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5.親が戦う

 ナットの父親は、神族のカール・サンドである。カールはジョージア州の工場で事務をしていた。そして、同じ工場の事務だったウェンディと結婚してナットが生まれた。

 ナットが生まれた事が、カールにとってとても嬉しかったので、ナットの名前の入る銀のスプーンをナットにプレゼントしたほどだ。

 カールにとってナットは、天使のような存在だった。

 しかし、コンピューター化により、カールは職を失う。

 そして、金がなくてカールはナットからその銀のスプーンを取りあけ売ってしまった。あの時からカールはナットを殴るようになる。

 ナットの顔を見ると、どうしても銀のスプーンを取りあげた時の事をカールは思い出す。そして本当は自分が情けないのに、ナットを殴る。


 「痛いな。」

 カールは頭に出来た傷が大きいことを確認する。

 昨日は、金が無くて麻薬を買おうとして食費の入る瓶にカールが手を出した。カールはそれを見たウェンディに酒瓶で殴られて気絶した。

 ナットの母親は、神族のウェンディである。カールがパソコンに不慣れな為、仕事を失ってもやり直す為にテキサスにきた。

 しかし、テキサスにもコンピューター化の波が押し寄せ、再びカールは事務職を失う。

 カールは一度目は、やり直せたが二度目は難しかった。そしてカールはドラッグに溺れた。そのようなカールを見てウェンディはいつしかアル中になっていた。


 「いったい何なの?」

 気絶していたカールと、酒で寝ていたウェンディがドアの音で二人とも目を開ける。

 今にもドアが壊れそうだ。何人もの人々が叩いているようだ。

 カールがドアを開けると、そこには豚人族の男、ヨツオとダウンタウンの住人がいる。

 ヨツオが言う。「あんたの娘、ナットを誘拐したやつの証人が殺される。助けなければ、ナットの手掛かりが消える。」

 カールが言う。「こんな家にナットがいても。」

 ヨツオが言う。「ナットが変態野郎のおもちゃ、臓器抜き、A薬の原料になってもいいのか?」

 ウェンディが言う。

 「そんな危ないやつらに誘拐されたのかい?」

 噂では、行方不明の子供や若者は変態野郎のおもちゃにされたり、臓器を抜き取られて殺されたり、A薬の原料にされているという話がある。

 しかし、自分たちのナットが、その為に誘拐されるとは思ってもいなかった。

 ウェンディが言う。「ナットを助けてやって。」

 カールが言う。「ああ、どうすればいい?」

 ヨツオが防弾ヘルメットと防弾チョッキ、そしてショットガンをカールに渡す。

 ヨツオのまわりには、行方不明の子供たちと若い人々の父親たちと母親たちがいる。彼らは既に防弾ヘルメットと防弾チョッキを着けてショットしてを持っている。その中にはエリザベスもいる。

