第三十話 手紙
誤字報告ありがとうございました。
「ところで拳鬼の弟子のあんたがわざわざなんでこんなところに来たんだ?」
とデイクが質問してくる。
お爺さんに渡すものを頼まれた。
「どんなものだ?」
手紙とミスリルゴーレムの素材を手渡す。
「手紙の方を確認させてもらっていいか?」
まあ別に機密情報だとかも言ってなかったし別にいいだろう。
コクン
「こっこれは…済まないがハルさんはいつまでティアラに滞在する予定なんだ?」
何故かは知らないが慌てたように聞いてきた。
別に予定は決めてない
「では宿の代金はこちらで出すから数日間ティアラに滞在してくれないか?」
コクン
「そうか、ありがとう。この大通りの3番目の右へ曲がる道を行けば黒豹亭という宿があるそこに止まっていてくれ。」
{クエスト 魔物の変異を追って がクリアされました。}
そうしてそれなりの金額を渡される。
そして私はその場から立ち去った。
「おいデイクあの手紙には何が書いてあったんだ?」
「黄金龍の一件の生き残りがいるかもだってさ。」
「おいおいまじかよ、どんぐらいのレベルだ?」
「おそらくは亜竜で、強さは亜竜級にはほぼ間違いなく足突っ込んでるってよ。」
「あと何回だと思う?」
「流石に一回は死んでるだろうし1回か、2回だろ。」
「あれを生き残ったって言っても一回も死んでないのは流石にありえないだろうしな。」
俺らは異邦人と違って無制限に生き返れるわけじゃない。
俺らは3回しか生き返れねえし、しかも1度死んだら復活は一ヶ月後だ。
回数を回復させる方法もあるがそれは簡単なことじゃあねえ。
それはモンスターにも適用される。
ただ唯一の例外がある。
それは何者かに忠誠を誓っている、もしくは眷属になっていることだ。
その状態になれば復活期間も丸一日に短縮されるし復活も無制限だ。
ただ、眷属にされた相手、忠誠を誓った相手の命令を聞かなきゃならねえ、これが厄介な点だ。
とはいえ誰にでもそんな事が可能、というわけではなくてできる者は限られている。
一定以上の地位に立ったり、強さにならなければ、そういった配下づくりは不可能だ。
「そういえば変異した熊はどうだった?」
「今思えばあいつも亜竜の眷属だったのかもな、金色掛かっていたし。」
「いや、倒したんだろ素材はどうした?」
「多分ハルのアイテムボックスの中」
「はぁ?何でそんなことになるんだよ。」
「いや、俺らが気絶している間にハルが倒したから無理だったんだよ。しかもお前も聞いての通り初めは敵対関係だったからパーティーも組んでなかったしな。ただ、一瞬やつの死体は見えたから奴が逃げたってことはないぜ。」
「いやそんなわけ無いだろ。ハルのステータスを見ただろ、まだ一次職のはじめだぞ。どうやったらお前が勝てなかった相手に勝てるんだよ。お前は転職はまだらしいけどあと少しで、三回目の上昇で星3になるだろ?」
「いや、本当だ。あいつはステータスこそ低かったが戦闘では俺らに劣らず活躍してたぞ。」
「えぇ、まだあの拳術のレベルなら武技も使えないだろうしどうなってんだ。」
「これは勘みたいなもんだが、体の能力を余すこと無く使えてるんじゃないかなと思う。俺だったりは体の能力を数十パーセントは無駄にしているだろう。だがあいつは限りなくその体のスペックの限界まで力を引き出せている、みたいな?それに、実際、体の動かし方にも無駄がなかったように見えた。」
「なんだよそれ、それだけでそんな変わるもんなのかよ…まあ流石は拳鬼の弟子ってとこかな…」