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日本

「さようなら、くまちゃん」


「さようなら、ってくまちゃんはやめい!熊田先生やろ」


少し暑くなった日差しの中で子ども達と笑顔で小学校教師、熊田京一は下校指導をしていた。

190センチ100キロの巨体で本人曰くおしゃれヒゲを生やしたその姿は一言でいえばいかつい…


しかし明るく優しい性格が、子ども達から歩くアスレチックと言われ、くまちゃんと呼ばれ懐かれている。



京一は教師を始めて3年目、27歳のペーペーなのだが、その熱意で元気いっぱい、いやよすぎて昨年度学級崩壊になった5年生の担任をしていた。


毎日クラスの中でのケンカを抑え、保護者からの電話や家庭訪問で何とかクラスを作っていた。


今日も子ども同士のケンカを5件抑え、最近の唯一の楽しみである食、夕ご飯を何にしようか考えていた。


「ハンバーグ、いや、カレーもいいなぁ。そうや、ハンバーグカレーにしよう。」


「熊田先生、山田さん所からお電話です。」


「えっ、わかりました。」


山田さんはぽっちゃりした男の子で、ひとりっ子で両親からとても愛されて暮らしている。

しかし、こだわりが強く、クラスメイトとのトラブルが絶えない。

その事が山田さんの両親を心配させ、自分の子はいじめられているとよく電話がかかってくる。

平日は家庭訪問、土日も電話で怒鳴られ、京一が悩み続けている種だった。


「お待たせしました。熊田です。どうなされました?」


「どうしたちゃうで、うちの子がまた腕に引っ掻き傷つけて帰って来たんや。

どないなっとるの?」


「すいません、今日山川くんが山田くんの横を通った時に筆箱を落としてしまったんです。

その時に、山田くんが怒って、山川くんをつねった事から殴り合いになっちゃったんです。」


「なっちゃったちゃうで、先生がちゃんと見てないからこんな事になるんや。この前も…」


「申し訳ないです。ちょっと電話じゃ上手く思いを伝えられないのでご自宅伺わせてもらってもいいですか?」


「わかった待っとるわ、ガチャッ…」


はぁ…


「熊田先生、山田さん所ですか?」


「はい、ちょっと家庭訪問行ってきます。」


ため息をつきながら京一は山田家に着いた。


「すいません、三川小学校の熊田です。」

山田の父親が睨みつける様にしてドアを開けてきた。

「先生か、ちょっとあんたじゃ話つかへんわ。

相手の子に謝りにこらして。」


「いや、お互い様の所もありますし…」


「はぁ、お互い様やて」

山田の父親は顔を真っ赤にして京一を突き飛ばした。

普段ならこらえられるのだが、狭い玄関口でバランスを崩し、金属のドアのとってに頭をぶつけた。


「痛ってぇ、何やこれ。」

あまりの痛さに頭を触るとぬめっとした感触


手には大量の血がついていた……


「…わ、わしが悪いんちゃうで…」


そんな言葉が聞こえたか、聞こえてないか…



あぁ、死ぬんかなぁ、もっとうまいもん食いたかったなぁ…











ーわかりましたよ。あなたの願い、叶えましょう。ー

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