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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

魔法の国の童話シリーズ

武闘派、赤ずきんちゃん!


赤ずきんちゃんはその日、森に住むお祖母さんの元に向かっていました。お祖母さんから、「ちょっと魔法の上達具合を見てあげようねぇ」と言われていたのです。


村からかなり離れた森の中に建つお祖母さんの家が近づくにつれて、赤ずきんちゃんの違和感は強くなっていきました。


気が揺らいでいるのです。


その揺らぎの中心は赤ずきんのお祖母さんの家です。

赤ずきんちゃんは、スキル『真実の眼』を使いました。そして、何が起きたのかを把握しました。


赤ずきんちゃんは、躊躇わずにそのまま進み、お祖母さんの家のドアを開けました。

ベッドには誰かが横たわっています。赤ずきんちゃんはそれに向かって朗らかに声をかけました。


「ご機嫌よう、オオカミさん」


「やあ、赤ずきん、待っていたよ。…オオカミだと!?何故それをっ!!?」


赤ずきんちゃんのお祖母さんの振りをして彼女を食べようと待ち構えていたオオカミさんは、驚いて跳ね起きました。ゴツい体に窮屈そうな女性用の寝巻きとナイトキャップが壮絶に似合っていません。


そんなオオカミさんに、赤ずきんちゃんは不敵に微笑みかけました。


「それだけではありませんわよ。お祖母様、早く出ていらして」


「な…に…?ぐ…腹が…!?」


赤ずきんちゃんが来る前にお祖母さんを丸呑みにして、はちきれそうに膨らんでいだオオカミさんのお腹が急に大きく動きました。


「まったく、仕方ないねぇ赤ずきんは。年寄りを急かすんじゃないよ」


オオカミさんのお腹からそんな老婆の声が聞こえたと思ったら、オオカミさんのお腹が光って弾け飛びました。


大スプラッターです。


天井も床も窓も、飛び散ったオオカミさんの血とか肉片とかあとなんかそういうので真っ赤+赤黒く染め上げられてなんかもうめっちゃヤバいです。

一気に処刑場の様相を呈した部屋の中で返り血を浴びて、赤ずきんちゃんはにっこり微笑みました。


「もう、お祖母様ったら。もう少し静かに出てきてくれなくては困りますわ。お気に入りのシャツが汚れてしまったではありませんか」


いえ、口元は笑っていますが、目が笑っていません。まるで獲物を狙う猛禽類のようにギラついています。血は落とすのが大変ですからね。

その視線の先にいるのは、赤ずきんちゃんの実の祖母です。


そんな赤ずきんちゃんを、お祖母さんは鼻で笑いました。


「ふん、とろっちぃねぇ。とても私の孫とは思えないよ。おまえの母親なら一瞬で察知して風のシールドなり衝撃波なりで防いだだろうに。本当におまえ私の孫かい?」


赤ずきんちゃんは、半人前扱いされるのが大嫌いです。母親と比べられるのも大嫌いです。

お祖母さんはそれをわかった上で煽りに煽ったのです。

そしてまだまだ若い赤ずきんちゃんには、煽り耐性がありませんでした。


「ふふふ、今日こそお祖母様に私の靴の底を舐めさせて差し上げますわぁ」


殺気を膨れ上がらせながら、地の底を這うような声で赤ずきんちゃんは宣言しました。


「くくっ。あんたが負けたら村の祭りでパンツ一丁で腹踊りだよ。今から楽しみだねぇ」


「この糞婆ぁあああああああああ!!!!!」


本当にやらせると知っている赤ずきんちゃんは、全身からドス黒いオーラを立ちのぼらせて、猛獣のようにお祖母さんに飛びかかりました。


前座のオオカミさんとその後の煽り合戦で、十分に場は温まっています。


さあ、祖母vs孫のバトルの始まりです!




教訓: 事前調査はしっかりと。


お読みいただきありがとうございました!

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