6th mission phase-1 地獄招来
遂に始まった身代金受け渡し。警察は自分たちの威信をかけて自分たちだけで解決しようとするが……。
『今回の電話は何のことではない。受け渡し場所を伝えるためだ。受け渡しは飛島村の桐嶋倉庫の飛島第二倉庫だ』
「今日の午後七時の電話だ。完全に包囲するには時間がギリギリだが、都合よく倉庫という建物で指定してくれた」
舟木課長の声は本庁の会議室に集まっていた捜査一課の面々に投げかけられた。
「何が何でも、我々の手で検挙するぞ。犯人はわざわざ逃げ場をなくしてくれたんだ。もう釘宮たちの班が張り込んでいる。SITの準備は完了している。現場指揮官は下野警部補だ。全員出動!」
「はい!」
だが、その中でこの事件の異常性に蓮池は気が付いていた。
「なぜ初めから場所を指定したんだ。普通なら通かなんかの名前を指定して誘導するのが筋なのに」
「蓮池ぇ!なぁにもたもたしてんだ。早く行けぇ!」
舟木課長から怒号が飛んできた。
「りょ、了解しました」
絶対裏がある。その確信を胸の奥に抱きながら会議室を出た。
もうすでに飛島第二倉庫周辺は封鎖されていた。
「おい!受け渡し役の坊主は今どこだ」
蓮池は既にいた捜査員に怒鳴る。
「例の公安が送るとのことです」
先行していた捜査員が答える
「あいつら……!」
「下野係長、これが集めた一億人民元です」
捜査員の一人がショルダーバッグを持ってきた。トラックの中に同じバッグが山積みになっている。
「なんつう量だ。」
蓮池は率直な感想を呟いた。
「最高額が100元ですからどうしてもこれだけの量になりますね。政府が持っている外貨準備を急いで崩してついさっき手に入れた貴重な百万枚です」
「運ぶ気があるのか?正気の沙汰じゃないぞ」
下野係長の言葉のとおり、犯人の要求はばかげているとしか言えなかった。
「1トン前後ありますからね」
「それにしても桐嶋倉庫なぁ」
桐嶋倉庫というのは旧称で今は親会社の桐嶋物流ともども中国資本の物流会社、ルダックス・ジャパンに吸収されてしまった。もともと中堅の物流会社だったのがバブル景気に乗って業務規模の拡大をしたものの、バブル崩壊による業績悪化と役員による横領の損失が原因で七年前に事実上の倒産。その時、日本進出を狙っていたルダックスが買収し日本本社とした。そのルダックスは中国・北朝鮮間の貿易ルートを持っている。そのこともあって三年前に外為法違反の疑いで強制捜査を受けた過去がある。
無論、この飛島第二もルダックスの所有物だが、実際にはほとんど使用されていない。たまに飛島第一の容積が限界になるため、その時の一時保管先としての役割以外はほとんどないとのことだ。そのことはルダックス・ジャパンの本社に問い合わせて分かったことだ。
「公安の奴らが送迎に来たぞ」
ふと意識がそちらに持って行かれる。
「主役がついに来たか」
下野係長のつぶやきが響く。カローラから出てきた幸太郎は目つきを鋭くして倉庫を睨んでいた。
「坊主。もうそろそろ時間だ」
「わかっています」
「変な気はおこすなよ」
「おこしたところで、助けられる可能性が上がるわけではないことぐらいわかっています」
ジャケットを風になびかせながら一歩一歩倉庫へと近づいて行った。
*************
何の変哲のない単なる倉庫は魔窟の如く見えた。
「魔王の城、か」
「大丈夫か、坊主」
「ちょっとマイっているだけです」
蓮池にそう答える。
『役者はそろった』
不意に声が響く。
「その声は!」
『そう、諸君らが来るのを心待ちにしていたよ!さて、一億人民元を見せてもらおうか』
倉庫に設置されているスピーカーからの声である。
「これが貴様の望んだ一億人民元だ」
ショルダーバッグのジッパーを開ける。
『ならばB‐3搬入口で渡してもらおう』
「B‐3だ。急げ。」
トラックに指示を飛ばす。
『さて、幸太郎君は1と張り紙された扉からはいりたまえ』
一歩一歩踏み出す。脇を二人の刑事が固める。
ぎぃぃ
と不気味な音を立てながら扉が開く。
暗黒の中に足を踏み入れる。刑事たちも入ろうとした。その時
ダキィーン ダキィーン
自転車でひっくり返った時と同じ音?
