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虚弱少女戦士  作者: yucury
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7話 気持ち

ユウコは体を鍛えるために、毎日トレーニングするようになった。

そして、その日はダンベルを使ったトレーニングをしていた。

「うふふ。いい感じ。効いてる。」

「あんた気持ち悪いわよ。」

「アリスさん!?」

気づけば側にアリスがいて、ユウコは驚いた。

「あれ、今授業中じゃ。」

「今日はなんかやる気が出なかったの。それで偶然ここを通っただけよ。」

「もしかして、私のこと探してくれてたんですか?」

「っ。そんなわけないでしょ。」アリスはそっぽを向く。

ユウコはこういうときアリスの行動は図星だったことを示すことに気づくようになっていた。

「何笑ってんのよ。」

「別になんでもないです。」

「むー。ふん。」


「あんたトレーニングするなら私も付き合おうか?」

「え?」

「一応小さい頃から、戦士として訓練を受けてたから、基本的なことはわかるよ。」

「お願いします。」

「いっとくけど私はスパルタだからね。」

「ありがとうございます。」

「いっとくけどこれは別にあんたのこと気にしてとかじゃなくて、家庭教師のお礼なんだからね。」

アリスはまたそっぽを向いた。ユウコは笑みを浮かべる。


その次の日から、アリスが練習に付き添ってくれるようになった。

アリスは練習メニューを考えくれたようで、ユウコにメニュー表を手渡した。

「まずはこれくらいこなしなさい。」

ユウコが受け取ると、そこにはグラウンド10周やスライム5匹捕獲など基本的なトレーニングメニューが記載されていた。

「これってもしかして、アリスさんのお父様が考えたメニューではないですか?

その本読んでるので既に取り入れているかもしれません。」

「えっ。」

「この本なんですが。」ユウコは戦士入門と書かれた本をアリスに渡した。

その本の著者はアリスの父親だった。

「その本が最もまとまっていて内容も濃いので、すでに何回か読んいて、実施済みなんです。今の私のメニューもベースはその本なんですよ。」

「……。何よ、あんた。」

アリスは悲しそうな顔をし、ユウコからメニュー表を奪い取る。

「あっ、違うんです。メニュー考えてくれてありがとうございます。」

ユウコは感謝の気持ちを伝えるも、アリスは泣きそうな顔をしていた。


「やっぱり、私なんか役に立たないんだ。」

アリスの姿にユウコは心が苦しくなり、気づけばアリスを抱きしめていた。

「絶対にそんなことないです。」

アリスは驚いた顔をする。

「そんなことないです。アリスさんは大切な存在です。そんなこと言わないで。」

「ぅ……。」

泣き声がしたので、ユウコはアリスを離すと、アリスの目から涙が溢れていた。

「アリスさん、泣いている?」

「泣いてないわよ。」

アリスは手で涙を拭うと、そっぽを向いた。

アリスの顔は赤くなっているように見えた。


「アリスさん、トレーニングだけじゃなくて、私と一緒に戦士の実務訓練に付き合って頂けませんか?」

「え?」

「一人で訓練していても、肉体的には強くできても、どうしても戦闘力の面を見ると強くなれないんです。

アリスさんは、幼少の頃からエリート教育を受けていて、身のこなしやセンスが他の生徒に比べて優れていると思います。」

「そんなことない。」

「そんなことあるんです。私は他の生徒の訓練を見るようにしていたんですが、アリスさんが一番輝いてます。」

ユウコはまっすぐアリスを見つめた。

「私の訓練に付き合っていただけませんか?」

「……。うん。」

アリスはこくりと頷いた。


その日から、ユウコはアリスと訓練するようになった。

見込みどおり、アリスは基礎力がしっかりしていて、ユウコは多くを学ぶことができた。

訓練は毎日行い、ユウコは肉体面でも戦闘力の面からも強くなっていった。

そして、アリスもその訓練で得るものは多かった。ユウコが着々と力をつけていくことに影響され、アリスも急激に成長していっていたのだった。


二人で訓練をし始めてしばらく経ったある日、ユウコはその日もトレーニングをしていた。

すると、背後から柔らかな触感といい匂いがした。

「ユウコ、いつもありがとう。」アリスがユウコを後ろから抱きしめていた。

「アリスさん!?」ユウコはいきなりで驚いていたが、アリスは気にせず話し出す。

「今日、授業で、戦士の実務訓練をしたんだけど、私が一番上手いって、先生に褒められちゃった。」

アリスはそう言うと、ユウコの頰に感謝のキスをした。

「ふふ。この後授業があるから、また後でね。」

そう言うとアリスはトレーニングルームから出て行った。

「……。」

残されたユウコは胸の高鳴りの顔の火照りが続いていた。

頰に手をやるとさらに鼓動は速くなり、胸がときめいていた。

それは、ユウコにとって初めての感覚で、何なのかはよくわからなかった。

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