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魔法使いスグール ~魔法ってキノコだよ?~  作者: 榊日 ミチル


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ー1章ー 1話 「ファイア!……って、なんでキノコ!?」

目覚めると、俺は草原に寝転んでいた。


晴れ渡る青い空、流れる白い雲、鳥の囀り、吹き抜ける優しい風……。


……ここはどこだ?


何となくだが仙人みたいな爺さんとやり取りをした記憶がある。

そうだ、俺は転生したのか!


バサッと身を起こし、辺りを見渡した。

目に映る光景は明らかに知らない世界だった。


本当に転生したのか……俺?


暫くの間、現実なのか夢なのかが分からなかったが、どうやら現実である事が草の匂いや手の感触から分かった。


という事は、爺さんとのやり取りも本当だって事だよな。

確か魔法使いになりたいって言ったら、叶えてやるって……。


なら俺は今、魔法使いなのか?


だが本当にそうだとしても、確認方法が全く分からん……分からんが、何かをしたら確認方法が見つかるかもしれない。


俺は身振り手振りで何かが起こるかもしれないと信じ、動き続けた。


すると通り過ぎる親子連れにクスクスと笑われた。


「ママーあの人踊りが上手だね!」


「コラ、見てはいけません!」


クソッ.…全然何も起きないじゃないか!


諦めかけたその時、たまたま手が何かに触れるような仕草になった。

すると、目の前にステータス画面が現れた!


うおぉぉぉ!

何だこのハイテクな機能は!?


そこには確かに職業、「魔法使い」と明記してあった。


マジで魔法使いになってたのか!

……んーだが、魔法ってどう使うんだ?

何か詠唱でもするのか?

しかしそんなもん何も知らないしなぁ。


ステータス画面を色々いじっていると、スキルの画面に切り替わった。

そこには「ファイア」と記されている。

恐らく初期魔法なのだろう。


魔法は一応使えるらしい……だが問題は使い方なんだよ。


更に色々といじっていると、「よくある質問」というボタンを発見した。


……何だそのWeb広告の下の方にあるようなお客様の声的なものは!


少々怪しさはあるが、何かヒントがあるかもしれないとボタンを押してみた。

すると、「魔法の使い方はどうすれば良いですか?」というのを発見。


おいおい、俺と同じ境遇のヤツが他にもいたのか!?

ってか、どこに問い合わせたら質問できるんだよ!


思わずツッコみながら回答を見てみると、


「対象に向かって魔法名を口にすると発動します」


……清々しいくらいにシンプルだ。


つまり、敵が来たら「ファイア!」と言えば良いって事だよな。

なるほど……理解した。


辺りを見渡すと水色のプルプルした何かがぴょんぴょんと跳ねている。


あれは……まさか!

RPGではお馴染みのスライムじゃないか!?


俺は立ち上がり、スライムの傍まで行ってみることにした。

気が付かれないように少し距離を取っているが、間違いなくスライムだ。


よし……お前に恨みはないが、初めての魔法に付き合ってもらうぜ。


魔法使いっぽい杖は持っていなかったので、手を前にかざし、それっぽく構えた。


そして、「ファイア!」


……しかし何も起こらない。


なぜですか?


するとスライムが俺に気が付き、こちらへ振り返る。


いやいや、マズイだろ……俺、丸腰だぞ!?


かなり焦ったが、次の瞬間。

スライムの目の前に突然、赤いキノコが生えた。


……は?


目の錯覚か?と思わず疑ったその刹那、赤いキノコが火を吹いた!


ボーーーッ!という何とも勢いのある火がスライムを襲う。

スライムはあっという間に蒸発して、地面には石みたいな何かが転がっていた。


……待ってくれ、理解が追いつかない。


俺は確かに「ファイア」と言った。

だが、なぜか赤いキノコが生えた。

キノコは確かに火を吹いたさ……そう、それは紛うことなき「ファイア」だったよ。


……いや、そういうんじゃないんですけどね!?

何か手から火が出るとか、そういうのじゃないんですか!?


これ、魔法使いじゃなくて、キノコ使いじゃねぇか!


職業に偽り有りだぞ!


大声で叫んだが、広大な草原に虚しく響くだけだった。





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