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中間テストの憂鬱

幸太郎の学校では中間テストが迫る。

幸太郎はいかに切り抜けるのか?

 「あと一週間で中間テストです。……覚悟しろ!以上!」

 「起立!礼」

 『さよーなら』

 小坂は何とも意地の悪い表情でそう告げて下校となった。

 「早い。早いぞ……」

 体感時間が異常に短い。

 大事件にかかわりがちだったからしょうがない。

 「本格的に勉強しねぇとな」

 面倒事が多い。

 さて、こうなったら必死になって勉強するしかない。

 「憂鬱だ」

 「あなたはまだいいわ。私はもう古典なんていやよ。古典英語ですら手間取るのに」

 マリアが頭を抱えている。顔色も悪い。

 しょうがないよなあ。いくら日本語が流暢なドイツ人にも古文は全くの異言語だ。

 古典はすべての民族に当てはまる重大問題らしい。

 まあ先生もそこらへんは加味してくれるだろうし、現代文とジョイントしているからまあどうとでもなる。

 「神山?どうだ?」

 「大丈夫」

 そういえば神山と霧谷は十分優秀だった。

 「問題は数学だな」

 憂鬱だ。考えるだけで気分が落ち込む。

 「あの程度の問題でああもかかると大変よ」

 河合がそういっているが、最近の冴えない頭では調子が悪いのかまったく計算が進まない。

 「せいぜい頑張るのね」

 「そうさせてもらう」

 気分ガタ落ちの中、山本が近づいてきた。

 「大丈夫かい?」

 「いや。こりゃきつそうだ」

 天井を仰ぎ見る。

 「勉強会でもするか?」

 「ナイスアイディア」

 というわけで勉強会となった。


     *************


 市立図書館

 近くの名門県立高校のものと思しき生徒たちが机を占拠する中、俺と山本は数学の問題集を説いていた。

 週末の時間、学校の問題集を公式集片手に解くその姿は、他校の生徒とは少々異質だった。

 名門校のやつらは何の苦もなくやってのけているのだ、赤チャートを。

 俺たちは黄チャートで四苦八苦だというのに。

 「大学受験で見返してやろうぜ」

 「そうだな山本」

 カリカリとシャープペンが進む。

 ルーズリーフが束になっていく。

 知識はついてくるだろうか。

 そう思いながら必死に進めた。


 「これから新刊の小説買いに行くわ!じゃあな」

 「じゃあな」

 範囲をやっている間にいいころあいになったのでそのまま別れて家に帰る。

 「世の常か」

 小坂を見返そう。そう思って頑張るのだった。

 「菓子買おうか」

 スーパーに向かう自転車のペダルは意外と軽快だった。


 「いかん……食いすぎた」

 うっかり結構な量の菓子類を買ってしまい、しかも消費してしまったのだ。

 「ストレス太りか」

 なんせ舐めていた。

 意志が強い弱いの違いがないのだ。

 あっけなく消費してしまう。

 ストレス太りなんて言うのがありうる。

 ストレスの恐怖に震えあがりつつ勉強に精を出すことになった。


     *************


 そしてテスト当日


 「大丈夫?そんなにやつれて?」

 河合が素っ頓狂な声を上げる。

 「平気平気。ちとばかしムリしたら食欲不振と不眠になっただけだからさ」

 「けっこう酷い有様よ」

 「でもやらなくちゃいけないだろ」

 はははと笑ってみるが実際は結構ムチャしていた。


 テストはまさしくハードであった。カリカリとペンの進む音だけが響く。

 この音は常々心臓に悪いと思うのだ。焦燥感に駆られる。

 妙なプレッシャーが襲うのだ。

 (落ち着け。落ち着くんだ、俺)

 深呼吸で落ち着こうとしてみる。

 よし、いけるぞ!!


 「どう?調子は?」

 一日目が終わり河合が声をかけてきた。

 「上々だよ。でお前は?」

 「苦労すると思う?」

 余裕綽々と言ったところか。

 「ですよねぇ~……」

 解っていたさ。河合はそういうやつだってことは。


 テスト日程終了

 必死に勉強しただけあって結構うまくいった感はあったが、何ともまあ、疲労でぐでんぐでんになってしまった。二日で全教科終了するのがこの学校の中間テストの特徴だ。

 結果はすぐに却ってくる。テスト二日目からテスト終了翌日には全教科採点結果がそろってしまうのだ。

 そう。一夜寝ると翌日には結果は一目瞭然だった。

 「及第点って感じか」

 平均点は全教科超えている。疲労と数多くのイベントから考えて十分な結果と言える。

 順位はだいたい上位40%ぐらいか。この学校に進んでから最低順位かもしれない。

 「ガチで疲れた」

 蒼い顔で呟く以上の事はできそうになかった。

 「それじゃあ、あと一年と半年の受験に耐えれるか心配ね」

 河合がそういって肩をすくめる。

 一週間四苦八苦してどうにかなったが、今後もこの知識が使えるだろうか?

 「受験……か」

 ああ。受験。

 高3になる前に志望校を決めておかなければ。

 高校生の憂鬱は続く。

幸太郎はテストを切り抜けた。

さて今度は本編が始まります。

第三章をお楽しみに。

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