夏休み特別企画!自由研究用解説【税金(消費税)】
今回は、夏休みの自由研究のテーマ用に、おじちゃん的なチョイスで、解説をして行こうと思う。
ルールとして、この解説を参考に、資料や発表用の素材等が必要な読者は、それぞれ自分で用意する事!
あくまでも、夏休みの自由研究用の解説素材なので、それぞれのテーマの解説【のみ】だから、これを元手に、自分のスタイルで、自由研究を完成させて欲しい。
ある程度は、参考資料のリンクは貼っておくので、それ等を利用して、頑張って作成して欲しい。
1 税金とは?(解説パート)
私達の殆どは、『税金とは何なのか?』理解していないと思われます。
普通の税金の解説の場合
※税金とは、国家運営の財源
※国民は、税金の納入義務を負っている。
と言う具合でしょう。
現代においては、税金の存在意義は違って来ております。
少なくとも、日本や先進国においては。
2 日本における税金の種類(解説パート)
税金には、課税主体が国である「国税」と、地方公共団体である「地方税」があります。
国税には、所得税、法人税、相続税、贈与税、消費税、酒税、たばこ税、自動車重量税などがあり。
地方税には、住民税、事業税、固定資産税、地方消費税、自動車税などがあります。
【出典】財務省
https://www.mof.go.jp/faq/tax_policy/02aa.htm
日本国民の税負担率は、44.3%です。
つまり、収入の約4割を、税金に支払っている訳です。
一部、【応能負担の原則(支払い能力の有る人が支払う税金)】や、【受益者負担の原則(自動車等を、保有・利用している人が払う税金)】などにより、支払い義務が、個別には無い税金も存在します。
酒税・たばこ税・自動車重量税・自動車税は、『受益者負担税』
相続税・贈与税・事業税・固定資産税
が、『応能負担の原則による課税』に成ります。
消費税・所得税・住民税が、『一般的(全国民)な課税対象』に成ります。
内、消費税のみ、『所得を得ていない人や、子供にも課税される税金』と成っております。
具体的には、消費税は、子供が駄菓子屋でお菓子を買っても、課税される税金です。
実際は、駄菓子屋やスーパーマーケットやコンビニで、10円の駄菓子を買っても10円ですが、内税で支払っているだけで、実際は9円(お菓子の定価)+1円(消費税)と成っております。
100円のお菓子なら、108円ですよね?
これらの課税問題は、『お小遣いをあげている、所得を得ている大人に課税している』と言う解釈も出来ますが、問題は、生活保護受給者にも、消費税が課税されていると言う問題です。
彼等は、地方自治体から収入を保証されておりますので、厳密には『所得を得ている』と言う括りには該当しません。
つまり、無収入の人にも、消費税は課税されてしまいます。
仮に、完全に無収入のホームレスであったとしても、何か買い物をすれば、消費税は課税されてしまうのです。
さらに、大地震や、集中豪雨に伴う河川の叛乱や、土砂崩れによる被災者にも、消費税は課税されてしまうのです。
家屋や財産を失った被災者の、生活復旧の為の消費にも、消費税は課税されます。
所得税や住民税の、納税猶予や免除も有りますが、消費に対して課税される消費税は、かなりの負担に成ります。
3 先進国と発展途上国(新興国)における、税金の違い(解説パート)
まず、先進国と新興国含む発展途上国では、税金の性質が全く異なります。
正確には、『財政破綻が可能か?不可能か?』の違いです。
まず、『税金が、国家財政の財源なのか?』と言う点ですが。
※先進国においては違う
※共通通貨ユーロを使う、EU加盟国は違う
※発展途上国や新興国においては、税金は財源である
と言う違いがあります。
【先進国においては】
※自国通貨建て国債を発行
※自国通貨発行権を持つ
※自国通貨が、変動為替相場制である
場合は、どう頑張っても財政破綻は出来ません。
自国通貨建て国債の発行とは、自国通貨の発行と同じ意味なので、実際には、一般的に言われている、いわゆる『国の借金』では無いのです。
通貨発行の流れは?
