第三五話 魔力
それに気を操るのにも慣れてきたし、もう一つの力を操るのもできるくらいには余裕も出てきた。
ということで結界士のチュートリアルをすることに。
だが、職業チュートリアルが可能なのはメインジョブのみという謎仕様のせいで、とにかく自分でやることになった。
とりあえずまずは魔力を感じましょう。
しばらく瞑想しながら何とか感じれないか模索する。
……全然感じないんだけど
……あれ?もしかして魔力ってこれ?
当たり前のように体の中にあるもんだからしばらくは気づかなかったが、どうやらこの感触?見た目?―――感覚で理解しているので言葉では表しにくい―――が非常に似ている物体のが魔力なようだ。
動かそうとしたらなんかいくつか動かなかったので違和感があったんだよね…
ということでおそらくは次のステップは魔力操作だろう。
気とは感覚が少々違ったが概ね同じなので何とか成功。
ただ結界の張り方は分からないので調べてみる。
結界術というスキルを獲得するなんて説明があったが、スキルポイントで獲得しなくてもレベルが上っていくと自然に拳術も獲得できたから我慢しようかな。
いや、だが私はできれば今すぐに空を駆けたい。
多分魔力を凝縮すれば物質的にも干渉できるようになるはず、と適当に当たりをつけ、必死に魔力を動かし固めようとする。
だが、まだ魔力操作のレベルが低いため固めるなんて事はできない。
く、まだ早かったか…
いや、まだ諦めるには早い。物質的には魔力に干渉できなくても気なら干渉できるんじゃあないのか?
ただ残念ながら気では魔力に干渉できないようだった。
なんでだろ?というか、そもそも魔力とは何なんだ?…
なぜ物質的には干渉できないのに火の玉や水の槍を創り出せるんだ?
ただ、よくよく考えるならば気だってそうだこちらからでは干渉できないのに向こうからは干渉できる。
事実私の体に気は干渉して補助をすることができる。
私はこうした仮説を立ててみた。
魔力は決まった場所から魔力を道として何かを呼び出す。
そして、魔力を道として決めた場所へと動かし、操ることができる。
…みたいな?
まああり得ないだろうが私としては創り出すよりは呼び出す、召喚することのほうが現実的に思えたのだ。
気は私に直接影響を与えているのではなく、一度何かを挟んで何かに干渉、その何かが私に直接干渉している。
つまる所気が私に影響を与えているのではなく、気が影響を与えた何かが私に干渉しているのだ。それは私に知覚できず、私に干渉できる。
まあ実際のところはどうだなんて分からない。
もしかしたらファンタジーだからみたいな理由で、とか仕様だから特に理由なんて無いのかもしれない。
まあ、だからこれはただの仮説でしかない。
そうこうしているとなんか宿に人が呼びに来た。




