プライマリーバランス黒字化目標や緊縮財政の行き着く先 宮城県の現状
日本政府の緊縮財政による、プライマリーバランス黒字化目標が、如何に地方の活力を奪っているかを、実例を元に解説していきます。
まず、基本的な事ですが、プライマリーバランス黒字化目標とは、財政支出と税収のバランスを、均衡もしくは黒字化させると言うものです。
政府の税収が、財政支出に対して黒字化すると言う事は、簿記会計の原則からすると、国民の赤字化を意味します。
誰かの負債が無ければ、誰かの資産には決して成らないからです。
負債だけが、一方的に積み重なる事は、天地がひっくり返っても絶対に起きません。
つまり、政府が赤字化していれば、国民は黒字化している事に成ります。
例えば、30兆円の国債発行をし、政府が財政支出を増やせば、公共投資であれ、社会保証であれ、必ず国民の黒字と言う事に成ります。
新しい道路が出来て、何か困る事が有りますか?
便利に成りこそすれ、不便に成る事は普通はあり得ません。
これも、公共インフラと言う、立派な国民の資産なのです。
社会保証が増えて、何か困る事が有りますか?
生活が楽に成りこそすれ、困る事は無いはずです。
それは、特別給付金10万円で、簡単に分かって頂けたはずです。
日本政府が国債発行により、国民に特別給付金10万円を交付した事により、皆様の資産が、確実に10万円増えた訳ですから。
国家財政的な意味において、日本政府が赤字化しない限り、日本国民は黒字化しません。
ですので、プライマリーバランス黒字化目標とは、国民の赤字化目標であり、最初から、大変おかしな政策目標なのです。
誰の得にも成りませんからね。
日本政府が、幾ら資産を持っていても、国民の為に使われなければ、何の意味もありません。
何せ日本政府は、民間で言えばNPO法人なのであり、非営利団体なのですから。
それすら分かっていないのが、今の財政破綻論者と、緊縮財政論者の政治家と言う事に成ります。
ちなみに、財務省は、日本政府が資産を黒字化させても、何も良い事がないばかりか、誰も得をしない事は分かっております。
分かっていながら、緊縮財政を主張しているのだから、最悪なのです。
さて、宮城県、特に白石市において、この、新自由主義的な小さな政府論から来る、日本政府による緊縮財政の影響により、次々と公共インフラが、民営化されそうに成っております。
まず、白石市に特化した話では、公営病院の民営化問題が有りました。
宮城県白石市の、公立刈田総合病院を運営する、市外二町組合管理者の山田裕一市長は21日、指定管理者制度による、公設民営化に向けた条例改正案を、8月にも組合議会に提案する意向を表明した。
病院であった正副管理者会議で副管理者の蔵王、七ケ宿両町長に伝えた。
出典、河北新報。
これは、地域住民などの反対により撤回され、市立病院設立に向かう流れと成りました。
さらに、宮城県においては、水道民営化が可決成立してしまっております。
宮城県は水道施設を保有したまま、民間企業に上水道と下水道、工業用水の運営権を一括で売却する「みやぎ型管理運営方式」を目指している。
コンセッションで売却対象となるのは、上水道が大崎広域水道事業など2事業、下水道が阿武隈川下流流域下水道事業など4事業、工業用水が仙台北部工業用水道事業など3事業。
対象区域内に約190万人が居住する。
売却後は、民間企業が20年間運営することになるが、最終責任は施設保有者の宮城県が持つ。
宮城県は、専門家で構成する新組織を設けて、企業による運営状況をチェックするほか、現在の水質を維持するために水質検査を宮城県が実施し、独自に設定した13項目について法律より厳しい基準を設定した。
出典、ビジネスプラスIT
ちなみに大阪市も、水道民営化法案を継続審議中です。
さて、何故地方自治体が、この様な公共インフラや、公共サービスの民営化を推し進めるのか?