1 銀行が国債を購入すると、銀行保有の日銀当座預金は、政府の日銀当座預金勘定に振り替えられる
※政府は国債を発行し、現金紙幣ではなく、日銀当座預金残高を「借りる」という話です。
2 政府は財政出動の際に、請負企業に政府小切手で代金を支払う
※政府は日銀当座預金を担保に、「政府小切手」を発行するのです。(通貨発行)
3 企業は政府小切手を銀行に持ち込み、「政府からの取り立て」を要求する
4 政府小切手を受け取った銀行は、相当する金額を企業の預金口座に記帳すると同時に、代金の取り立てを日銀に依頼
※この時点で新たな民間預金が増え、マネーストック(市中に流通する通貨)が拡大します。
5 日銀は、「政府保有の日銀当座預金」の該当額を、「銀行保有の日銀当座預金」に振り替える
6 銀行は、戻ってきた日銀当座預金で、再び国債を購入することができる
中野剛志著「富国と強兵」から引用
自国通貨が、変動為替相場制でなければならない理由は、ドル固定相場制では、貿易を行うに辺り、外貨を得るために、外国通貨建て国債(ドル建て国債)を使わざるを得ないからです。
自国通貨が、国際決済に使えない、又は、ドルを得るために、自国通貨の国際的な信任が低いと、1ドルを得るために、自国通貨を大量に使う必要が生じるため(例えば1ドル1000円など)、ドル固定相場制でないと、外貨獲得を、得られないためです。
発展途上国は、国内総生産(GDP)が低い。
つまり、国内の供給能力(財やサービスの生産能力)が低いからこそ、外国から、財やサービスを輸入せざるを得ず、外貨獲得が必須に成るので、ドル固定相場でなければ、輸入品の価格安定が出来ないのです。
これが、発展途上国や新興国が、先進国とは税金の性質が違う理由です。
そして、発展途上国や新興国は、財政破綻が出来ます。
それは、ドル建て国債のため、信用創造による通貨発行が、先進国の様には出来ないからです。
ドル建て国債を、発展途上国や新興国の中央銀行が買い取るには、外貨である米ドルが必要になりますが、発展途上国も新興国も、ドルを勝手に発行出来ませんからね。
同じ理由から、共通通貨ユーロに加盟している、EU加盟国は財政破綻出来てしまいます。
ユーロ建て国債を、ユーロ加盟国が勝手に発行出来ないからです。
共通通貨ユーロも、ユーロ加盟国独自では、勝手に発行出来ないのです。
ユーロ建て国債や、共通通貨ユーロを発行出来るのは、EU加盟国および、ユーロ加盟国の金融政策を統括する、欧州中央銀行のみなのです。
なので、ユーロ加盟国であり、EU加盟国であるギリシャは、財政破綻しました。
ちなみに、ユーロ加盟国とEU加盟国は違います。
過去のイギリスの様に、共通通貨ユーロに加盟していない国もあるからです。
何故かと言うと、【財政自主権】を放棄しないと言う事です。
つまり、自国通貨建て国債の発行権と、自国通貨の発行権を、放棄しないと言う事ですね。
また、日本国内においても、各地方自治体は、財政破綻出来てしまいます。
理由は、通貨発行権を持っていないからです。
勝手に各地方自治体が、日本円を発行出来ませんよね?