 エリザベスが言う。「急いで。」

 みな殺気だっている。




 警察署は、赤と黒の地獄だ。頭が崩れ、手がちぎれ、足が穴だらけのBKMの死体が散乱している。

 中でビルと八重子が返り血で真っ赤になって入り口近くの柱の裏に座っている。

 ビルと八重子は、片手にBKMから奪った銃、片手に鎚を持っている。

 ウッドもデビーも、やはりBKMから奪った銃を持っている。留置所からの若者は、足を撃たれて地下の入り口に移動している。

 ビルが言う。「保安官になりたかったな。」

 ビルは、かなり体力的に限界が近くなっている。

 八重子が言う。「なら、保安官になるまで死ぬな。」

 銃声が正面で起きる。

 厚い鉄板で覆われた装甲車が周囲を銃撃しながら、警察署に近づいてくる。

 そして装甲車を横付けして中からエリザベスたちが現れる。

 ヨツオが銃弾を持って八重子の前に立つ。

 八重子が聞く。「やつらの動きを、何時知ったの?」

 ヨツオが言う。「スーパーの銃弾の棚が半分になってたのを見た時。」

 ヨツオは、ポートランドに行く前に準備するためスーパーに寄る。そこで銃弾の棚が半分しかないので襲撃を予想した。

 エリザベスたちは、当たり一面に散乱する死体と血に驚く。そして地下の開放された留置所に降りる。



 エリザベスが地下に降りると、そこにはパルたちがいる。

 パルが言う。「おかあさん。怖かった。」

 エリザベスがパルを抱き締める。

 エリザベスが言う。「良かった。」

 パルが言う。「でも、親切にしてくれたナットが。」

 エリザベスが言う。「大丈夫だよ。ここからは、親が頑張るから。」

 地下に、ヨツオが降りる。そして足を撃たれて横になっている店長のトカゲ男にスマホを渡す。

 ヨツオが言う。「現場責任者に許可を与えろ。」

 トカゲ男が言う。「後で払ってくれるのだろうな?」

 ヨツオが言う。「生き残れば払う。」

 トカゲ男が現場責任者にスマホで許可を与える。

 スマホを受けとるヨツオが言う。「これで打てる手は全て打った。」

 パルと若い人二人がヨツオに言う。「私たちも戦う。」

 ヨツオが言う。「上の地獄を見てから考えろ。」

 パルが言う。「私はナットを探す。」

 ヨツオが言う。「戦うなら、防弾ヘルメットと防弾チョッキを早くつけろ。」

 ヨツオが上に戻る。

 



 装甲車の中でビルがヨツオに聞く。「BKMはどのくらい残っている?」 

 ヨツオが言う。「50人以上いる。」

 八重子が聞く。「今度が最後か?」

 ヨツオが言う。「多分そうだ。もうじき夜が明ける。」

 装甲車の中には、あとはカールとウッドがいる。

 デビーが順番に保安官バッチを配り、宣誓させる。

 デビーがビルの前に来て保安官バッチを渡す。

 ビルが保安官バッチを胸につけ、ビルが宣誓する。

 八重子が言う。「夢がかなったね。」

 ビルが言う。「保安官が負けてはいけない。」


 黒ずくめのBKMが一斉に動き出す。激しい銃撃が始まる。まるで嵐のような銃撃で血と肉と骨が飛び散る。

 空が明るくなり始まる。BKMの後ろからBKMへの銃撃が始まる。

 そしてBKMの銃撃が弱まり始め、BKMが逃げだす。

 そしてウェンディたちが銃を持って現れる。


 その先頭にウェンディがいるのを見てカールが駆け寄る。

 カールがウェンディに言う。「よく来てくれたな。」

 ウェンディが言う。「それは、ダウンタウンのみんなに言ってよ。」

 行方不明になっている親たちが、スーパーで銃と弾を手に入れてカールたちを救出する為に来たのだ。


 ヨツオがカールに言う。「ナットを探しに行くか?」

 カールが言う。「行きたいが、金がない。」

 八重子が言う。「臨時のガイドで雇うのはどう?」

 ウェンディが聞く。「夫は、中毒者(ジャンキー)ですよ。」

 ヨツオが言う。「でも、ナットを一番知っている。」

 カールが言う。「分かった。ナットの為に。」


 ヨツオにトカゲ族の店長が、足を引きずりながら近ずく。

 店長が言う。「銃と弾の代金を払ってもらいますよ。」

 スーパーマーケットの銃と銃弾をウェンディたちは、つけで手に入れている。ヨツオはその許可をさっき店長から現場責任者に連絡させていた。

 八重子が言う。「予算オーバーだ。」

 ヨツオもビルも笑っている。生き残っているから言える話だ。

 

 パルがビルに近寄り言う。「私もナットを見つけに行く。」

 ビルがエリザベスを見る。

 エリザベスが言う。「分かったわ。」

 パルがヨツオに言う。「私も臨時のガイドで雇って。」

 ヨツオが言う。「雇うよ。」

 八重子が言う。「あなたの予算を使いなさい。」

 


 

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