勿論、地方自治体の税収。
つまり、予算が無いからです。
地方自治体の予算不足の原因は、多岐に渡ります。
それは、少子化であったり、住民の都会への流出による、住民不足であったり、地方消費税導入による、地方交付税の削減であったり、長年のデフレによる、地域住民の収入不足などですね。
都会地域とは異なり、最初から公共インフラや公共サービスに不足がある地方自治体においては、住民の流出が止まらないと言う現実があります。
そりゃあ、特に若い人達にして見れば、将来性の無い地方に住むよりも、仕事も沢山あって、公共サービスや公共インフラが充実している、都会地域へ住みたく成るのは仕方がありません。
それが、さらなる税収不足の悪循環を生み、予算不足から、公共インフラや公共サービスを、民営化せざるを得ないと言う事に成ってしまっているのです。
何せ、地方自治体は、中央銀行も通貨発行権も持ちませんから、地方債を乱発すると、普通に債権不履行に陥り、北海道の夕張市の様に、財政破綻してしまいますからね。
つまり、地方自治体は、本当の意味で、限られた予算内でしか、財政支出が出来ないのです。
さて、水道民営化にせよ、公営病院の民営化にせよ、これ等の政策には、公設民営化。
つまり、管理監督は地方自治体が行い、運営そのものは、民間業者が行うと言う話に成っております。
こうした運営方式は、既に地方自治体のコミニュティバスや、ゴミ回収業務などで、行われている方式でも有ります。
バス運行の場合は、地方自治体がバス会社を設立管理し、バス運行と経営は、民間企業が受託すると言う形に成っております。
これは、バス運行受託業者にとっては、かなりの旨みの有る話に成ります。
何せ、地方自治体が必ず運営費用を支出してくれますから、食いっぱぐれが無い、安全確実な仕事なのです。
乗客が少なくて、空気運びと呼ばれ様が、受託業者には痛くも痒くも有りません。
確実に、赤字は出ませんからね。
たとえ、利益が出なくてもね。
こうした事を、一般的には利益誘導や、利権誘導と申します。
利益が出なくても、絶対に倒産しないのならば、経営者なら、そんな楽な仕事は誰でもやりたいはずです。
その上、受託業者の自分は、赤字にも成らない。
これが、水道民営化や公営病院民営化などの、公共インフラや公共サービス民営化の、最大の問題点なのです。
なにせ、普通の民間企業からすれば、不公平極まりないと言う事に成ります。
倒産するリスクを、一切背負わなくて良いのですからね。
競合他社がいない、水道などはともかくとして、バスや病院は、受託出来なかった普通の民間企業からすれば、極めて不公平です。
倒産のリスクを抱えて、同じ土俵で勝負させられているのですからね。
さらに、こうした公共サービスや公共インフラの民営化は、そもそも提案者が主張する様な、コスト削減効果が有るのか?
極めて疑わしい所に有ります。
地方自治体が運営するにせよ、受託業者が運営するにせよ、コスト削減効果が有るとするのならば、公共サービスの質の低下をするか、人員削減をして、効率化するかしか方法が有りません。
サービスの質の低下が無いとするのならば、人員削減から効率化などの設備投資をして、利益幅を上げるしか方法は無いはずです。
例えば、バスで例を取れば、運行台数や運行時間を減らしてコストダウンをはかる。
この場合、バスの運転手も減らせますので、人件費を抑制出来ます。
バスを中古のポンコツを買って、ガタガタと乗り心地の悪い車両を使って、車両購入費を減らす。
つまり、サービスの質の低下です。
バスが一日に1往復しか来ない。
そもそも、バスの乗り心地が悪い。
何方も、サービスの質の低下ですよね?
これは、公営で有ろうが民営で有ろうが、基本的には同じ事です。
何のリアクションも起こさずに、大幅なコストダウンが、はかれる訳が無いのですよ。
人件費も減らさない、品質の低下も起こさない、高効率化の設備投資もしない。
これで、コストダウンが出来るのなら、経営者は、泣いて教えを乞うことで有りましょう。
つまり、水道民営化に代表される、公設民営化で、大幅なコストダウンが可能とされる試算が正しいとするのならば、人員削減か、高効率化の設備投資か、品質の低下が起きない限り、100%有り得ないと言う事に成ります。
ましてや、宮城県知事の村井氏が主張する様な、将来的な人口減少により、現在の水道契約者の、70%に減少すると言うのならば、確実に水道料金は、民営化しようが公営のままだろうが、値上げされる事に成るのですよ。
この時点で、彼の主張がおかしい事は、明白なのですよ。
そして、地方自治体がこうした行動をとる背景には、日本政府による、小さな政府論から来る、悪質な緊縮財政が有るのです。
日本政府が、日本銀行に命令を出して地方債を買い取り、ある程度地方債の発行権を、地方自治体の自由裁量に任せていれば、こうした公共サービスや公共インフラの民営化問題は、一つとして起きるはずが無いのですよ。
こうすれば、地方交付税の発行も全面的に要らなく成りますので、中央省庁の手間も省けて、公共サービスの効率化にも繋がります。
地方債の発行の自由裁量とは、つまりは、地方自治体による、通貨発行と同じ事なのですから。
いずれにせよ、地方自治体が、公共サービスや公共インフラを民営化せざるを得ない背景に有るのは、日本政府による緊縮財政と、長年に渡るデフレが主な原因と成っております。
そもそも、デフレスパイラルが収まらないのも、デフレ下において、消費税を代表とした、増税を繰り返した日本政府による緊縮財政が原因なのです。
公共サービスや公共インフラの民営化は、全て緊縮財政が主な原因で有ると言う事を、ご理解頂ければ幸いです。
どうだったかな?
今回は長かったので、後書きは無し。
先日から『ゆっくりバージョン』の政治経済解説動画をYou Tubeに投稿している!
今の所、動画の再生数もチャンネル登録者も【めっちゃ】少ないから、見て貰えて無いのは確か(泣)
一応今の所、アップロード済の『ゆっくり解説動画』の在庫切れまでに、チャンネル登録者や再生回数がメインページを越えなければ、『ゆっくり解説動画』は終了とします。
作るのがスゲえ面倒くさいから(泣)




