第一八話 魔物の変異
…あれ?もしかしてこれでお爺さんに会いに行ける?
ということでお爺さんに会いに訓練場に来ました。
「おや、もう来たのかハルよ」
コクン
「いきなりだがハルよ、お主ワシの弟子になる気はないか?」
なんていきなり言ってきた
私としてはこちらからお願いしたいぐらいだ。
あります
「そうかそうかワシはアバラじゃこれからよろしくの」
とお爺さんは嬉しそうに言ってきた。
どうやらお爺さんはアバラと言うらしい。
よろしくお願いします。
「ところでお前は話せんのか?」
いえ、話せます
「ならば話さんかい」
でも話すのが苦手で…
「いいから話せ、いちいち待つのが時間の無駄じゃ」
「は、はい」
「うむ、それで良い。ではまずは基本的な動作について教えよう………」
それから爺さんとの訓練が始まった。
はじめのうちは「もっと腰を落とせ。体全体の力を使え。違う、そうじゃないわバカタレ!」などとひどい言われようだったが今では…。
「そうだ、うむ基礎的な動作はそろそろ良いだろう。では次にオーラの使い方について話そう。まずオーラは体の外側から自身の体を強化したり、相手にダメージを与える技術だ。もう使えるだろう?」
「はい」
「ではとりあえず纏ってみなさい」
「赤」を纏う。
「ほう…これはなかなかだな。どれ、もっと薄く纏ってみなさい、攻撃力などのステータス増加量は全く変わらんはずじゃ。」
薄く薄く、更に薄く纏う。気力感知で感じれる気力の粒を更にきめ細かく分けていき、感知したそれらを操る精度を更に高めながら薄く広げていく…。
「こんなものでど、どうでしょうか?」
「うむ…素晴らしい精度じゃ、では次に体内の気の粒を互いに結びつけてみなさい。きめ細かければきめ細かいほど、強固であれば強固であるほどよい。そしてその結びつけることを気力を編むというのじゃ。」
な、なるほど?まあとにかくやってみるか…くっ、くそせっかく繋げたのにいつの間にかこっちが外れて、あっああ〜これまでの努力が崩れてくー…
30分程やってみたところこれがめっちゃムズイ。
20分程必死にやったところ、つなぎ合わせるという感覚は理解できたのだ。
ただそこからが地獄だった。一つ一つを繋ぎ合わせ、地道に繋げていくそしてある程度まで行ったと油断した瞬間にはじめの辺りが解け始め、空・中・分・解……
くそ、くそ〜まっまあ今日は集中力が切れただけだし〜…一旦ログアウトするか。
私は今訓練場にいます。
私、今日も訓練場から一歩も出てないです。
もうかれこれ3時間。
いま、今ついに全身のオーラ、気を繋げ終えました。
「ほれ」
「ぇえ」
こ、こ、この糞ジジイぶっk
今このジジイがやったことを説明してやろう。
やったことは至って単純私の気力の制御が甘いところを狙って制御を奪い、私が繋げたオーラや気の繋がりを崩壊させたのだろう…
「ふむ、だめじゃのう。そもそもオーラや気を編むのは自身の気への支配力、操作性をより強固にすることを目的にしており、他者の干渉を受け付けにくくすることができるのじゃが…お主にはまだ早かったようじゃの。まずは気の密度でも上げておれ、それができればとりあえずオーラを纏ったときの能力値の上昇や身体強化の強化率が上昇するじゃろうしな。」
…まあ爺さんについていけば強くはなれるんだ。
とにかくアドバイスに従ってやってみよう
っていつの間にか私の気がなくなってる、なんでだ?…このジジイか
私は爺さんに向けて放った拳を当たり前のように受け止められながらそう思った。
よくよく考えたら多分爺さんは私の体内の気の制御を奪ってきた。
私が他者の気に干渉するには相手の体に直接触れ、なおかつ相手が気を制御できないという厳しい条件がなければ不可能だ。
そう考えるとこの爺さんはさり気なく難易度が凄まじいことをやってのけている、いつか爺さんを超えるときが楽しみだ。
気の密度の上昇は3倍ぐらいまでなら簡単だった。
ただそれ以上はもっと細かく気を分ける必要があるように感じた。
そんなふうに気について考えていると
「お主、最近どうやら金色の魔物が出現しておるようなんじゃが知っておるか?」
「うん多分、山のてっぺんにいたのが金ピカのゴーレムだったよ。」
「なに?山のてっぺんだと?倒したのか?」
「うん」
「素材はあるか?あれば見せてくれ」
素材を渡す。
「これは確かに変質しているがミスリルだな…ここまでとなると亜竜級か?このレベルのものが生き残っておっったのか…すまんがハルよ、王都に行ってくれんか?」
{クエスト 魔物の変異を追って が発生しました。}
{クエストを受けますか?}
などというおなじみのウィンドウが出てきた。
…どうやら金色の魔物は変異種らしい。
まあ勿論OKよ。
「いいですよ」
そう返事をすると
「ではこれを渡そう」
なんか地図と手紙を渡してきた。
これを門番に渡せば通してくれるってさ。
私はどうやら人見知りであったらしく、爺とはずっとアドバイスとかもらってたらなんか喋れるようになった。