同時に脇の刑事二人が血を流して倒れる。
「井上!日高!」
蓮池の叫びの直後、勢いよく扉は閉まった。
*************
「大丈夫か?!」
「蓮池さ…ん、やべぇっ……すよ」
「ぼう…弾…チョッキが…そんな……!」
息も絶え絶えになった井上と日高が言葉を紡ぐ。腹部の銃創から血がとめどなくあふれてくる
「救急車だ!救急車を呼べ!」
同僚が撃たれたという事実に捜査員たちが戦慄する。二人とも血を流しているのは防弾チョッキの防護している胴体部分である。拳銃弾をはじく程度の能力のある防弾チョッキが貫通したのだ。
続く銃声は現場指揮官の下野を撃ち抜いた。
「なんだと」
下野係長は驚愕に目を見開いて崩れ落ちる。
「係長!」
「蓮池君、君に現場指揮権を移譲する。これじゃ碌に指揮もできん」
「わかりました」
『姑息だね。国家権力は』
スピーカーからあざ笑うかのような声がする。
「法を守らない貴様らに言われる筋合いはない」
蓮池は声を張る。
『そう威勢がいいのも今のうちだよ』
「ち、舐めやがって。……おい、SATは出せるか」
周囲の捜査員が蓮池に振り向く。
「SITがいるのにですか」
「今回、相手はSITでは手に余るかもしれない」
「……本部で待機中のSATをよびます」
無線手は急いで打電する。
『我々は警察など怖くない。無駄な足掻きをしているがいい』
バシィーン
雷が大気を引き裂くような音がしたかと思うと、所轄の制服警官の左胸が左腕とともに消し飛んだ。
「まつだぁっ!」
同僚らしき警官が駆け寄るが彼も炸裂音とともに頭部が赤く爆ぜて無くなった。
捜査員たちにパニックの魔物が襲い掛かる。
「総員、拳銃を抜け。奴ら、普通の犯罪者とはわけが違うぞ。発見次第射殺しろ。責任は俺が取ってやる」
蓮池自身も人生最大の恐怖を感じていた。次、身体を失うのは自分かもしれない。その恐怖に立ち向かうためには武器が手元になければならなかった。
「どこにいるんだよ、スナイパーは」
毒づくとけたたましい音がした後、背後で爆発音がした。ギョッとして振り返ると覆面パトカーがハチの巣になって炎上していた。
「おい、なんだよこれ」
いくら防弾がされていないとは言えども、普通のライフル弾でパトカーが爆発炎上するなんてことなどほとんどない。ここでさっきの二人の惨状の原因が理解できた。
「重機関銃だ。それしかない」
昔見た戦争映画のワンシーンからの推測だった。軽装甲を打ち抜くほどの威力のある弾丸を連射する、軍用の大型火器なら説明がつく。だとしたら犯人グループは何かしら大きなバックボーンが存在するはずだ。
「今回は、本当にまずいぞ」
空ではヘリコプターの羽音が響いていた。
*************
「俺たちが必要になるほどの事態か」
特型警備車の中には黒づくめの男たちが来る戦闘に備えていた。
愛知県警察警備部機動隊特殊部隊――通称・特殊急襲部隊の面々は小牧から移動してすぐ近くの警察署に待機していたところで緊急出動がかかった。最前線で二名が銃撃で負傷したという。拳銃弾対応の防弾チョッキを抜かれたというから相手がライフルを所持していることは明白だ。
今回の作戦は陸空二手に分かれて攻める。一階と屋上から挟み撃ちするのだ。
「第二報だ。さっきのとは別に二人殉職者が出たそうだ。現場捜査員からの報告から大口径火器による攻撃の可能性が高い」
今までやってきた訓練では考えられていない装備だ。普通なら自衛隊にも出動要請を出すべきだろう。
「気を引き締めろ!今回の犯人は一味も二味も違うぞ」
SATに配置されて一年。こんな重大事件が初陣となるなんて思ってもいなかった。