なので、地方自治体の債券にあたる【地方債】は、デフォルト(債権不履行)が出来てしまいます。
以上の事から、先進国においては、国債発行、つまり通貨発行が財源に成りますので、国民から集めた税金が、財源では有りません。
発展途上国・共通通貨ユーロ加盟国・新興国・ドル固定相場制の通貨を利用している国々は、基本的に自国通貨建て国債を発行出来ませんので、国民から集めた税収が、その国の財源と成ります。
4 先進国における、税金とは何なのか?(解説パート)
では、『無税国家が可能なのではないか?』と言う、疑問が湧くと思いますが、それは不可能なのです。
何故、財源では無いのに、税金を徴収する必要が有り、国民に義務化されているかと言うと、それは。
※自国通貨の信任を得るため
※政策を実現するため
です。
自国通貨の信任を得るためとは、国民が納税するための通貨を、日本円にしているから、日本国民が日本円を欲しがる訳で、これが米ドルや英ポンドで税金を納税出来たり、仮想通貨で納税出来るのなら、日本国民は、日本円を使う理由が無くなりますので、日本円の信任が無くなる訳です。
また、日本国政府への、納税義務が無い場合も、日本円の存在理由が無くなります。
政策実現のためとは、例えば累進課税を強化して、格差是正をはかる。
増税をして、インフレを抑制する。
減税をして、景気を回復する、などですね。
例えば炭素排出税などは、【炭素の排出を抑制する為に課税する】と言う事に成りますので、政策目標の実現のための課税と言う事に成ります。
なので、消費税とは【消費を抑制する為に課税する税金】とも言えるのです。
インフレの抑制のために増税するのは、国民から可処分所得を税金で取り上げる事で、国民の消費行動を減らし、製品やサービスを供給過剰にする事で、インフレ率を抑えるためです。
逆に、景気回復のための減税とは、国民の可処分所得を税金で取り上げる分を減らして、国民の消費行動を増やし、需要拡大をはかって、インフレ率を上げる(デフレを抑える)ために行う訳です。
5 消費税の抱える問題(解説パート)
消費税が増税される一方で、所得税の累進課税率が引き下げられております。
なので、税政の基本である、応能負担の原則から、どんどん遠ざかって行ってしまっております。
【累進課税】とは、『応能負担の原則』に基づき、より収入の高い人へ税負担率を高くし、格差是正をはかる為の措置です。
具体的には、昭和61年度には、最高所得税率70%で有ったものが、平成27年度には、45%まで下がっております。
更に、個人住民税に至っては、昭和62年度には、最高住民税率18%で有ったものが、累進課税率が廃止され、なんと、一律10%となりました。
つまり、消費税と同じく、応能負担の原則にのっとらない、逆累進性の非常に高い税金と成ってしまっております。
【出典】財務省ホームページ
収入に関係なく、一律に10%課される消費税と住民税は、低所得者ほど、相対的に税負担が高くなってしまいます。
例えば、年収200万円位の場合は、その収入の殆どを生活費に費やしますが、年収2000万円位の場合は、仮に生活費に年間500万円使っているとしても、1500万円の可処分所得が残る訳です。
ちなみに、年収に占める消費税の負担割合は、年収200万円以下で10%。
つまり、約20万円で生活費の殆どに消費税が課税されている。
これが、年収1500万円以上だと、年収に占める消費税の負担割合は、なんと、2%未満。
具体的には、約30万円程度ですから、年収1500万円以上の方々は、生活費に、平均で300万円程度しか使っていない事に成ります。
出典 日本経済新聞社ホームページ
つまり、先程の解説の通り、生活費に全額使われていないと言う事です。
年収1500万円以上の方々の場合は、年収に締めは生活費の割合は、5分の1程度だと言う事に成ります。
この解説からもお分かりの通り、低所得者の年収に対する消費税の支出割合が10%。
富裕層の年収に対する消費税の支出割合が僅か2%ですから、低所得は富裕層に対して5倍も、相対的に消費税の負担割合が高い事に成ります。
これを、【税の逆累進性】と言います。
6 まとめ
以上の通り、自国通貨建て国債を発行出来て、自国通貨の発行権を持ち、変動為替相場制である国々は、税金は財源では有りません。
税金を集める目的は、自国通貨の信任を得る事と、政策目標の実現をするためです。
つまり、日本においては、『税金が財源で有る』は、明確に間違った認識に成ります。
なので、本来、【消費税】と言う応能負担の原則に則らない、全ての国民に等しく課される、逆累進性の極めて高い税金を徴収する必要は、根本的に有りません。
また、現在の日本の様に、デフレ期に増税を繰り返す行為は、まったく無意味であると言う事に成ります。
※以上をふまえて、自分の感想を加えつつ、夏休みの自由研究を完成させて下さい。




