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ナオミとマサミ

作者: 船五郎

対照的な姉妹のトラブルを描いています。どうか、気軽な気持ちで読んで下さい。

1

高杉家には2人の女の子がいた。

長女は尚美と言う名前で、勝ち気で気が強く、強情でワガママだった。

3っつ下の次女は雅美と言う名前で、内向的でおとなしく、優しい子だった。

尚美は中学にあがると、タバコを吸い始め、髪の毛を金髪に染め、夜の街を徘徊するようになった。家に戻るのが夜の12時を過ぎる事が度々あり、両親を困惑させた。

尚美は高校2年の時、校庭でタバコを吸っているところを教師に咎められ、それが原因で高校を辞めてしまった。

父は激怒し、尚美と口論になった。

「こんな家でていってやる」尚美はそう言い残し、家出をしてしまった。

その後彼女は友達の家に転がり込み、一時住まわせてもらっていたが、その友達の紹介で、その友達の先輩を紹介され、その先輩のアパートに同居することになった。その先輩の紹介で風俗店でバイトすることになり、行く行くは風俗嬢となってしまった。淫行目的でやってくる男性客を相手に淫らな行為をした。


妹の雅美は、小学校の時、マザーテレサの伝記を読み、感銘を受けた。以来彼女は人権に感心を持つようになった。

雅美は高校の時、人権文集で作文を読み上げ、金賞を取った。

その後彼女は福祉系の大学に進学し、そこで介護福祉士の資格を取った。卒業後は重症心身障碍者の施設に就職し、介護職員として働くことになった。


尚美はバーで飲んでいるとき、河野と名乗る男に声をかけられ、「俺と一緒に暮らさないか?俺が面倒を見てやる」と誘われた。尚美は即答し、そのまま仕事をやめ、河野と同棲するようになった。河野はヤクザだった。

2

ある日、尚美は髪の毛を金髪に染め、ミニスカートを履き、街をブラついていた。

向かい側の方から見覚えのある若い女性が歩いて来るのが見えた。

「アレッ、雅美じゃない、何しているの?こんなところで」

「お姉ちゃん…」

雅美はびっくりした顔で尚美をみた。

「ねえ、久しぶりに会ったんだからお茶でも飲まない?」

「私、急いでいるから」

「久しぶりに会ったんだからいいじゃない。時間取らせないから!」

尚美は雅美を引っ張っていき、近くの喫茶店に入り込んだ。

雅美はまんじりともしなかったが、姉の質問に答えていった。

「へぇー、あんたが介護職員ねー」

尚美はタバコを燻らせながら言った。

「お姉ちゃんは何してるの?」

雅美は聞いた。

「あたし?あたしのことは気にしないで、それなりにやってるから」

尚美はオレンジジュースを飲みながら言った。

「それにしてもあんたも立派になったもんねー、勉強したんでしょ?結構いい線いってるじゃない!」

雅美は俯いた。

「パパとママが心配してたわ、お姉ちゃんがいなくなって、二人とも元気なかった」

「あんな親、あたしにはどうでもいいのよ、関係ない人達なんだから!」

雅美は尚美から視線をそらした。

「じゃあ、これでいい?私用事があるから…」

「あっ、最後にLINE交換しない?」

二人は店を出た。


自宅に戻った雅美は複雑な気分だった。あの姉が無事でいてくれたことは嬉しかったが、あの派手な格好は。

雅美はこのことを早速両親に報告した。

3

尚美はベッドの横で河野に言った。

「ねぇー、あたし旅行に行きたーい」

「30万用意しろ、俺がハワイに連れてってやる」

「30万でいいのね!わかった」


それからしばらくして尚美は雅美から教えてもらった住所を便りに、GPSを使い、雅美のアパートを訪ねた。

雅美はたまたま自宅に居たが、尚美は部屋に入ってくるなり椅子に座り込み、言った。

「ねえ、あんた30万貸してくれない?あんた介護士してるんだからそれぐらいあるでしょ」

「無いわよ」

「嘘、あたしあんたが貸してくれるというまでここ動かない!」

雅美にとってこの姉は迷惑以外の何物でもなかった。この姉には子供のころから手を焼かされていた。


尚美と雅美がまだ小学校のころ、母親の澄恵が尚美の部屋に入ってきた。尚美の煩雑な部屋を見て澄恵は言った。「またこんなに散らかしてぇ、雅美はちゃんときれいにしてるわよ」

