閑話 失敗した結婚生活2
前回に引き続き、荒い口調の下品な話が続きます。
性的表現や毛髪が弱点な人への罵倒が苦手な方は、ブラウザバックか読み飛ばしてください。
次回から平常運転に戻ります。
-1-
雌豚との不倫托卵騒動も前哨戦が終わり、弁護士事務所で本戦にと突入した。
弁護士事務所で再会した雌豚は、数日しかたっていないのに酷くやつれた印象を受けた。ざまーみろ。
会社の方で結構絞られたんじゃねーかな。
俺の姿を見た瞬間、雌豚は走り寄って何かを言いかけたが
「寄るな。黙れ。話は弁護士と聞く」
と言って黙らせた。
その代わりについてきた義両親が、見るのも気の毒になるくらい謝罪してきた。
七重の膝を八重に折る、とはこういう場面を言うんだろうなと思いつつ
「お義父さん、お義母さん、頭を上げてください。今日はそんなことされるために集まったわけじゃないんですよ」
となだめた。
まぁ、こんな色ボケ雌豚を育てたという落ち度はあるが、直接は義両親には関係ないことだし。
それにしても雌豚よー、50も過ぎた両親に土下座させるような真似すんなよ。
で、時間が来たので弁護士の先生とともに改めて話を聞くことになった。
驚いたことに、雌豚は間男との関係すべて認め、要求されている慰謝料・使い込みもすべて言い値で何年かかっても払うと言い切った。
しかし、間男とは遊びの関係なので離婚だけは許してくださいと頭を下げてきた。
無論俺がそんなことを許すはずもなく。
あえてゲスになりキツイ言葉を投げつけてみた。
「間男のザーメンで孕んだ汚物とこの先また一緒に暮らせと?」
「ごめんなさいでも離婚だけは許してください」
「俺と別れて俺から慰謝料もぎ取って間男と暮らすのが夢なんだろ?しかも慰謝料だけでなく間男のガキの養育費も請求するつもりだったよね?」
「それは言葉の綾です。一緒に暮らすのはあなた以外に考えられません」
「俺はお前の言う事が何一つ信用できないし、こうやって顔合わせるのも同じ空気を吸うのも嫌なんだけど」
「言われることは何でもします。お願いします家政婦奴隷でも構いませんので離婚だけは許してください」
「家政婦奴隷って、俺のこと舐めてない?まだ俺に寄生するつもり?お前、自分が金払う立場ってわかってる?」
「ごめんなさい。そんなつもりじゃないんです。なんでもしますから離婚だけは許してください」
「なんでもするというなら、いっそこの場で死んでくれない?というか死ねよ。それもできなきゃ離婚届に判を押せ」
「ごめんなさいでも離婚だけは嫌です」
……なにこの壊れたレコード。
その後はどんなに弁護士が説得しても、業を煮やした義両親が(弁護士の前にもかかわらず)鉄拳制裁しても離婚だけは拒否し通した。
その後も幾度か話し合いがもたれたが、雌豚が離婚に同意することもなく、かといってこちらも譲歩するいわれもなく、無駄に時間だけが過ぎていった。
一方、間男のほうはそれなりに楽しませてもらった。
おどおどとした様子でやってきた間男は、話し合いが始まるや土下座マシーンと化した。
今気が付いたけど、こいつ結構てっぺん薄いのな。
イケメンというかナイスミドルっつーわけでもなし、一体どこに惹かれたのか……。
まぁ面白いので、弁護士の先生には目配せして間男土下座状態のまま話を進ませてもらった。
「さて間男さん、こちらの要求は内容証明にしてすでに通達してありますが回答は?」
「申し訳ありません。でも500万なんて大金とても用意できません」
「ま、ムコ養子だものねー。奥さんこのこと知ってんの?」
「あ、いえ、妻には……」
