瞑想からの人助け
某日 エスクロナ王国 上空
「シモニ―ロイ、異常はありません。」
大きなドラゴンに乗っている調査員は今日もエスクロナ王国を囲っている壁(シモニ―ロイ)を見守っている。よく他国から数導者が狙われるので、千年ぐらい前に作られたそうだ。エスクロナ大国は集合住宅の集まりである。そしてひときわ大きい城が王国の中心にある。王家、シモニー家が代々エスクロナ王国を創ったのである。今は現国王であるニヤーバ・シモニ―がこの国を統べている。だがこの国は今慌ただしいのである。数導者が行方不明になる事件が多発しているからだ。そのため、各国からの視線は痛い。
一方そのころ、
ブーナット入学前のイガーはいつものように、集合住宅の屋上でのびのびとハンモックで眠っていた。
「イガー、そろそろ起きなさい!」
「うーん、なんだよおふくろ、俺は別に休憩してるだけだろ」
「あんたの休憩は寝てるだけでしょ!いいからさっさと起きなさい」
しぶしぶ起きたイガーは今日も日課の瞑想をする。生まれた時点で数導者とわかるものだが、5歳の時に識別判定を受けさせられるのである。イガーの識別「畏怖の眠り」は強制的に相手を眠らせる能力である。これは何とも微妙な能力で、一般的に、識別は物理法則や自然現象を使うものが多い。それ以外の能力は非常に珍しいのである。ただイガーは”寝れるからいい”と思い、好んで瞑想をしている。瞑想をすることで、自分の識別レベルを無意識に上げている。来週からブーナットへ行かなければならない。本当に憂鬱なイガーはより意識を集中させ、瞑想を行う。
「だれかが、おそわれている」
殺気を感じたイガーはすぐにその場所へ向かう。イガーは瞑想中でも殺気を感じることができる。その場所へすぐ向かうと、白い髪の小さな女の子が複数の男たちに囲まれているのである。ただ殺気を出しているのは女の子のほうだ。親でも殺されたのかというくらいの形相で男たちを見ていた。
「お嬢ちゃん、持ってんだろ、モードダリアをよぉ」
「早く出しなよ、痛いようにはしねぇからよ」
イガーは目障りだったので識別を使う。
「畏怖の眠り しばらく眠ってな」
男たちは一斉に倒れた。どうやらうなされているようだ。
「お嬢ちゃん大丈夫か?」
イガーはよしよしと頭を撫でたのである。しかし、女の子は緊張が解けたのかすぐに眠ってしまった。
「あー、これはどうしようか」
苦笑いをして、母にどう説明しようかと考えている。
また、だらだら生活から離れてしまったイガーなのである。