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第二十話

「なんか嫌な予感がする」

「多分それ、当たってると思うわよ」


 マリーとそんなことを言っている。理由はちゃんとある。遠くから一直線にこっちに向かっている気配がある。かなり遠くだが。


「もしかして、三人は仲が良い?」

「とてもね」

「なるほど……みんな、戦闘になるとは思いたくないけど、戦闘の準備、しといてね~」


 と言った瞬間、俺は魔法で障壁を張った……王都全てを覆う障壁を。


 そして、それとほぼ同じ時、ズドンという隕石でも落下したかのような音が王都に響き渡った。


「ちょっと!」

「あ、やっぱり、あれがミィアとリィリ?」

「……ええ、多分そうよ……というか何してくれてんの!」

「いや、あのまま行ったら王都が消滅していたかもよ?」

「そんな事ないわよ!半壊ぐらいで済むわよ!」

「いや、亜神がそんな事して良いのかよ」

「仲間のピンチは例外よ」

「おい」


 俺は障壁を解除し、ミィアとリィリが弾き飛ばされたであろうところに全員で向かった。


「……やっぱり……」

「やっぱりって何よ」


 俺が目の前で気を失ってる亜神二人を見て思った。いや、言えるわけねぇだろ。二人共好みだとか……まぁ、そのへんは置いとこう。


「お~い、死なないのはわかってるけど、生きてるか?」

「あ、あんたね……」


 暫くやることがなかったので治療をして、そこでぼーっとしていると、片方が目を覚ました。


「ん、んぅ、ん?ここは?……マリーちゃん!マリーちゃんは!」

「ここにいるわよ」

「ま、マリーちゃん!マリーちゃんマリーちゃんマリーちゃんマリーちゃんマリーちゃんマリーちゃんマリーちゃんマリーちゃんマリーちゃんマリーちゃんマリーちゃんマリーちゃん!」

「……こいつぁ、ヤンデレってやつですかい?」


 俺の声は無視して、二人の世界ができあがる。


「はいはい、わかったから落ち着きなさい!」

「マリーちゃんが生きてるよ!良かったよ~!」

「あのね、私達は死なないでしょ?」

「……そう言えばそうね……コホン。で、この男が敵?じゃあ、さっさと殺そうか」

「ちょっ、ちょっと」

「喰らいなさい!」


 そう言うと、太陽と見紛うような、巨大な炎が展開された。もちろん俺は全員に障壁を展開した。炎は障壁にぶつかり、派手に爆発する。


「おい、話も聞かずに攻撃とか一体神様は何を考えてこいつを亜神にしたんだ?……いや、言わなくてもわかる。ただ単に好みだから。それだけだよな。うん。絶対深い事考えてないよな。うん」

「とにかく攻撃は中止!戦いは終わったの!

「あれ?そうなの?」


 そう言って、こっちを見る。俺はうなずく。


「結構前に終わったな。話もついたし」

「そう……でも待って、亜神相手に生き残ってるってどういう事?」


 再び殺気を放ってくる。


「だから、そのあたりもマリーには話をしている。それにミィアとリィリにも話をするってことで決着がついているから」


 そう言うと、半信半疑ながらも殺気を放つのはやめてくれた。


「マリーちゃんどういう事?」

「説明はする。だけど、まだリィリが起きていない。起きたら説明する」

「はっ!そう言えばリィリちゃんは!」

「そこで横になってるよ」

「リィリちゃん!」


 そう言うと、彼女は駆け寄っていく。


「リィリちゃん!しっかりして!大丈夫!?」

「ちょ、ちょっと、そんな乱暴に起こさないでよ!」


 とギャーギャー騒いでいるともうひとりも目を覚ました。


「ん…………どういう状況?」

「あ、こっちの子は冷静なんだ」

「ん、ミィアとは違う」

「なるほど。というわけで、説明に入りますか」


 そして、先程マリーにした説明をもう一度する。


「信じがたい」

「私も最初は信じがたいと思っていたわ」

「嘘でしょ」

「いや、だから、結局マリーとは戦うことになったわけなんだけど」

「私と戦って生きているのが証拠というわけよ」

「なるほど、それなら納得できる気がする」

「む~、二人共信じるなら私も信じるかな……で?マリーちゃんとリィリちゃんはどうするの?」

「私はゼクスと一緒に他の亜神たちに声をかけようと思ってるわ」

「私もそれに賛成」

「じゃあ、私もそうしましょう!あの方の元へ帰るのはもう少し先でもかまわないですからね」

「じゃあ、とりあえず三人共協力してくれるってことで良いのか?」

「ええ、大丈夫よ」

「ん」

「よろしいわよ」

「それじゃあ、次にこちらの自己紹介を済ませよう」


 こうして全員が自己紹介をして、次の目的地をどうするか相談する。


「というわけで、次はどうする?」

「協力するとは言ったけど、そもそも私達はこの国と残り2つの国を監視している立場だからあまり大げさには動けないわよ?」

「それなんだけど……」

「どうしたの?リィリちゃん?」

「急いでこっちに来たけど、国に戻らなきゃいけない」

「何かあったの?」

「戦争の気配」


 急に場の空気が凍りつく。


「それは……」

「まずいですわね……」

「その前にリィリの居る国はどんな国なんだ?」

「私が居るのはマグレア帝国。昔は戦争で小国吸収していた国。亜神が居なかったら戦争は泊まらなかったと思う」

「でも、どうして急に?」

「多分数年あるいは十数年単位での計画。私も最初は気づかなかった。本当に徐々に、徐々に兵士の数が増えてる」

「なるほど……それに、そろそろ亜神の存在がどのようなものか忘れるような時期でもあるかもしれないわね」

「そう。皇帝が崩御して、新しい皇帝が出た途端に一気に兵力を国境に集めた。不意打ちだったから、下手するともう戦争が始まってるかも」

「え?それってまずいんじゃ……」

「んじゃ、とりあえず、全員でそこを目指そうか。で?どの国と戦ってるの?」

「カメイア共和国」

「私達の国とはちょうど反対で手を出しにくい国……だけど、あそこには亜神が二人いたはずだけど……」

「そう、だから始まっていない、あるいはもう終わってる可能性もあるけど、とりあえず向かわないといけない」

「よっしゃ。亜神が関わるならちょうどいい。とりあえず、その国境に向けて今から向かいますか」


 こうして、俺達は戦争が始まろうとしている、いや、もうすでに始まっているかもしれない。下手をすると終わってるかもしれない場所へと向かうのだった。

お読みいただきありがとうございます。

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