「まぁ確かに知られたくないよねー。知られたら終わるよねー。で、どうすんの?」
「もう少し慰謝料を、減額していただけないかと……」
「幾ら?」
「……30万なら、なんとか」
うわー、人生舐めてるこの間男。
「それは30万の減額?それとも総額30万?」
あえて分からない振りをする。
「総額で30万、です……」
「それはドルか、それともユーロの支払い?」
あ、隣で弁護士が笑いこらえてる。
「……円、でお願いします」
「話にならんな」
呆れたようにため息をつく。
「てめぇ、雌豚と組んで俺から金巻き上げるのに随分と乗り気だったじゃねぇか。そんなこと企んでヒトの家庭ぶっ壊して30万ぽっちのハシタガネで勘弁してくれ?頭沸いてんのかハゲ。
それと日本語は正しく使え。500万を30万にしろとは少しとは言わねぇよ」
「申し訳ありません。でもこれが精いっぱいで……」
「テメェの都合なんか関係ないんだよこっパゲ。
だいたいさハゲ、てめぇ、自分のタネを雌豚に育てさせて、時機を見てDVでっち上げて慰謝料養育費むしり取って離婚、なんて図面描いてたよな」
「それはその場の勢いというか……」
「その割には随分と時間をかけて具体的に計画練ってたようだけど?捏造DVで慰謝料500万要求しようとした上にテメェのガキの養育費が月に10万?俺に要求するつもりだったらしいね。何様のつもりだよハゲ。
だから俺もあんたに慰謝料500万請求してんの」
「でもそんな大金用意できません」
「繰り返し言うけど、お前の都合なんて関係ないの。先生、ダメだこの馬鹿。今からこの馬鹿の奥さんも呼びましょう」
「それだけは、それだけは勘弁してください!」
「いやだねべーんべん。それだけはとか言われると余計やりたくなるね」
「だいたいウチの嫁は関係ないじゃないですか!」
出ました間男の常套句。俺、この逆切れ大っ嫌いなんだよね。
「へー、ほー、ふーん。……奥さんは関係ない、と、そうおっしゃる。じゃあ今から呼んで、奥さんに本当に関係ないか判断してもらおうかな」
「だからうちの嫁は関係ないって言ってるじゃないですか!」
「(低い声で)だったら俺を黙らせるくらいの札束積んで見せろや。俺の口は軽くてな、千や二千じゃ重しにもならねぇぞ」
「それにしたって500万なんて法外な……相場は2~300ですよ!?」
「へー、2~300が相場なんだ。で、テメェはいくら払うつもりだったんだ?」
「………………」
「幾らだ、って聞いてんだよハゲ。頭のてっぺんむしって磨くぞ」
「すみませんもう許してください」
「だから具体的な数字を言えよ。いくら払うつもりだったんだ?」
「…………30万です」
「それは相場に対してどのくらい?」
「分かってるなら聞かないでくださいよ!」
「テメェの口から聞きたいんだよ。で、30万ぽっちは相場の何割かな?さんすうできまちゅかー?」
「……………………」
「答えなかったら誠意無しとみなして慰謝料上乗せね」
「……1割、です」
「ふぅん、テメェは相場の1割でケリをつけるつもりだったんだ。俺も舐められたもんだ、というか舐められまくりだな。
さすが雌豚泣かせた舌技は違うわ。感じちゃうぞコノヤロー」
「…………」
「…………」
む、ちょっと滑ったか。
「だいたいさ、テメェがここでこうやって土下座してるコトが、テメェは自分のケツすら拭けませんていう証拠なんだよ。テメェのケツさえ拭けない人間が、ケツに糞付けたまま一人前に吼えんなや」
そのセリフに、土下座したままの間男の両手がきつく握りしめられる。
おーおー、結構頭にきてんな?
