散歩するにしても…
オレは過保護ーずに調査を任せて町の探索をしている。
少々恥ずかしいが聖樹信仰というものの影響は凄いようで自然と共存をすることを主体にしているだけあり売っているものも天然素材が使われている。
「ほー…シルクとかがこの値段なのかー。手がかかる分木綿とかより高いけどあちらほど高級という感じではないね。シフォンとかもいいねー。サクラがいれば着せ替えさせて遊ぶのに…過保護ーずはオレも含めて衣服というものはいらないからなぁ…」
オレ達は精霊(オレは厳密には違うけれど)で実体があるようでない。触ろうと思えば触れるし、壁をすり抜けようと思えばすり抜けられる。もちろん、服はもともと木であるオレは必要ない。木が服を着ているところを見たことがある人はあまりいない。この姿は言わば本体のオレが張っていたいたるところにある根っこを人の形にして顕現させただけのようだ。
「お、王子様はっけーん」
変装してはいるものの、長い特徴的な髪に生地のよさそうな服を着ている勇者たちと一緒にいたので勝手に王子様と呼んでいる彼を見つけたのでテクテクと近づく。
「お兄さん、こんにちは!」
「…やあ、こんに…なん、だと…!?」
にこやかにオレに挨拶をしようとした王子様はオレを見た瞬間目をこぼれそうなくらい見開いて驚いて固まる。
「…?どうしたの?ボクの顔に何か…」
「っ…ちょっと、こちらに来ていただけますか?」
「へ?あ、あの、ちょっと?お兄さんっ?」
声をかけると固まっていた彼は真顔で敬語をオレに使い、オレの手を取って喫茶「蜂蜜」というお店に入った。
「個室で。」
「かしこまりました、二名様個室にご案内します。」
店内は森を彷彿させるようなインテリアで統一されており落ち着いた雰囲気だ。その中の個室スペースに二人きりになると彼は
「はじめまして聖樹様。」
そう言って土下座をした。
オレの目は点になった。




