんのか?!
これもまた、新自由主義の成れの果てだ!!
文化財保存など、新自由主義者からすれば、無駄なコストに過ぎない。
やりたければ、自己責任でやれと言う事だ!!
つまり、『観光は煽るが、それに掛かるコストは地方自治体で賄え、俺は知らんけどな(笑)www』と言う事だ。
全く筋が通らない!!
宮城県慶長使節船ミュージアムの運営費だけで、ドライドック保存しようとしたら、入場料が、とてつもなく高くならざるを得ない。
博物館は、文化振興の意味も有るから、バカ高い入場料を取る訳にも行かないし、入場者も減ってしまう。
博物館は、ディズニーランドの様な、遊園地では無いのだからね。
こんな所にも、新自由主義の悪弊が襲って来ている。
如何に、貨幣論を正しく理解する事が大事で、経済政策がどんな政策よりも最重要なのかの証拠なんだよ。
是非、サンファン・バウティスタ号が抱える諸問題を理解して、できればサンファン・バウティスタの解体に、反対してくれれば幸いだ!!
※【サン・ファン・バウティスタ号を保存する会】
https://www.facebook.com/pages/category/Society---Culture-Website/save.sanjuanbautista/posts/
どうだったかな?
今週は長かったのであとがきは無し!
世界的に見ても貴重な、木造復元ガレオン船、サンファン・バウティスタ号の解体に反対してくれる読者諸兄は、是非とも市民団体を応援して欲しいぞ!!