「増田、落ち着いて行動しろよ」
先輩の石原巡査部長が声をかけてきた。
「ん?なんだ?」
「どうした」
隊長が運転手に問いかける。
「いえ。車が追い越してきたんですよ」
「なんで緊急車両の前になんてくるんだ」
「ん?なにしてんだ?あいつら」
次の瞬間、先導していたパトカーが宙を舞った。さきほど彼らを追い抜いた乗用車からの攻撃だった。特型警備車に宙を舞ったパトカーが迫る
「うわぁぁぁぁぁ!」
運転手がそう叫んだ瞬間に、彼らの乗った特型警備車は乗用車からの69式対戦車ロケットランチャー――中国製RPG‐7の成形炸薬弾による攻撃によって爆発とともに横転した。追い抜いた乗用車は停止する。
「もう一発」
特型警備車を追い抜いた車の持ち主たち――日本解放戦線の君田はRPG‐7の弾薬を新しい成形炸薬弾に付け直し、再度構える。呻き声の聞こえる特型警備車の残骸に第二射を加える。爆発が起こり煌々と暗闇を燈す。
「三発目だ」
今度は焼夷榴弾に付け直し第三射を加える。火炎の勢いはさらに激しくなった。
「権力の狗として生きたことを恨むんだなぁ。ふははははァグ……」
前に向き直って笑っていた君田は額から急に血を吹きだして倒れた。
「どうした、君田」
一瞬後にフロントガラスが細かくひび割れ、問いかけた運転席の波多野はこめかみから出血し絶命した。
クラクションのブザーが響いた。
*************
強襲一班の秋津正弘は特型警備車の惨状を見て息をのんだ。
「チッ、遅かったか。霧谷、第二フェイズに移行するぞ。ハートショットを行わずヘッドショットのみで攻撃しろ」
「はい」
美里は応答すると、AWSを構えボルトを押し戻し、構えて静かに引き金を引く。
パン
7.62×51ミリNATO弾としては異常なまでに小さい音が鳴る。サプレッサー内蔵バレルの圧倒的な静音性と亜音速弾の特性によるソニックブーム抑制効果によってほとんどばれない程度にまで騒音は抑制される。車のサンルーフから身を乗り出していた男は糸の切れた操り人形のように手足をだらりと投げ出した。
チャキン
ボルトを引き排莢すると金属同士のぶつかる小さな音が響く。
「もう一人」
素早くボルトを押し戻し再度構えなおす。
ガラス越しに振り返った男の後頭部が見える。引き金を静かに引く。ガラスが蜘蛛の巣を張って向こうの様子はうかがいしれないが、クラクションの音が鳴りっぱなしになっていることでハンドルに力が加わっていることがわかる。狙ったのは頭蓋。即死の領域だ。
「ココは終わりだ。第二ポイントへ行くぞ」
犯人二人を無力化した美里はAWSをガンケースに仕舞った。
*************
ほぼ同時刻。
「どうだ」
松代は隣で航空無線と警察無線を傍受している青田に様子を聞いた。
「丸聞こえですね。航空無線は」
「で、警察のヘリは?」
「航空管制によるとあと2キロで目標地点だそうです」
「よし。仕事だ」
9K34の発射筒を構えた松代は青田の指示通りに夜空に発射筒を向ける。
「まずいっぱぁ~つ」
低い声とともに9K34が発射された。
「ヘリが多いな。なんでだ?」
愛知県警所属のテロ対策特別機ベル412EP・《あけぼの》のヘリパイロット、松下省吾は少しの疑問を呟いた。
二手に分かれたSATのうち、彼らはヘリからの降下を行う部隊を輸送する任務を請け負っていた。
「本部、こちら《あけぼの》。目標地点まで約1.5キロ。指示を乞う」
『本部より《あけぼの》へ。作戦は失敗だ!ただちに帰投せよ。繰り返す、ただちに帰投せよ』
「どういうことですか。あと少しだというのに」
