序文
誤字報告ありがとうございました
「先生、今までありがとうございました。」
私、春はついに青春を捧げたJAPANESE SAMURAIというゲームのエンディングをぼうっと眺めていた。
このJAPANESE SAMURAIというゲームは端的に言えば道場破りのゲームである。
このゲームはストーリー等といったものは一切無く、ただただ道場破りをするというなんともシンプルな内容である。
ただ、このゲームの敵はクリアをさせる気がないのではないかという程に果てし無く強い。
このゲームを作った会社に文句を言ってやりたいところだが残念ながらかなり昔にその会社は倒産してしまっているらしい。
なぜ私がそんなゲームをひたすらにプレイしていたかというと今どきのフルダイブゲームは大抵何かと会話をする必要があるからだ。
話すのが苦手な私には、こんなゲームではあるが合っていたのだろう。
だからここまで全力で取り組み、全力で楽しむことができたのだ。
そうして私はついにこのゲームにおいてのラスボスを倒すことに成功した。
ちなみにこのゲームのラスボスは幼女である。
なぜかわからないが幼女である。
大事なことなので2度言った。
彼女の一つ前に戦った相手はこれぞ武士って感じのがっしりとした男だったのだが彼女になったらいきなりそうなった。
彼女は強かった。
小さくてすばしっこいせいで武器は当たらんし、向こうのほうが力が強いのにしっかりと攻撃を流してくるしで1回諦めた。
体が弱いせいで何もすることがなく2日で再びログインをしたが・・・
初めてその体に刀を叩きつけたのは去年の秋であった。
1割未満しかヒットポイントが減っておらず悲しい気持ちになったのもいい思い出である(私は2発でKO)。
その圧倒的な強さに敬意を表すためそれから彼女のことを先生と呼ぶようになった。
しかし私はそんな先生に私は勝ったのだ。
「何しよう?」
ログアウトした私はベッドの上でそう呟いた。
どうやら私は燃え尽きてしまったようだ、そう感じた。
「なあなあ、来月からリリースされるOur World Onlineってゲーム一緒にやらね?」
「ええで、一緒にやるか」
オンライン授業が始まる前の時間にそんな声が聞こえた。
聞いていると、気になってきて軽く調べてみた。
どうやらそのゲームは圧倒的な自由度をキャッチコピーとしたゲームであるようだった。
(やりたいこともないしとにかくやってみようかな)
そう思い私は、そのゲームを始めることにした。