「ま、そんな回答じゃ誠意無しとみなして裁判かね。そうだ。雌豚がテメェに貢いだ300万もキッチリ返してもらうからな」
「あ……う……」
「どうやらあんたにとってうちの家庭は30万程度の価値しかないようだから、俺も心おきなくあんたの家庭をぶっ壊すから。
手始めに子供の結婚式に出られなくしてやるよ。どうよ、このまま交渉決裂で裁判してもいいんだぜ俺は」
「いえ……会社から、こんなことで裁判するなら、クビにすると……」
総務部長と上司のお二方、ナイスアシスト。
「ほーん。金払うのも嫌、奥さんに知られるのも嫌、裁判も嫌。先生、こいつ何しに来たんですかね?」
「今の時点では誠意が見られない、ということになりますね」
そんな感じでねちねちと苛めてみたが、どーにも話が先に進まない。
弁護士事務所の次の予定も詰まっているということで、この日は何の進展もないままお開きになった。
本戦その1は、こちら有利だがどーにも攻めきれない、といった感じかのぅ。
土俵際、もしくは崖っぷちでなりふり構わぬ激しい抵抗ってやつか。ちょっと甘く見てたかな。
-2-
堂々巡りで平行線の雌豚との話し合いは、弁護士事務所では折り合いがつかず家庭裁判所の調停に持ち込まれた。
が、ここで思わぬ伏兵が現れる。
その名は家庭裁判所の調停員。
俺の認識によると、調停員とは双方から話を聞いて、常識に基づいて具体的な解決案を出し、双方を説得して裁判以前に物事を丸く収める、という考えだったが……どうもこの町の調停員はちょっと違うらしかった。
物事の是非ははっきりしているのに、なぜ非のある雌豚の肩を持つ?
妻が浮気をしたのは夫の方に何か問題があったからではないか?
奥さんも反省しているのだから、我を張らずに許してやりなさい?
等々、なぜか俺のほうが滾々と説得される始末。はっきり言って時間の無駄だった。
また、この頃には伏兵その2となる雌豚の自称友人たちからの横槍も酷かった。
どこで調べたのか、雌豚が流したのか、俺の携帯にこちらの都合も考えずのべつ幕なし電話やメールが入ってきた。
男の愛は許すもの。嫁ちゃんの不倫の1~2回なんてなかったものとして許しなさい。
なんてどこの誰からも知らん相手から上から目線で説教食らったときはちょっとのけぞった。こいつら頭沸いてんのか?
そういった香ばしい連中には
「そのセリフ、旦那かカレシ連れてきてもう一回言ってみろ不倫脳。やっぱり豚のダチだけあって言葉通じねーなブヒブヒ」
と返してガチャ切りし、着信拒否した。
一方、無意味な調停はさっさと切り上げ、淡々と裁判に入る手続きを進めた。金はかかるが仕方ない。あとで回収だ。
この辺りから妻が不気味な動きをし始める。平たく言うとストーカー化だ。
職場に何十回と電話をかけてくる。(無論出ることはないが)
それに対策をすると、今度は会社に押し掛けてきて守衛ともみ合いになる。
それにも対策をすると、自宅に手料理を持って押し掛けてくるようになった。
弁護士を通じて〆てもらうも、義両親は謝るばかりで役に立たない。
警察に相談するも、「家庭内のことですから」と苦笑いされこれまた役に立たない。
この辺りになると俺の仕事に支障が出始め、上司から「早くケリをつけろ」と叱咤される。
止むを得ず仕事を休職してウィークリーマンションに一時的に避難し、雌豚との対決に全力を注ぐことにした。
そうでなきゃこちらの身が持たん。
一方間男はと言えば、2回目の弁護士事務所での話し合いを無視したかと思いきや、仕事も家庭も放り出して行方をくらますという愚挙に出た。
53歳管理職が何やってんだ。今どきの小学生の方がもっとマシな行動するぞ?
