オレも情報を集めるけど・・・
王子様と別れ、オレはぶらぶらと歩く。過保護ーずもまだ帰って来ていないようだし、さっき飲み物飲んだからお茶する必要はないし、買い物はする必要はないし…どうするか。
報告もすぐには来ないだろうし、他の国の王族的な立場の奴らにもコネがほしい所だが、今オレがここから他の王国にあるオレの根っこに意識移動したら過保護ーずがすごい勢いで調査も投げ出して追ってきそうだから図書館にでも行くか。
「情報が集まるのは図書館と相場が決まっているよな。なんだかゲームとか小説のような思考だが仕方ないな、うん。」
独り言がさまになってきて悲しい。オレは悲しい。そしてこの体は歩幅が狭いから歩くスピードが遅いのなんのって…そういえば別にこの姿のままでいる必要はないんだよな…
「…まぁ、こんな道のど真ん中で変化させても混乱させるだけだが…」
ふむ、と俺は顎に手を当てながら歩いて考える。と、ちょうどいい感じの細道を見つけた。おお、ここならいいのでは?
「さて…変化…ううん、適当でいいや『チェンジ』」
ドゥンッという変な音と煙とともに俺は瞑っていた目を開けると視点がだいぶ高くなっていることから成功したことを悟る。さすがに失敗するとは思っていないが少し不安だったんだ。
「さて、図書館、図書館。」
大股で早歩きせずともさっきよりも早くなったスピードに満足しながら図書館を目指しているとわざとぶつかられる。
「…?」
「おい、兄ちゃん痛ぇな?怪我しちまったかもしんねぇなぁ?どうしてくれるよ?」
うーん、頭悪そうなゴロツキだな…ついでに面倒そうでもある。というか典型的すぎて言葉も出ない。どうしてくれようか…
「おい、だんまりか?金出せって言ってんだよ、このウスノロ!」
「…ああ、すまない、君たちが望むような物はあいにくと持っていなくてね。どうしようか考えていたんだ。何しろ人間じゃないんでね…」
「…は?」
「お金は持っていないし、臓器もないし、生殖も必要ない体だから…ううん、見世物にするにしても法に触れてしまうね?」
「は、はは、何を…」
「あ、理解できないかい?じゃあ噛み砕いて説明してあげようね…精霊に勝てると思っているのかゲスが。」
「ひっ…」
「さっさとおうちにでも帰ってねんねしな、坊や?」
ぎゃあああああああああ!と叫びながら走り去っていく彼の背中を見送りながら野次馬を一瞥してから俺は図書館に向かうためまた歩き始めたのだった。




