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死後の世界に助けはありますか。

皆は知っているだろうか。

死んだはずの男が蘇ったことを...


...


9月18日。玖我優馬は死んだ。


目を開けると、視界は薄暗く、霧が立ち込めていた。足元には何も見えず、周囲は広がる草原のような場所だった。しかし、何かがおかしい。なぜか心は静かで、全身に痛みも感じなかった。


「ここは…どこだ?俺は…」


生前の記憶は断片的に残っているが、どこかが抜け落ちている気がする。すると、不意に霧の中から一人の人影が現れた。


「だ、誰だ!」


その影が、ゆっくりと歩み寄ってきた。そして、霧を切り裂くように現れたのは、黒いローブを纏った少女だった。


「ようこそ、デスプラネットへ!!」


「デスプラネット?」


「私は死神のトキ。死んだ人の案内をしているの!」


「死神? ここって、死んだ人が来る場所なのか?」


優馬はますます混乱し、状況を把握しきれなかった。


「とりあえず、着いてきて!」


トキは腕を差し出し、優馬に促した。


「わ、わかった。」


優馬はそのままトキの腕を握ると、瞬時に場所が変わった。目の前には、賑やかな街並みが広がっていた。


「うわ!なんだ、今の!」


「ここだよ!クールク街だよ。」


「クールク街? 見覚えがあるな。」


「うん!ここのコロッケがすごく美味しいんだよ。私のお金で買ってあげる!」


優馬は遠慮したが、結局トキに促されるままコロッケを買い、二人で食べることになった。


「あっ、この味、どこかで食べたことがある!」


優馬は驚いた。コロッケの味、そしてその味を作った人物のことを覚えている。1年前に亡くなったという店主のことを思い出す。


「もしかして、この店、あの店主が…」


「うん、そうだよ!あの人、死んだ後もここで食べ物を作ってるの。」


「ここって、もしかして、生前にあった街なの?」


「そうだよ!この街は、生前の世界に限りなく近い場所なんだ。だから、死んだ人が初めに来る場所でもあるんだよ。」


「なるほど。」


「でも、あそこの人たちも死者なんだ。」


「死者?」


「そう、死神には肩にマークがあるから、すぐにわかるよ!私たち死神は悪いことはしないから、心配しないで。君たちにはここで第二の人生を歩んでもらうお手伝いをしているんだ!」


トキは笑顔を浮かべながら話すが、優馬は依然として混乱していた。


「ありがとう、頑張ってね!」


「じゃあね!」


突然、トキは消えてしまった。


「テレポートか…?」


優馬はその不思議な現象に驚きながらも、しばらくその場で立ち尽くしていた。


「この世界、恐ろしいけど、なんだかワクワクしてきた。」


街には普通に人々が歩いており、その姿を見ていると、彼らもまた死んだ人たちなのかもしれないと感じた。何かをしなければならないと、優馬は感じていた。


「お金もないし、仕事を探さないと。」


優馬は街の中心に向かって歩き始めた。中心には大きな建物があり、その看板には「ハローワーク」と書かれていた。


「ここで仕事をもらえばいいか。」


優馬はその建物に向かって歩いていった。途中、商店街を通り過ぎ、人々が活気に溢れている様子を見かけた。やがて、ハローワークの建物に到着した。


建物に入ると、案内されたのは、三つの選択肢だった。


「どれも重いな。」


「すみません、これ以外の仕事はないんですか?」


受付の死神が冷静に答えた。


「こちらのリストからお選びください。労働時間は12時間、休憩は30分が標準です。」


「どれもキツすぎるだろ…こんな仕事誰が耐えられるんだ。」


「適応することが大切です。第二の人生は、あなた次第です。」


その言葉を聞いて、近くで立っていた死者が笑った。


「はは、甘いこと言ってるうちはいいさ。この世界じゃ、働くか死ぬかの二択だ。」


「金のために死ぬなんてごめんだね!」


優馬はその言葉を心に留めながら、決意を固めた。


次回へ続く…

次回、大切な記憶

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