『陸上部隊との連絡がつかない。何かアクシデントがあった可能性がある』
「残りの部隊でも十分だと思われますが」
『マスコミとの報道協定の意味がなくなって無効になってから空撮のヘリが出張っているんだ。ほとんど丸見えになりかねない。マスコミと話が付くまでまってくれ』
「了解。今すぐ戻ります」
反転しようと操縦桿を傾ける。
「ん?なんだ?」
IRセンサの画面を覗き込んでいたコパイの佐田克己がこぼす。
「どうした、佐田」
「目標地点から熱源がこっちに接近してきます!」
「どういうことだ!?」
「けっこう早い!?」
「おい!どっかにつかまれ!振り切る!」
松下は一気に操縦桿を傾け、さらにスロットルの出力を上げる、テロリストの装備品だからと言ってミサイルはないと油断してはいけないと考えたからだ。急旋回と急上昇・急降下を繰り替えして危険な状態を脱しようとする。が
ドォォン
急に機体後方から爆発音が響き、機体が振動した。
「なんだ?」
ふわりと宙に浮いたような感覚と流れ始める夜景を見て気が付いた。
「落下しているぞ!テールローターは……」
ダメージコントロールが悲鳴を上げる。テールローターの喪失が画面に映る。計器盤を確認するとコンパスが回転し、高度計がみるみる下がっているのが見えた。本来はそこまで高度を上げることはない。だが、ミサイルと思しき謎の熱源に対する回避行動で高度を乱高下させているうちに大分上昇していたようだ。テールローターがないと機体自体も回転を始める。メインローターの回転数は実質半減し揚力は重力と釣り合うだけの力を失う。
「フューエルカット!」
燃料供給を強制切断しフリーローティングを利用して不時着しようと試みる。メインローターが動力で回転しない限り反トルクで機体本体が回転することもない。機体が回転して重心が不安定になり墜落するよりかはまだましだ。
「助かった……」
息も絶え絶えに周囲を見渡した。
機体を安定させて降下させれば怪我人も最小限になる。
だがその一筋の希望も打ち砕かれた。次の瞬間、メインローター付近に9K34が命中し、機体は高度数百メートル以上から自由落下を始めた。
「《あけぼの》ダウン、《あけぼの》ダウン。うわぁぁぁっ!」
絶望とともに落下する機体は、地面に叩き付けられる前に三発目の9K34の命中で散り散りになった。
*************
東の空で火球が膨らむのが見えた。先ほど小型ロケットの発射音がしたからそれが原因だろう。依然自分たちは飛島村に現出した地獄の一丁目にいた。
「蓮池巡査部長!本部から連絡!SATが全滅したとのこと……」
無線手からの報告は今まで耐えてきた現場の人間には絶望に等しかった。
「何バカ言ってんだ!まだSATは来てもいないんだぞ!」
SITの一人が無線手に掴みかかる。
「移動中に襲撃を受けたといっています」
移動中に襲撃を受けたとなるとSATだって普通の機動隊も変わらない。誰もがあきらめた。
「おい!救急車が来たぞ!」
要請した救急車が到着したらしい。ふと安堵の声が漏れるがしかし、停車してドアが開いた瞬間、悪魔の咆哮が響き救急車を鉄くずに変えた。救急隊員は見るも無残な姿になってしまった。
「なんだってこんなことになるんだ!」
まさしくワンサイド・ゲーム。一方的にやられているばかりだ。
「おい!その無線機を渡せ!本部長に自衛隊へ出撃要請するように抗議する!」
無線手に詰め寄る。だが渡される前に無線機は無線手ごと木端微塵になった。
「畜生!」
握った拳を残った机に叩き付ける。
蓮池は個人用無線機で本部と連絡を取ろうと試みた。
