番外編 桜乙女無双 私はお兄ちゃんのもの!!2
ウィリアムさんにウィルさんと呼んで欲しいって言われたよ。ウィルさんが言うには、世界の危機が迫っているらしい。その原因は不明、なんでも神信教の巫女が予言したんだとか。ウィルさんはもちろん聖樹信仰なのであまり信じていないそうな。でも国王が神信教者だから反対したところで却下されるのは目に見えていたのでそんな先入観を洗脳されないようウィルさんが召喚に立ち会ったのだとか。
「そう言えばまだ私たちの名前を言ってなかったね。私は草間桜…ここではサクラ・ソウマかな。できるだけ名前はサクって呼んでね。(お兄ちゃん以外に名前呼ばれたくないから。)」
「よろしくお願いいたします、サクさん。そうですね、自己紹介を忘れていましたね。歩きながらで申し訳ないのですが他の勇者様方の名前もお教え頂けますか?」
するとポニーテールの活発そうなお姉さんが手を上げてじゃあ私から!!と口を開いた。
「改めまして!!私は石田涼夏!!ここではリョーカ・イシダだね。高校2年、元剣道部主将…と、言っても弱小チームだったけどね。サクちゃん、ウィルさん、よろしくね!!」
握手をしながらなんだか乙女ゲームの主人公に居そうなお姉さんだなと思いつつ頷いた。
次はなんだか目に優しくないキラキラとした容貌の如何にも主人公!!なお兄さんが頬をかきながら話はじめた。…目が、目がぁああ…
「えっ…と、僕は真仲伊織。言い直して、イオリ・マナカ。リョーカちゃんと同じく高校2年、何故か部活には入れてもらえず帰宅部。仲良くしてほしいな。」
無理…いや、悪い人じゃないけど面倒なことに首を突っ込むような人だろうから…あと目が痛い…いやん。
最後に茶髪で顔を隠してはいるけど多分この人もキラキラ属性なお兄さん。なんだかマナカさんを睨みながらイケメン爆発しろとか呟いてから自己紹介をはじめた。なんなの。
「永崎司、ツカサ・ナガサキだ。そこの金髪とは不本意ながら幼なじみだ。チッ…また巻き込みやがって…とりあえずよろしく。」
いやいや、巻き込まれじゃないよお兄さん。どう見てもテンプレチートさんじゃないですか。あーほらウィルさんも苦笑しちゃった…
「はい、ありがとうございました。ではここが覚醒の泉と呼ばれる泉になります。巫女が言うにはここに世界の神とやらがいて、勇者に力をくださるそうですよー」
棒読みパないっす、ウィルさん。
「よし、イオリ、行け。」
「なんで一番!?」
「なんなら皆一緒に行こうよ!!」
と、わちゃわちゃしつつ力ゲットです。
私は半不老不死とヒール系統の魔法授与。
リョーちゃんは不老、身体強化と風魔法授与。
マナカさんは不老不死、身体強化に勇者の剣、炎魔法と光魔法授与。
ナガサキさんは邪神化(本人は隠してる)、身体強化に闇魔法授与。
なんだろう、私必要かな?ちなみにウィルさんは土魔法が使えるんだって。ゴーレムとかかな。
「それでは皆様、とりあえずお部屋に案内いたします。少ししたら民に御披露目となるので身仕度は侍女たちに必要なものを頼んでください。…では私も仕事があるので失礼します。」
あわただしく過ぎるあり得ない世界での時間、私はここに慣れることができるのか不安で仕方ない。あと、パーティーがものすごく不安。そして不満。でも…泉にいた神とやらが言っていた。
“…あいつの妹が何故…?”
お兄ちゃんに会えるかもしれない!!
セイク逃げて!!超逃げて!!