夏休み特別企画!自由研究用解説【経済波及効果】(中学3年生〜高校生向け)
今回は、夏休みの自由研究のテーマ用に、おじちゃん的なチョイスで、解説をして行こうと思う。
ルールとして、この解説を参考に、資料や発表用の素材等が必要な読者は、それぞれ自分で用意する事!
あくまでも、夏休みの自由研究用の解説素材なので、それぞれのテーマの解説【のみ】だから、これを元手に、自分のスタイルで、自由研究を完成させて欲しい。
ある程度は、参考資料のリンクは貼っておくので、それ等を利用して、頑張って作成して欲しい。
【経済波及効果】とは?
一つのイベントや事象が発生した際、その経済効果は、「直接効果」、「一次波及効果」、「二次波及効果」の三種類の経済効果の合計で算出される。
例.世界遺産の登録
【直接効果】
登録された観光地に観光客が訪れ、飲食をして、宿泊して、お土産を買う。これらの消費をまとめて直接効果と呼ぶ。
【一次波及効果】
観光客の飲食は、飲食店に食材を卸している企業の売上を増加させる。このような企業の売上増加額を一次波及効果と呼ぶ。
【二次波及効果】
直接効果、一次波及効果によって企業や商店の売上が増加すると、それらの企業や商店の経営者や従業員の所得が増加する。その結果、経営陣や従業員はその所得増加の一部を消費に向ける。その消費増加額を二次波及効果と呼ぶ。
したがって、「ある市の観光の経済効果が10億円である」とは、その市に10億円の収入や税収があったということではなく、その観光の関連企業、下請け企業、周囲の産業などを含めた多くの関連企業の売上が増えたということである。
(出典 ウイキペディア)
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%8A%B9%E6%9E%9C
要するに、一つの事業者が、何らかの経済行動を起こすと、それに付随して、関連する事業者にも、『経済波及効果』が及ぶと言う事です。
これの逆の効果、つまり、関係事業者が損をして行く場合も有り、その場合は『負の経済波及効果』などと言います。
【負の経済波及効果の例】
例えば、現在のコロナウイルス問題により、外出自粛など、外食産業やサービス産業が、時短営業や休業を要請されて、来客数が、通常営業時よりも減ってしまいます。
【負の直接効果】
仮に、『レストラン』を例にすると、レストランの営業自粛や時短営業により、レストランの収益が減ってしまいます。
【負の一次波及効果】
レストランに食材を卸している事業者が、レストランの営業自粛や時短営業により、食材の納入量が減って、収入を減らしてしまいます。
【負のニ次波及効果】
レストランの売上げ減少により、レストランの経営者や労働者、レストランに食材を卸している事業者の、経営者や労働者の収入が減ってしまい、消費を減らしてしまいます。
つまり、ある事業者が収益を減らしてしまうと、それに関連した事業者全てに、影響が及んでしまうと言う事です。
この事こそ正に、『1を聞いて10を知る』と言う事ではないでしょうか?
※『1を聞いて10を知る』とは?
【ものごとの一端を聞いただけで、全体を理解出来ると言う事。非常に賢くて理解が早い事の例え。】
一つの事象により、幾多もの現象が起きてしうのですからね。
実際に【経済】とは、単一の物事だけでは、済まされないものなのです。
ゆえに、税制を誤ると、現在の日本の様に、30年間にも及ぶ長期間のデフレ、つまり、不景気に陥ってしまうのです。
わかりやすい例として、消費税で解説致します。
(注 何度も消費税を取り上げてますが、それだけ問題が根深いのです)
【消費税】とは、消費を抑制させる政策効果を実現する為の税制であり、それ以外の目的は有りません。
それは、日本および自国通貨建て国債を発行出来る先進国は、税金が国政における財源では無いからです。
【先進国においては】
※自国通貨建て国債を発行
※自国通貨発行権を持つ
※自国通貨が、変動為替相場制である
場合は、どう頑張っても財政破綻は出来ません。
自国通貨建て国債の発行とは、自国通貨の発行と同じ意味なので、実際には、一般的に言われている、いわゆる『国の借金』では無いのです。
通貨発行の流れは?
