第十七話
突然ですが、私の都合で更新を週1回にしました。
楽しみにしてくださってる方には申し訳ございませんが、何卒よろしくお願いします。
ここ、グレイシア王国の首都、ミレニアは他の街より一段と活気があった。たどり着いてまず最初に門に並ぶが、これまた入るのに時間がかかった。もちろんギルドカードで入ったのでお金は取られなかった。
「とりあえず、宿を探すか。シェリーはなにか知ってるか?」
「確か王都に旅籠があるって聞いてたから……そこに泊まってみたいんだけど……」
「どうした?歯切れが悪いな?」
「えーっと、滅茶苦茶宿泊料が高いと聞いていて……その……」
「お金なら心配するな。王都のギルドに行けばまとまった金が手に入るだろう」
宿探しは一旦置いといて、俺はいつものごとくギルドへ向かった。
「すみません、クランの移動とメンバーの移動です。クランはがロルに一人残っています」
「はい。了解いたしました。ギルドカードをお貸し願えますか?」
俺はギルドカードを渡す。
「はい。ありがとうございます……て、手続きはしました。あの、そちらの後ろの方々は全員その、亜神様ですか?」
「いや、全員ではない」
「と、言うと……亜神様もいらっしゃると」
「まぁ、そうなるな」
そう言うと、受付の人が慌てて「少々お待ち下さい」というと奥へと消えていった。そして少ししていかついおっさんと一緒に戻ってきた。
「おい、お前ら、ちょっと奥で話を聞かせてくれないか?」
「どなたですか?」
「王都のギルドマスターのガデル・アーリ・コルア・グルアだ。ガデルで良い」
「はぁ、貴族様ですか?」
「貴族家に産まれたものは、妾腹でも庶子でも長ったらしい名前を持つんだ」
「へ~、それは初めて知りました」
「というわけで全員奥へ来てもらえないだろうか?」
「あっ、はい」
そう言われ、奥へと案内される。
「ではそちらへかけてくれ。貴族だからといってかしこまる必要は無い」
「いや、かしこまってないですけど」
俺はかけてくれと言われる前に普通に座っていた。
「お前さんは別だ。後ろの子たちを見てみろ」
そう言われ振り返る。おお、三人はガチガチに固まっている。タルトとピュアは普通に俺の横に座っている。三人に向かいの長椅子に座るように指示して話を促す。
「ああ、そうだったな。すまないが、データはこちらにも届いている。ガロルの街のダンジョンで一旗揚げて、全員Aランクのクラン。そして、物騒な名前のクランで思想的に危険な可能性あり。とな」
「はぁ、危険な思想ですか」
「そりゃそうだろ?誰が好き好んで亜神様の名前を使うというのだ?名前を聞いただけで、普通は怖がる。一般常識だ。それが何だ?パーティー名にもクラン名にも亜神様の文字を入れるとは……正気の沙汰でないと思うが……如何かね?」
「如何かと言われても、目的は亜神との接触ですし。一応お墨付きももらえたからそろそろ亜神に会ってもいいかなと」
「……なるほど、亜神様を亜神呼ばわり、これが過激な亜神様にバレたら殺されるぞ?」
「そうならないよう強くなりました」
「あのな、Aランクの冒険者がどれだけ凄いと言ったって亜神様とは比べ物にならないんだぞ?」
「それ以前に俺の目の前に座って居る3人が亜神だという事実の件について」
「……は?」
ギルドマスターはフリーズした。
「いや、だからそこの三人は亜神だよ?」
「……いやいやいや、新たな亜神様だとでも言うのか?言っちゃ悪いが、亜神様は現在この世界に何名居て、封印されているのが何名か、把握している。容姿もちゃんと伝わっている。俺はこんな亜神を見たことが無いぞ」
「そりゃそうだ。この間亜神になったばっかりだからな」
「……は?」
ギルドマスターは再度フリーズした。
「まぁ、どうでも良いけど、亜神として相応の力を見せることも可能だぞ?多分普通にこの街くらいだったら三人が本気になれば一瞬で壊滅させられると思うぞ?」
「……お前は一体何者だ?」
「あれ?ギルドカード渡しましたよね?ゼクスですけれども?」
「いや、そういうことじゃなくてだな」
「ん?何が聞きたいんですか?」
「……はぁ、まぁ良い。じゃあ、お前さんとそっちの二人は一体何なんだ?」
「俺は……そうですね。神様から頼まれて、神様から肉体をもらい、この世界に降り立った現人神といったところでしょうか?……ちなみにこっちの二人は刀。刀に宿った魂に神様が肉体を与えた存在だとか」
「……」
ギルドマスターは再度フリーズした。
