太陽と影
いつからかその太陽を拝めるのは当たり前となっていた
その青年の心に昇った太陽は
少しずつ
少しずつと
その輝きを放ち出し
心の隙間に溶け込んだ。
その太陽を手に取る者がいたとしたら
きっとその輝きに魅了され
自分という影を生み出し続けるのであろう
太陽はひどく美しく
青年の心に浸透し
身体の一部となっていく
身の丈に合わないと知りながらも
青年はその輝きを自分のものとし
奥へ
奥へと
手を伸ばす。
太陽の輝きと青年の影が重なり合わせ
調和することは今は無い
手段を間違えさせ
青年の眠っていた欲を生み出す
その太陽は
ひどく美しく
私の一生となりつつある
心から太陽は消えた。
別の青年の心を照らす為僕への輝きは
ただ影だけを残して消えていった。
しかしその輝きはひどく眩しく
他の青年に渡ってもまだ
青年の中に残った影を生み出し続ける。
その影が作り出すものとは
後悔
嫉妬
妬み
太陽の元で生まれ続けたその影は
次第に青年を苦しめ続けるのであろう。
身の丈に合ったそのどんよりとした影たちは
浸透していく。
その太陽への感情が強く激しく増幅するにつれて青年は影そのものになる。
その影が作り出すものとは
よくないことの塊でありいつか太陽をも飲み込むほどの邪悪となり得るのであろう。
太陽の輝きを今も夢に見る。
その夢を見るたびに欲は強くなる一方で
その太陽がもたらしたこの感情を大事に思う。
その太陽が残したのは影と月
影の進行は早く
月の存在に気がつく事なく
僕は呑まれていった。
月は太陽とまではいかないが
小さく
小さく
その存在を主張するように
身を犠牲にしながら輝いていた。
その月は太陽が残した贈り物。
影に呑まれつつある青年への唯一の贈り物
太陽が残したまだ青年の中にある内にその体内に残していった存在。
月はあの時の言葉や希望を思い出させる
意味の無いものなのかもしれない。
夢に溺れているのかもしれない。
現実を受け入れたく無いのかもしれない。
影は広がり続ける。
しかし、その月の輝きがいつか青年の内に秘めた光を
太陽を
再び蘇らせる時が来るのだろう。
青年に残ったのは微かな月の光と漆黒の闇。
闇は
嫉妬を生み出し、後悔を残した。
月は
太陽を思い出させた。
闇は広く広がっていたが飲み込みきれないのは微かな月の輝き
太陽の輝きだ。
青年は1つまた1つとあの輝きを手にする為の術を考える。
来る日も
来る日も
来る日も
来る日も
目を閉じて眠る前も
食事が喉を通らない時も
朝、目が覚めて1番に考える。
その毎日求める輝き
神々しく輝く太陽の輝き
それを思い出させる月の輝き
青年は根気よく
ただひたすらに
輝きが再びその身に
やどることを。
これから青年には試練が訪れるであろう
時に辱められ
時に孤独に襲われ
時に疑いが降りかかる
しかし青年は待つ。
その輝きに浸り影が無くなる事を。
しかし青年は待つ。
いつか別の輝きがその身に宿る日を。