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虚弱少女戦士  作者: yucury
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4話 家庭教師

ユウコはアリスの家庭教師を引き受けた次の日から、授業を始めることになった。

その日の放課後になり、約束の時間まで指導内容を考え、時間になると、ユウコはアリスの部屋に向かった。

アリスの部屋は学園寮にあった。ユウコは部屋をノックする。

「アリスさん、ユウコです。授業に来ました。」

「ん。」アリスは渋々と行った感じでドアを開き、ユウコを部屋に入れた。

部屋の中を見回すと質素な部屋で、住んでいる人の趣味や好みが伺えるものはなかった。

アリス自身はというと自室らしくラフな格好で、いつも結っている髪も下ろしていて、ユウコはドキッとした。


「アリスさん、今日の授業に向けて、予習ってしましたか?」

「してない。」

「ぁー。」ユウコはアリスの非協力的な態度を想定していた。

なので、予定とは違うがアリスが今日学んだところの復習から入ることにした。

「では、今日の授業で学んだ場所を教えてもらえますか?」

「今日は授業出てない。」

「えっ?」ユウコはこれは手強いと思った。

アリスから簡単には勉強をがんばろうという気持ちを感じないからだった。

ただ、部屋の中を見回したときに気づいたが、アリスは勉強以外のことにもに興味がないようにも見えた。


ユウコは息をふぅーとつくと、顔の表情を崩した。

「でも正直、学校の勉強なんてしても確かにおもしろくないですよね。」

「え、あんたもそう思うの?」

アリスはユウコの発言に驚いた顔をして答える。

「ええ。実際役たちませんからね。」

「じゃあなんで、勉強頑張って主席になってるの?」


「今後の自由を掴むためです。今学んで周りに認めてもらえられると自由が効くんです。」

「どういうこと?」

「もう気づいていと思いますが、私はこの学園でかなり自由を与えてもらっています。

 けどそれは先生が教えることがないくらいものごとを知ってるからなんです。」

「そこまで言う?」

「ふふふ。で、さらに言うと私の家は貧しいんです。奨学金が出ないと高校に通えません。

もう学ぶしかないですよね。」

「でも一生懸命差が感じられないわ。」

「頑張りすぎると体壊しちゃうんで、ギリギリを狙ってます。」


アリスはユウコの顔をじっと見つめる。ユウコは照れて顔が赤くなっていく。

「あんた大変ね。」

「えへへ。でも、アリスさんも自由がきかしてますよね。」

「私はまったく自由じゃないわ。」

吐き捨ているよにうアリスはいった。

その顔には苦悩の表情が浮かんでいて、ユウコはそれ以上問いかけることができなかった。


「私も学べば自由がつかめるかしら。」

アリスはユウコに向かって言った。その目には小さくはあったが希望の光が差しているようだった。

「絶対つかめます。保証します。」

「ふっ。あんたに保証されてもね。」

「?」

「あんた弱いのに。」

「私は体が弱いからこそ、そうするしかないんです。学ばないと逆に困るんです。

弱いから、自分は何回も困ったことになったから、学ぶ重要性がわかるんです。」

ユウコはアリスをじっと見つめる。


「まぁいいわ。少しずつ学ぶしかないわよね。じゃあ歴史とかから教えて。」

「はい。では歴史を学んで行きましょう。」

アリスがやる気になってきたようで、ユウコはうれしかった。


二人は21時くらいまで一緒に勉強を続けた。

アリスのやる気はまだまだ続きそうで、ユウコは手応えを感じたが、その日は1回目ということもあり、切り上げることにした。

「そろそろお時間なのでここまでにしましょうか。」

「ん、もうそんな時間?」アリスは残念そうな声で話す。

「では、失礼して、家に帰らせてもらいます。」

「え?寮の部屋を借りれたんじゃないの?」

「はい、そうなんですけど、今はまだ引越しが終わってないんで、部屋に泊まれないんです。」

「こんなに夜遅くに外歩くと危ないわよ。」

「それは心配です。でも着替えとかが。」

「私の貸してあげるから。」アリスはユウコに恥ずかしそうな顔をしながら言った。

ユウコはアリスのそんな顔と初めてやさしさを受けて、面食らった。

「別にあんたのことなんか気にしてないからね。あんたが前みたいにのたれ死んで、

私の家庭教師がいなくなるのが嫌なだけだからね。」

とツンツンして言う。

「それじゃあ、お言葉に甘えて。」

ユウコはアリスから服を受け取った。


その後もユウコはアリスの家庭教師を続けた。

アリスは遺伝的なものなのか、学べばスポンジのように吸収し、ユウコが驚くくらいに優秀だった。

アリス自身も徐々に学ぶことが楽しくなっていき手応えを感じているようだった。


しばらくして、ユウコは放課後に先生に呼び止められた。

「ユウコさん、アリスさんに色々教えてくれているみたいで、ありがとうね。」

「あ、先生。いえ、こちらも楽しいですし。」

「ふふふ。アリスさん、最近授業もしっかり出て、学ぶ意欲を感じるの。しかも小テストの点数もぐっと伸びて。」

「アリスさん自身の能力ですよ。私は特に何も」

「そういうところも、ユウコさんはアリスさんにぴったりのようね。」

先生はそういうと去っていった。


同じ日に学内でユウコはアリスに声をかけられた。

「私、最近学業すごく伸びてきたの。」

「それは良かったですね。」

「ふん。別にあんたのおかげとかは思ってないけど。」

「ふふふ。アリスさん、頭いいですからね。」

「あんたは。でも……。」

「うん?」

「いつもありがとうっ。」アリスはそういうとプレゼントをユウコに渡し、逃げるように去っていった。

プレゼントを開けるとそこには手作りのクッキーが入っていた。

クッキーはいびつな形をしていたが、アリスががんばって作ったものを受け取り、

ユウコは食べる前から心が満たされることを感じた。

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