「タルト、ピュア」
「はい」
「はいなの!」
そう言うと二人は俺の腰に下げていた刀に吸収されるように消えていった。
「これで信じてもらえます?」
「……」
「おーい、聞こえてますか?」
「……あ、ああ。なんか目の前で起きていることがあまりにも現実離れしすぎていて、追いつかないだけだ……気にするな」
「そうですか。タルト、ピュア、戻っていいぞ」
そう言うと二人はもとに戻る。
「で、俺たちをどうしたいんですか?」
「……それを考えるためにお前さん達を呼んだんだがな……」
「あの、考えたければもう少し考えてて構いませんが、その前にダンジョンで狩った魔物をこっちで買い取って欲しいので、そっちの手続きしてもらってもいいですか?後、ギルドカード返してください」
「あ、ああ。わかった。では案内しよう」
そう言うと、先程の受付の方に声をかけ、ギルドカードを受け取る。そしてその後その受付の人とバトンタッチして受付の人に解体場まで案内してもらう。
「あの、ここでは何処まで買い取ってもらえますか?後、どのくらいのレベルまでオッケーですか?」
「ガロルの街の最前線クラスでも問題ないぜ!」
「あっ、はい。それ以上は困るわけですね?」
「困るってことは無いが……あんちゃん、最前線を更新したのか!?」
「ええ。まぁ、知っている人はごく僅かですけど」
「わかった。最前線より少し先の魔物を一体ずつは買い取ろう。それだけでもかなりの金額になる。それ以上となるとぶっちゃけ値段が付けられねぇ。下手すりゃ国が買い取ることになるだろうな。しかも多分だが国庫が空っぽになっちまう」
「そこまでの価値なんですか?」
「だってよ、見たことのない魔物が並ぶんだぜ?考えても見ろよな」
なるほど、地球で考えれば、天然のダイヤモンドで世界記録を更新したりしたらそりゃ流石に値段がつくかどうか怪しいわな。
「なるほど。理解した。だったら、その最前線より少し上の魔物二体ずつ、片方は剥製で片方は解体するってのはどうだ?」
「おお、それは嬉しいね……だけどさっきも言ったとおり、金が無いんだよ」
「そうか……ちなみに素材と剥製ならどっちが良い?」
「それは困る質問だな……実利を取るなら素材だな……ギルド的にも。ただ、貴族にその手の剥製は売れるんだよなぁ~」
「まぁ、良いや。とりあえず、ガロルの街でも攻略は進んでるだろうから、いずれ出てくるだろう。とりあえず、一体ずつ素材にして渡す。このあたりのレベル帯は肉が食えるって言ってたから、保存するなら早めにな」
そう言って俺は魔物を出す。
「うお!これは初めて見るな!本当に凄いなあんちゃん!というか、魔道具は何処だい?」
「魔法で仕舞っている」
「……魔法ってそんなに便利なものだったんですかい?」
「ああ」
「魔法ってすげぇな」
「だろ?それよりこれ、解体してもかまわないか?」
「解体できるんで!?」
「ああ、魔法でな」
「……魔法ってすげぇな」
「だろ?というわけでこいつ解体するぞ」
そう言って、次々と魔物を出して、買い取って貰えそうなものを次々と出していく。もちろん最前線の魔物以外、要するに最前線より前の、攻略済みの魔物も大量に買い取ってもらえた。
「これで終わりで良いか?まだあるんだが?」
「流石にこれ以上は勘弁して下せぇ」
「ん、わかった。何処でお金を貰えばいい?」
「ちょっと待っててくださいね……へい。この木札を持って受付に出しておいて下せぇ」
「おう。ありがとうな」
「いえいえ!また時間が経ってからなら、残りの魔物も買い取りしますんで、またいらして下せぇ!」
「おう。わかった」
そう言うと受付に木札を持っていき、暫く待つ。そして、受付の人が青い顔をしながら俺を呼ぶ。
「これが今回のお金になります……正直これほどの金額は始めてみました……なくさないように、取られないように気をつけてください……いくらこの王都が亜神様に守られていて、安全とは言え、これほどの大金です。欲に目が眩む人が出ないとも限りません」
「大丈夫だ。返り討ちにする。伊達にこの金額を稼げるほどモンスターを狩っていないのでね」
「は、はぁ……あっ、そうでした。先程ご案内した部屋までまた行ってもらってもかまわないでしょうか?ギルドマスターがお呼びです」
「ああ、わかった」
再度俺たちは奥の部屋へ向かった。
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