「本部!こちら蓮池!このままでは全滅します。早く自衛隊に出撃要請を!」
『こちら…部…ブピッ…け……ぶ…ちょ……ピ…た?』
「なんだ、本部?本部!?」
無線は甲高い音ばかり垂れ流すようになって無力化されてしまった。チャンネルを切り替えてもどこも同じだ。
「全チャンネルの周波数が割られていて、しかも妨害されているのか?!」
驚愕の事実になす術はなかった。ただ思いついた策は一つだけだった。
「おい、使える車はあるか?」
蓮池は真下に問う。
「まだ一台はありますが、もしかして!?」
「本部まで車で直接報告に行く」
「しかし!」
「上の奴らにこの声を届けないといけねぇんだ!」
「……わかりました。向こうのなら何ら問題はないはずです。無線は故障してしまいましたが」
蓮池は急いで無事なパトカーに乗ると、アクセルをふかして本部へと向かった。雨あられのごとく降ってくる重機関銃の弾丸は、奇跡的に一発も当らなかった。
*************
「呼んでおきながらいつまで待たせてんだ。人間としての最低限の礼儀すらないのか。大見得切っておきながら、やはり所詮ただの犯罪者という事か!」
幸太郎は叫んだ。倉庫の中に入って結構な時間待たされている。
「すまなかったなぁ。身代金を運ぶのに時間が掛かってね」
闇に満ちた奥のほうから光に満ちたこちら側に男が浮き出てきた。
「一億元なんて要求するからだ。1トンもの現金、どうやって運ぶ気だ」
「秘策はあるよ。なめてもらっては困る」
男の両脇にはAK‐74を持った男が二人立っている。同様の武装をしている人間はこのコンテナで区切られて部屋のようにした空間には他に八人はいる。組織としてはだいぶ大所帯だ。左翼過激派は弱体化傾向にあるといわれていたのは十年ちょっと前までの話で、オウム事件以降、国内の過激派は国外に脱出しイスラム系過激派――アルカイダやヒズボラ、ハマス、ジェマ・イスラミアをはじめとする武装勢力や、イラン、北朝鮮などの反米国家に協力を要請し組織的な戦闘訓練、武器の供与による重武装化や、構成員を獲得するために大学などのリベラル系政治サークルへの寄生と構成員の勧誘の活発化による組織の若返りが近年になって暴露された。アメリカ、ニューヨークでのWTCビル飛行機テロをはじめとする同時多発テロ――通称9・11が十一年前、ゴールデンウィーク周辺で関東を中心として巨大遊園地での爆弾テロ事件や未遂事件が発生したのが九年前だったから、そのころから今日まで逃走し続けて体制を整えてきたということだ。
「さて、SDを渡してもらおう」
「ベタだがこんな時にしか言うことがないだろうから言わせてもらおう。人質の無事を確認させてもらおうか。SDはそれからだ」
「偉そうな口を利くネェ」
「刑事ドラマが好きでしてね」
「まあそんなに急ぐことではなかろう。それに多勢に無勢だ。我々の武器はわかっているよね」
「旧ソビエト社会主義共和国連邦イジェフスク造兵廠製AK‐74。大抵東欧からの横流しか中国製だろ。あと何丁かドラグノフがあるはずだ」
「ご名答だ。これだけ武器があるのに生意気を言えるのかな?」
「犯罪者は人間ではないと思っているのでね。ここにいる奴ら全て人間ではない!」
「大きく言ったネェ、武器を持っていないのに」
「持っていなければ……」
まぶたを閉じて意識を自分の空虚な中心に集中させる。頭の奥にイメージが沸く。鎖に縛られた少女が真っ暗な空間に爆ぜる。
「奪うまで!」
目をくわっと見開くと目の前の世界が大きく変わっていた。
今回は用事などでそこまで進んでいません。
当面の間はこれくらいが一回の投稿量となると思います。