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9.コーギーの腹みせ

 ビルは、お腹を上にしてパルに撫でられうっとりして、舌を出している。もともと意識は神族のマコトなので、コーギー犬族のリラックスの仕方についてビルは知らなかった。

 しかし、コリー犬族のパルから聞いて試したら、本当に幸福感があふれ、リラックスできた。

 パルが聞く。「もう、いいかしら?」

 パルも犬族なので、ビルの気持ちは分かるが、コーギー犬族のようにやたらとやるわけではない。

 そしてビル・クインの人格を復活させる為に、ビル・クインの最も印象に残ることをしている。

 これは、さっき現れた八重子の弟、神族のジロウから言われた事だ。

 ビルが言う。「もう、少しだけ。」

 これで三度目の延長だ。さすがに疲れたパルが念を押す。

 パルが言う。「これで最後。」

 パルは本当に手が疲れている。


 ビル・クインの意識を復活させる。

 これには、今の意識、マコトが消える危険性がある。

 それでも、復活させようとするには理由がある。

 それは、半年後に迫った大統領選挙戦で、この自由主義大国を乗っ取る陰謀を阻止するためである。

 この陰謀の危険性について、異世界から意識()だけ転生したガナハ・マコトにはよく分かる。そして、その陰謀の黒幕にビル・クインはあと少しで手が届くところだった。

 



 マコトがいた異世界での均一主義(コミュニズム)大国は、半年後、選挙集計機(ドミニオン)を使って史上最低の投票数を最高の投票数に修正した。

 しかも、大マスコミは、全て嘘を垂れ流す。

 その上、インターネット(フェイクブックなど)では、言論統制を行い、不正選挙を誤魔化す。

 この世界も、多様な人類であることを除けば、ほぼ同じようにに見える。つまり半年後の大統領選挙戦では、空前絶後の不正選挙が行なわれる。

 これは、自由主義大国を解体し、世界を均一主義大国の植民地に変えることだ。そして同時に、世界を詐欺と腐敗の蔓延する地上の地獄へ変えることだ。


 マコトの意識()が叫ぶ。「許してはいけない。」

 だから、マコトは自らの危険をおかしても、ビル・クインの魂を復活させることにした。

 そして、ビル・クインが調べているアーカンゾー州の「C・ホワイト」の手がかりを思い出そうとしている。





 そこへ、ビル・クインの意識復活の為に呼ばれたジロウが現れる。八重子の弟で神族の少年だ。茶色の髪と茶色の肌を持つ。


 ジロウがビル(マコト)に聞く。「リラックスしていますか?」

 ビルが言う。「ああ。天国だ。」

 そして目を開ける。「八重子の弟で、神族なのか?」

 かつてこの世界で人類は遺伝子操作を行えた時代があった。その時代には、宇宙に人工衛星をさかんに打ち上げてもいた。しかし、その時代に人類は核戦争でその人口を大きく減らした。その上、環境が激変した為、過酷な環境に生き残れる人類を作る為、様々な動物たちの遺伝子を人類の遺伝子に組み込み、コーギー犬族や、豚人族などを作った。

 ただ基本は人であるので、たまに人、つまり、神が自分に似せて作ったと言われる神族が生まれることがある。

 ジロウが言う。「ええ。そうです。」

 ビルが聞く。「ビル・クインとマコトを両方助けられるのか?」

 ジロウがビルを見て言う。「出来る限りのことはします。でも、約束はできません。」

 ビルが言う。「そうだよな。でも、クインのやつは復活させてくれ。」

 ビル(マコト)が、ビル・クインの意識を復活させることを優先するように言うのにジロウが驚く。

 ジロウが聞く。「なぜですか?」

 ビルが言う。「ビル・クインは、本当にこの国を愛し、この国の人たちが好きだった。そしてこの国の人たちの未来の為に全てを賭けていたのが分かるからさ。」

 ジロウが聞く。「本当にそれでもよいのですか?」

 ビル(マコト)が言う。「ああ、いいぜ。」

 

 ジロウが言う。「ならば、神の光り(ヤハウエー)を求めながら夢を見てください。」

 気持ちよく眠けに誘われているビルはそのまま眠りにつく。

 パルは仕方なく撫でる。

 パルは言う。「あー。疲れて私も寝たいのに。」

 

 ビルは少し寝て、目を覚まして言う。「ケシの花が咲く高原に巨人が鳥を持っていた。」

 八重子が言う。「アーカンゾー州スプリングだ。」

 アーカンゾー州スプリングには、タイタン(巨人)・チキンの本社がある。

 タイタン(巨人)・チキンには、「Cホワイト」と呼ばれるヘロインを均一主義(コミュニズム)大国から輸入している疑惑がある。

 それを聞いたパルが緊張している。

 ヘロインを扱う均一主義大国は、まるでマフィアが国家の乗っ取ったイメージなのだから、当然だ。

 八重子がパルに聞く。「ここからは、本当に殺しあいになる。それでもついてくるのか?」

 そこへナットの父親のカールが近づく。

 カールが言う。「俺はついていく。」

 パルも言う。「私もいく。」

 ナットがカールを見て言う。「家にもどらないの?」

 カールが言う。「戻りたい。でも、今戻っても自信がない。」

 ヨツオがやって来て聞く。「本当にいいのか?」

 カールが言う。「ああ、約束を守る自信ができるまで戻らない。」

 カールは、ナットと約束している。もう殴らないと。

 ただカールには、その約束を守る自信がない。

 ヨツオがナットに聞く。「二度と会えなくなるかもしれない。それでもいいか?」

 ナットがカールを見る。

 カールが言う。「お前との約束を守る為に行かせてくれ。ナット。」

 ナットが頷き、言う。「行ってらっしゃい。パパ。」

 ナットをカールが抱く。「ああ、行ってくる。」

 ナットが言う。「待っているよ。」


 

 ナットを連れてビルたちは、テキサス州へ向う。パルはこのままアーカンゾー州に向かうと言うが、まず、パルの母親のエリザベスに話すことにしたのだ。

 そしてヨツオとカールは、アーカンゾー州スプリングへ向けう。

 

 

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