間男両親を通じて警察に捜索願を出した結果、遠く離れたところ(関東→関西)で1ヶ月後に無銭飲食で捕まる有様。
こうなるともう間男が嫌がっていた間嫁さんの耳にもモノゴトが入ることになり、間男の家庭は崩壊。
なんでも間男クン、婿養子の分際で不倫の前科があったらしい。
会社の方も無断欠勤がもとで懲戒解雇。これは先日の上司から連絡をいただいた。
清々しい間男の自滅っぷりに、もう俺の出る幕はねぇなと弁護士に丸投げし、早々に間男両親から慰謝料をもぎ取った。
そして残るもう一方の敵、雌豚との対決で幾度か裁判所に通うことになったが、そこでの雌豚の行動も不気味だった。
こちらを見つけると走り寄ってきて、まるで浮気の事実などなかったように気安く声をかけて、世間話を始めようとする。
油断すると恋人だったころのように腕をからめて甘えてくる。
いまさら元に戻れると思っているのか、こちらが無視しても「触るな」と声を荒げても夫婦なんだからと、甘えてくる始末。
俺はテメェの声を聴くのも嫌だ。
精子臭ぇ汚物に絡まれても気持ち悪いだけだ。
普通ここまで言えば、怒るなりなんなりして離れていくものだが、なぜか雌豚には逆効果で、一層べたべたしてくる。
もうこの頃には雌豚を人間として見られなくなっていた。
雌豚との裁判は、おおむねこちらの主張が通った形で判決が出たが(さすがに慰謝料は相場並みに減額された)、接近禁止の判決は気が触れたような雌豚には何の意味もなさず、罰則金ばかりが増えていった。
判決が出てしばらく後、義両親と雌豚を交えて最後の話し合いが設けられた。
ぶっちゃけ、この話し合いにおかしくなった雌豚は必要なかったのだが、義両親が俺と会うと知って強引についてきたらしい。
涙を流して土下座する義両親を横に、他人となった雌豚はいつものように世間話を始めた。
雌豚はめかしこんできたつもりだろうが、俺にはただのケバい汚物にしか見えなかった。
汚物は笑顔を浮かべてしきりと話しかけてきたが、完全に無視していた俺は話の内容は覚えていない。
一つだけ気になっていた雌豚の腹の子供だが、堕胎するには相手の同意が必要だったと記憶してるがなぜか堕胎できたらしい。
間男は失踪中なのにどんな手段を使ったのか、随分とザルな病院もあったものだと呆れたことを覚えている。
慰謝料と使い込まれた貯金、接近禁止の罰則金は合わせて6~700万に及んだが、雌豚個人の貯金が300ほどあったのでそれを差し引き、足りない分は義両親が老後の資金を充てて支払うことが決まった。
財産を俺に取り上げられ、現状無一文な雌豚に数百万もの支払い能力はなく、長々と関係をもたれる分割払いは俺が拒否した。
いっそ雌豚にサラ金行脚とかカードキャッシングとかさせてやりたいけど、コイツもストーカー行為にかまけて、会社クビになってるし。
無職のキ印にサラ金さんが大金貸してくれるとは思えんのよね。俺が担当なら絶対断る。
しかし、結婚後はムコいびりもせずよくしてくれた義両親だったが、孫も抱かせずこのような仕打ちをしたことに少し胸が痛んだ。
まぁ間男に貢いだ300万は、間男の方からむしり取ってもらえば実質的な支払いは1~200程度になるので、義両親も頑張ればそれほど懐は痛まないはずだ。
なお雌豚は最終的に想像妊娠だのリスカ(のフリ)だのと奇行が酷くなり、元のついた義両親ともどもどこかに引っ越し&軟禁(監禁?)状態にされたらしく以後音信不通。
会社をクビになった間男は間嫁さんからも慰謝料と養育費を請求され、結果、間嫁さんの遠い親戚の農家で給料を差し押さえられつつ、子供とも会わせてもらえず監視付きの元、住み込みで働いているとか。
こうして、15kgの体重と9カ月に及ぶ休職を代償に、俺の4年にわたる結婚生活は幕を閉じた。
俺様完全勝利のはずなのに、以来女性に対して一歩が踏み込めなくなってしまった。
夜の店に行くのは平気なのに、愛だの恋だのいうことにはすっかり苦手意識がついちまったよ。
というかね、ごそっと体重が落ちたせいで「精悍になった」と離婚報告早々にメールだのLINEだので粉かけてくる部下同僚の女性たちが怖いです。
そりゃ確かに1部上場大企業の係長で次男坊、慰謝料その他で小金も持ってるという、割と条件のいい物件の俺だけど、ちょっと行動が早すぎやしませんか。




