第一六話 魔法
今さっきまで戦ってたのと違ってかっこいいだと!
これは戦うのが楽しみだ。
そんな馬鹿なことを考えた矢先にそいつは突進してきた。
なかなか早いけど特に問題はないかな…
そしてそのまま私に拳を振るってくる。
回避する。
しかしそいつの拳が地面に命中したことにより地面が大きく揺れる。
おいおいこいつ、バカ力すぎだろ。
バランスを崩しかける
ゴーレムが再び殴りかかってくる。
そいつの腕を蹴り飛ばして離れながらこいつをどう相手をするかについて考える。
とりあえず一旦距離をとって仕切り直し。
ただ、よく考えれば私が出来ることなどたかが知れている。
なんせ物理攻撃しか私の攻撃手段はなく、こいつの場合は攻撃力がおかしいので「黄」を纏っていてもまともに攻撃を受ければまとまったダメージを負う事になるだろう。
しかしあくまで主観だがなんとも自分の力を扱いきれていないように感じる。
ならダメージを受ける前に連打で押し切ってやる。
そう考えた私は「赤」を纏ってそいつに接近して殴り続ける。
「オラオラオラオラ」
避けて避けて攻撃し続けた。
ただ中々倒れない。
なんてHPが多いんだよ…あれ?こいつ傷が治ってる?
なんとなくだが気力感知で見た感じ回復している気がする。
見た感じ少しずつ凹んだ場所が治ってきている。
まずいなこのままじゃ手がおかしくなるぞ…
使えもしない鋼線じゃなくてナックルでも買っておけばよかったなと軽く後悔。
幸い与えるダメージは回復量よりも多いようでどんどん変形させていけてる。
何とか勝てるかなと思ってきたところで。奴が距離を取る。
あ、こいつあんときの兎と一緒で速くなるつもりだなと思いすぐさま追撃を選択。
さっさと邪魔してとどめを刺そうと思っていたところに想定より早く奴が行動を起こす。
そして更に予想と違い奴は火の玉を出した。
流石にこれには驚いた。
なんとか回避するも次々と奴は火を飛ばしてくる。
あの野郎と思いつつ奴を観察するとどうやら今は傷の回復は行われていないようだった。
これは朗報だ。
無理にでも急いで攻める必要性がなくなった。
時間は余裕があればあるほどいい。
奴の直接攻撃を避けながら火の玉にも警戒をする。
これはあまり簡単なことではない。
特に奴の火の玉は範囲が広く避け続けるのは困難だ。
ただ、あの火の玉はかなりのダメージを受ける。
余波だけでも少しダメージを受ける。
直撃したらめっちゃダメージを受けるだろう。
十中八九これは魔法だろう。
魔防にポイント振ってないしこれは仕方ないのかななんて思いつつ必死に回避する。
…このままではジリ貧だな、しばらくしてからそう思った私は多少のダメージを厭わず奴に近づくことにする。
所々で軽く地面を揺らしてくるのが妙に邪魔だな
だが何とか掻い潜ったぞ
散々火の玉をくれた礼にたらふく拳をくれてやろう。
おらおらおら
「ボンッ」
「グフッ」
気持ちよく殴っていたらいきなりふっ飛ばされた。
そして地面に叩きつけられる。
…しまったな油断しすぎたか、そりゃあ体の近くなら火の玉召喚ぐらいできるよな。
流石に体にほぼ密着状態でも防げるほど速くはない。
ここまでダメージを受けるのは初だな多分今の火の玉で100ぐらいダメージを受けたんじゃないのかな?
叩きつけられて更に100ぐらい?まあ体感だけど。
…ふう、とうとうこれを実戦で試す日が来たようだ。