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虚弱少女戦士  作者: yucury
11/21

11話 告白

アリスは春になり、中等部三年生として学校に通っていた。

予習復習は忘れず、授業にはしっかり出て、トレーニングを怠らなかったので、

新しい学年になっても学年トップの成績を維持していた。


アリスは初等部や中等部から、全生徒の憧れとしてモテ続け、告白されることも多かった。

二年生の頃から、成績が伸びるにつれて、さらにアリスに憧れる生徒かさらに増えて、告白されることも多くなっていた。

アリスは一度も告白に承諾したことはなかったが、対して興味もない人に告白されることに慣れきっていた。


そんなアリスだったが、学校に来ることが二年生の頃に比べて楽しくないと感じていた。

そして認めたくはなかったが、理由はわかっていた。

それは、学内にユウコがおらず、授業サボって会ったり、一緒に学んだり、訓練できないからだった。

アリスは学内でユウコと会えないことが寂しかった。

ユウコの通う戦士大学は中等部のある敷地の近くにあったのだが、中等部とはまったく接点がなかった。


その日もアリスは、授業が終わると帰り支度をして、寮に帰ろうとしていた。

以前のように放課後に校内に残って、何かするということはなくなっていた。


「アリスさん、最近帰宅されるのが早いのね。」

アリスが振り向くと、二年生から同じクラスだったエリスがいた。

「えぇ。特にすることもないからね。」

「ふーん。そうなの。」

エリスは少し考え事をするような表情をし、アリスに向き合った。

エリスは真剣な眼差しをしていた。

「アリスさん、それなら私と一緒に放課後訓練したりしませんか?」

「ごめん。今日は疲れたから、もう帰る。」

そう言うとアリスは席から立ち上がり、教室を出ようとする。

「やっぱりアリスさんはユウコさんのことがお好きなのね。」

アリスはエリスが小さくそう呟くのが聞こえた気がした。


寮に戻ると家庭教師の時間まで、しばらく待つ。

そして、授業開始の10分前にノックの音がして、ユウコが部屋に入ってきた。

「あんた遅いわよ。」

「えー、今日も時間通りじゃないですか。」

「いつもなら、30分前くらいに来ているでしょ。」

「そうでしたけど、最近は大学の授業が忙しくて。」

アリスはユウコが授業が大変と言うのを初めて聞いたので、驚く。

「あんたでも、授業大変とかあるんだ。」

「それはありますよ。大学は授業の質が高くて楽しいですが、学ぶこと多いんです。」

「ふーん。」

アリスはユウコの満足そうな顔を見て、ユウコが何を学んでいるのか気になった。

そして、今日の授業が終わったら聞くことを決めた。


授業が終わり、一息つくとアリスはユウコの方を向いた。

「あんた今も戦士目指して、大学で学んでるの?」

「はい。そうですよ。あと最近は海の向こうにある外の世界に興味出てきたので、外の世界の言葉を学んでますね。」

「へー、近くの草原でスライムにやられて、町から出禁になったあんたが、外の世界に興味をねえ。」

「ふふふ。確かにおかしいかもですね。」

ユウコは自重気味に話す。

「何言ってるのよ。何もおかしくないわ。今のあんたなら絶対に行けるわ。」

「アリスさん、ありがとうございます。」

「むしろ、私も連れてって欲しい。」

「アリスさん、、た、確かにアリスさんは外の世界に興味持ってましたもんね。」

「それもあるけど、私はこの町を出たいという面もある気がする。」

アリスは寂しくそう言った。


「……。」

アリスはユウコが何も言わないのに気になり、ユウコを見るとユウコはアリスを真剣な目で見つめていた。

「アリスさん、突然なんですが、」

ユウコの顔は赤くなっていて、アリスも鼓動が早くなることを感じた。


「アリスさん、私はアリスさんのことが好きなんだと思います。」

「え?」

「私はアリスさんのことを愛しているんです。」

「そんな、急に言われてもわからないわ。」

アリスはユウコの想定外の突然の告白に驚いていた。

ユウコは確かにアリスのことを好んでいると思える態度をとることはあったが、

それは愛しているとは思っていなかったからだ。


ユウコはアリスの手を取り、目を見つめる。アリスの手は燃えるように熱く、目は輝いていた。

「アリスさんは出会ってから私に力を与えてくれる光でした。

最初は近くで一緒に居られるだけで良かったんです。でも、今はアリスさんと深い関係になりたいんです。」

「ユウコ……。」

「私はアリスさんと恋人としてずっと一緒にいたいと思っているんです。

以前にアリスさんが外の世界に興味があるって言ってたから、私も真剣に学ぶ気になったんです。

私にアリスさんが外の世界見れるように、お手伝いさせてください。」


ユウコはそう言うとさらにアリスに顔を近づけ、アリスの目をじっと見つめる。

「アリスさん、愛しています。私と付き合ってください。」


「……。ごめん、今はわからないの。」

アリスはユウコから距離を置き、可能な限り落ち着いて話す。

ユウコは潤った眼差しでアリスが話すのを待っていた。

「……。私もあんたのことは、、好きよ。でもね、これが愛していると言う気持ちかがわからないの。」

ユウコはアリスから初めて好きと言われて、戸惑った表情をした。

アリスからそれ以上言うことはできなかった。


ユウコはそれを察したようで、顔には笑みが浮かんだ。

「その言葉だけで今は嬉しいです。」

ユウコは気持ちを伝えられて満足そうな表情をしていた。

「すみません。突然こんなこと言って。それでは失礼します。」

そういうとユウコは部屋を出て行った。


部屋に残されたアリスは、ユウコから告白されたことでドキドキが止まらなかった。

告白でここまで動揺したのは初めてだった。

しかし、アリスはユウコのことは好きだったが、それは愛かどうかわからなかった。

そもそも愛とはどんな気持ちかもわかっていなかった。

アリスはその日、眠れない夜を過ごした。

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