「うるさいなぁー、なんでいちいちあの子と比較するの?」

「あんたお姉ちゃんでしょ!」

こういった会話が日常茶飯事だった。


翌月、尚美は河野と共にハワイに渡航した。

4

尚美がなかなかお金を返してくれない為、雅美は父親に訴えた。父は激怒し、雅美から教えてもらった尚美の携帯番号にかけた。

「尚美、おまえ雅美から金借りただろ」

「うるさいなー、あの子が部屋に男連れ込んでいたからあの子があたしに口止め料として払ったのよぉ」

「雅美はそんな子じゃない!」

尚美は電話を切り、着信拒否にしてしまった。

結局貸した金は父親が肩代わりすることになった。

「雅美、すまん」

父親は謝った。

「パパは謝らなくていいから」

父親の隆之は頭を抱えた。姉妹なのに、同じ家庭環境に育ったのに、どうしてこんなに性格が違ってしまったのだろうか…


尚美は酒、タバコ、パチンコに溺れていたが、妹の雅美は一切そんなことはやらない。

この対照的な姉妹の性格は一体どこで行違ってしまったのだろうか?隆之には到底理解ができなかった。

5

尚美は河野の勧めで大麻を吸うようになった。なんともいえぬ高揚感に包まれた。尚美は気分がハイのままセックスをした。快楽にふけった。

同じころ雅美は、入所者の体を洗ってやったり、着替えをさせたり、食事の補助をさせたりしていた。汗水たらして働いた。

雅美は職場の先輩で小森という男性といつしか食事に行く仲になっていた。ある日小森は雅美を映画に誘った。映画の帰りに喫茶店に入り話をすることになった。

「高杉さん、最近つかれてるんじゃない?」小森はいった。

「そうですか?気のせいじゃないですか?私は大丈夫ですよ!」

「そうだといいんだけど、あまり無理しないでね」

その時尚美が河野と一緒に喫茶店にはいってきた。

「あれ、雅美じゃない、何してんの?こんなところで?しかも男の人と一緒じゃない!」

雅美は立ち上がった。

「もうこんな店出ましょう」

小森はびっくりした顔でいった。

「誰なんだい?この人たちは?」

「いいから出ましょう」

雅美はカウンターのほうに向かった。

「ねえなんで逃げんのー?」

雅美は尚美の言うことを無視して店を出て行った。小森は慌てて後を追いかけた。

「ねえ、誰なんだい??あの女の人は?」

雅美は淀みのない声で言った。

「私には嫌な思い出しかない人よ!」


その後、尚美は大麻所持で警察に捕まり、河野と共に実刑判決を受けた。

雅美は小森と結婚した。


       尚美と雅美


この対照的な姉妹の性格の違いは何だったんだろうか?同じ遺伝子を共有しながら、どうしてこうもかけ離れているのだろう…

夜と昼、悪魔と天使、こう呼ぶにふさわしい姉と妹の生き方は、まさに驚天動地の運命の悪戯である。これを説明するには、神のみぞ知る、という事の他に、他ならない。















粗悪な性格の姉を妹は救ってやれなかったのか…

この姉妹の末路はまさに運命的。

私はこの小説を書くにあたって知恵を絞りました。全能力を傾けました。というのも私が知的障碍者だからです。

小説が好きで自分でも書いてみようと思い、一念発起して書いた作品です。

至らない点もあると思いますが、元々姉妹ネタの小説が書きたかったので、挑戦してみようと思った次第です。どうか感想をお聞かせください。

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