表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/68

第四五話 村の異変



こうして私はコンラッド村に戻ってきた。

…悔しい。悔しい悔しい悔しい

私はベッドの上で悔しさを噛み締める。


ただただ悔しさ噛み締める事しかできない自分が情けない。

一対一なら龍の眷属とかいう強キャラっぽい敵でも勝てるだろうと、なんの根拠もない自信を持って今回の一件に臨んでいた。

そんな楽観的な考えじゃあ負けて当たり前だ。


先生と毎日のように戦っていたとき、私は一度も簡単に勝てるだなんて思ったことがなかった。

もちろん負けると思って臨みもしなかったが。

きっと毎日のように敗北していたからだろう。


だが最近の私はどうだ?油断して足元を掬われることだって多々あったし、明らかな強敵を相手に警戒をあまりしていなかったのは、明らかに私が天狗になっていたからだろう。

それはきっと私が勝利に慣れていなかったのと、最近は負け知らずだったということもあるのだろう。


狼との戦いでは多対一という言い訳があったため自分が負けたなんて真の意味で思ってはいなかったんだろう。

次だ、次こそ勝利する。

もうどんな敵が相手でも油断なんてしない。

そう心に刻んで私はベッドから起き上がる。


そこで私は違和感に気づいた。

ここは宿舎だ。

その筈なんだがなんだかあたりが静かすぎる。


音が聞こえないわけではないんだ。

現に風が木の葉を揺らしたり、鳥の鳴き声のようなものも時たま聞こえてくる。

だが人の声が聞こえないのだ。


いや、マジで五感がこのレベルで強化された私の耳で人の声が聞こえないってのはかなりの距離が空いてでもいなければありえないんだよ。

そしてここは宿舎だよ?


つまりは、いくら人が少なくなったとはいえ、なんの音も聞こえないのは異常ってこと。

心配になり私は宿を出た。

散策してみるが人っ子一人いない。


今の私ならあまり褒められたことではないのだろうが、家の中の話だって聞き取れるだろう。

だがいくら夕暮れ時だからとはいえ、なんの物音もしない異常事態に流石に違和感を感じ歩く速度を引き上げ、走り出す。

しばらくそうしていると薄っすらと話し声が聞こえた。


急いで話し声が聞こえた方向へ駆け出す。

するとこの村のほとんどすべての住人が一箇所に集まっていることが分かったった。

その場所は村長の家だった。

私は外で話を聞くことにした。


「どうするんだ!今すぐにでも魔物たちが攻めてくるかもしれないんだぞ。」


「この土地を捨てて逃げろとでも言うつもりか!この土地、この家は儂のすべてじゃ!」


「だからって命を無駄に散らすことなんて無いだろう。一旦避難するだけじゃないか、また魔物たちの活性化が収まってから戻ってくればいい。」


「その間にここが荒らされない保証がどこにある?言っただろう?ここは儂の全てじゃ!決して離れはせん」


「まあまあ落ち着いて。」


「なんじゃ、貴様もやはり捨てるのか。我々が築き上げ、共に過ごしてきたこの土地を。」


「そもそもなんでいきなりこんな事になるんだよ…」


「もう付き合ってらんねえ。俺は避難するぜ。お前らもそんなに死にたいならここに残るといい。」


そうして私の前の扉が開けられ、一人の若者が出てくる。


「あんたは誰だ?よそ者かい?なら逃げたほうがいいぜ、いつ魔物が攻めてくるか分からねえ。」


何があったの?


「ああ、北にある森の奥からバカでけえ火柱?のようなものが上がったんだよ。それが魔物が攻めてくる合図だろうってことで、今この村と運命を共にする者と命を大切に避難するものとで別れているんだ。」


…十中八九あいつのブレスだろう。


「あなたは確か北の森に行った騎士さんじゃなかったっけ?なにか変なことはなかった?」


行きの途中にいたおばさんに話しかけられる。


特になかったと思う。


「…お前、北の森に行ったのか。」


うん


「お前が魔物たちを刺激したんじゃないだろうな?」


そう若者が言った途端村人たちの疑惑の目が私に向けられる。


刺激したかはわからないけど魔物と少し戦った。


「それを魔物を刺激するっていうんだよ!」


でもどうせ魔物は攻めてきたんじゃないの?


「だが攻めてこない可能性だってあっただろう!俺が好き好んでこの村を出たいと思っているとでも思ったのか?そんなわけがないだろう!俺が生まれてからずっと過ごしてきたこれ以上無いほど大切な場所だ!」


これまでは魔物たちの進行を防ぐことができていたのだろう。

だがあの竜が眷属を作り出したことによって状況は変わった。

魔物が強くなりすぎ、人間たちでは守りきれなくなったのだろう。


まあこの土地をこんなに大切にしているならこの反応もわかるというものだ。

とにかくここは一度謝っておくべきだろう。


そうだったんだごめんなさい。森の中に入るだけでそんなに刺激を与えてしまうとは思わなくって。


「………そうか…ふぅ〜…猶予はどれくらいありそうだ?魔物たちの様子を探ってきたんだろう?」


若者は落ち着いたのか、それとも怒っても仕方がないと思い直したのか大きく息を吐きだし、少し落ち着いた様子で話しかけてきた。

というかなぜ私が森の様子を探ってきたということが分かったのか…

まあ森の中にいればどうしても何となく森の様子ぐらいは分かるしそんなもんか。


多分だけど2ヶ月ぐらい。


ここで2ヶ月と答えたのは理由がある。

それは掲示版であと2ヶ月ぐらいでスタンピードがあると騒いでいた人がいたからだ。

森の様子などもちろん分からない。


「森の中はどうなっていたんだ?」


金色の魔物だらけ。


「…そうか、ありがとう。すまなかったな、いきなり怒鳴って。今は怒ってる場合じゃあないことぐらい俺もわかってるんだ。」


なるほど、どうしようもなければ逃げようと思ってたぐらいなんだがどうやら杞憂だったようだ。

私は正義の味方になりたくてこのゲームを始めたわけじゃないから、別にどうでも良かったが面倒事は困る。


「あんたは騎士なんだろ?このことを上に報告すれば騎士団がこの森の魔物を制圧するために動いてくれると思うか?」


多分動かない


なんの利益もなく、旨味もないこんな辺境の村のために騎士団を動かすことはないだろう。

王都の守りを薄くするほどのリスクとリターンが見合っていない。

まあ流石にそれはこの若者も分かっていたようで、別に驚いたり劇的な反応をしたりすることはなかった。


「そうか…そうだよな。ありがとな、分かった。」


それからは村の人達はなぜかは分からないが次は怒鳴り合ったりはせず、静かに話し合っていた。

私は十分ほど待ってみたものの完全に蚊帳の外だったのでこれ以上私と話すことはないということなのだろう。



感想で言われて気付いたのたのですがどうやら〔気力感知〕と(気力感知)の差が分かりにくかったようです。(因みにかっこが違います()〔〕)

この差としては私としてはスキルの等級のようなものを想像しております。

ご迷惑をおかけしますが、この書き方でかなり先まで書き進めてしまっているので、申し訳ありませんがこのまま物語を進めさせていただきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 説明しても信用がとかもそうでも、眷属との約束とかは当事者でも、国王とかでもなのに一般人には話せないだろとか思った。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