1 銀行が国債を購入すると、銀行保有の日銀当座預金は、政府の日銀当座預金勘定に振り替えられる
※政府は国債を発行し、現金紙幣ではなく、日銀当座預金残高を「借りる」という話です。
2 政府は財政出動の際に、請負企業に政府小切手で代金を支払う
※政府は日銀当座預金を担保に、「政府小切手」を発行するのです。(通貨発行)
3 企業は政府小切手を銀行に持ち込み、「政府からの取り立て」を要求する
4 政府小切手を受け取った銀行は、相当する金額を企業の預金口座に記帳すると同時に、代金の取り立てを日銀に依頼
※この時点で新たな民間預金が増え、マネーストック(市中に流通する通貨)が拡大します。
5 日銀は、「政府保有の日銀当座預金」の該当額を、「銀行保有の日銀当座預金」に振り替える
6 銀行は、戻ってきた日銀当座預金で、再び国債を購入することができる
中野剛志著「富国と強兵」から引用
自国通貨が、変動為替相場制でなければならない理由は、ドル固定相場制では、貿易を行うに辺り、外貨を得るために、外国通貨建て国債(ドル建て国債)を使わざるを得ないからです。
自国通貨が、国際決済に使えない、又は、ドルを得るために、自国通貨の国際的な信任が低いと、1ドルを得るために、自国通貨を大量に使う必要が生じるため(例えば1ドル1000円など)、ドル固定相場制でないと、外貨獲得を、得られないためです。
発展途上国は、国内総生産(GDP)が低い。
つまり、国内の供給能力(財やサービスの生産能力)が低いからこそ、外国から、財やサービスを輸入せざるを得ず、外貨獲得が必須に成るので、ドル固定相場でなければ、輸入品の価格安定が出来ないのです。
これが、発展途上国や新興国が、先進国とは税金の性質が違う理由です。
これが、いわゆるMMT(現代貨幣理論)と呼ばれているものの概要です。
ちなみに、通貨発行の流れについて(MMT)の正しさについては、財務省が認めております。
【外国格付け会社宛意見書要旨】
(1) 日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。デフォルトとして如何なる事態を想定しているのか。
(出典 財務省)
https://www.mof.go.jp/about_mof/other/other/rating/p140430.htm
(注 デフォルトとは、財政破綻の事)
これをふまえると、『消費税は政府の財源では無い』事がわかります。
なので、『消費税とは消費を抑制させる政策目標の為だけに施行される』が正しいのです。
簡単に言えば【消費税とは、消費に対する罰金】と同じなのです。
ですので、【消費税】とは、そもそも『負の経済波及効果』を、持っているものなのです。
【負の直接効果】
消費税により、消費行動を行う度に税金を徴収される事から、個人収入の可処分所得が減って、家計支出が減少します。
【負の一次波及効果】
個人消費が減る事により、各企業の売上が減少します。
【負のニ次波及効果】
各企業の収益が減少したため、各企業の経営者や労働者の収入が減少します。
【負の無限ループ(デフレスパイラル)】
経営者や労働者の個人収入が減り、家計支出が減少します。
消費税による、可処分所得の減少→各企業の売上減少→経営者や労働者の個人収入減少→消費税による、可処分所得の減少(以下繰り返し)
これが、日本が長年のデフレスパイラルを繰り返して来た流れになります。
この逆で、減税や消費税廃止などの財政支出を増やす事により、『黄金循環』と呼ばれる、【正の経済波及効果】も起こります。
【正の直接効果】
消費税廃止や減税により、個人の可処分所得が増え、家計支出が増えます。
【正の一次波及効果】
個人消費が増える事により、各企業の売上が増えします。
【正のニ次波及効果】
各企業の収益が増加するため、各企業の経営者や労働者の収入が増えます。
【正の無限ループ(黄金循環)】
経営者や労働者の個人収入が増え、家計支出が増加します。
消費税廃止や減税による、可処分所得の増加→各企業の売上増加→経営者や労働者の個人収入増加→国内消費拡大→起業すれば儲かる事から、設備投資や起業する事業者が増加→各企業の売上増加→経営者や労働者の個人収入増加→国内消費拡大→起業すれば儲かる事から、設備投資や起業する事業者が増加(以下繰り返し)
ちなみに、通常の場合は、『投資行動を無視した場合』は、供給不足に成ると、供給すれば稼げる事から、起業者や設備投資が増え、インフレ率はある程度の水準に落ち着きます。
バブル景気などが発生するのは、土地売買や株取り引きなど、投資(正しくは投機)行動の過度な増加により、金融バブルが発生し、不良債権問題(サブプライムローン・返済不履行)などが、多発するためです。
好景気期に投資が増える傾向に有るのは、勿論儲かるからですが、高所得者に限らず、投資する余裕の有る人達や、投資する資金が無くても、好景気による個人所得増加、つまり、労働による所得の増加を見越して、一般的な人達まで、土地売買や株取り引きなどを、借金してまで繰り返し、所得を増やそうとするためです。
【まとめ】
経済波及効果とは、好景気に向かうにせよ、不景気に向かうにせよ、必ず起こると言う事です。
これは、【実体経済】
つまり、実社会の経済においては、否定出来ない現象なのです。
いくら、計算式で否定した所で、現実に起きている現象ですので、どうしようも有りません。
以上をふまえて、自分なりの考察を含めて、是非ともクラスで発表して欲しい。