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第十五話

「私が依頼主のビルク・アロン・デクア・ガロルだ。一応領主をやっている」

「はじめまして。ゼクス・アポロニアです」

「ほぅ、家名があるということはそれなりの出自なのかな?」

「まぁ、それなりに」

「ふむ。それで急ぎではないのだが、心情的には急いでほしい依頼がある」

「そうお伺いいたしました。お聞きしましょう」

「娘です」

「娘さん?」

「病気なのです」

「お急ぎでないところを見ますと、すぐに死ぬようなことは?」

「ええ、ありません。ただし、不治の病とも言われているため、早く解決したいのです」

「具体的にはどのようなご病気で、どういう解決方法がありますか?」

「ご説明しましょう。病気というよりは一種の呪いです。体裁のために病気と言っているだけに過ぎません。今まで生きた年数をさかのぼり、最後には赤子になり死んでしまう呪いです。解決方法には二通りあります。一つはまぁ不可能ですが、亜神様になることでしょう。もう一つもあまり現実的とは言えませんが、目的をお伺いしたところによりますと、なんでも亜神様をお探しだとか。そこに一縷の望みを託したいと思っております。実は、亜神様なら長い年月を生きていらっしゃる。この呪いの解呪方法を見つけられるやもしれません」

「……なるほど、私達は適任だということですね?」

「そういうことになります」

「なるほど……その娘さんは今どのような状態なのか確認させていただいてもいいですか?それと、その呪いはステータスに表記されていますか?差し支えなければ教えていただけないでしょうか」

「……ステータスには表記がある。ステータスも娘の姿を見るのも構わない。なんとかしてくれないだろうか!頼む。この通りだ」


 そう言うと思いっきり頭を下げる。


「やめてください、そちらが依頼してきたのですから、こちらは受けるだけです。とりあえず、やれることをやろうと思うので、まずは娘さんに会わせてください」


 そういうと、領主様自ら、案内をしてくれた。


「ここが娘の部屋だ……マリア、居るかい?会ってもらいたい方々が居るのだが、入ってもいいだろうか」


 すると奥から鈴のような声が聞こえた。


「ええ、構いませんよ。お入りになってください」


 そして、中に入る。ほらね。やっぱりね。そうだと思ったんだ。絶対神様がなにかしてるんじゃないかと俺は睨んでいる……というのも、やはりどストライクの女の子だったのだ。


「はじめまして。私の名はマリア・アロン・デクア・ガロルと申します。どうぞ、マリアとお呼びください」

「……マリアさんですね。領主様からお聞きしました。貴方のその呪いを解く為に協力させてください」


 すると後ろで控えていた亜神と刀姉妹はため息をついたり、「始まったよ」とかなんとか聞こえてくるが無視をする。


「ええ、よろしくお願いします。と言っても、もう5年も前からの呪いですから、半ば諦めてますの」

「……失礼ですが、ステータスを拝見してもよろしいですか?」

「構いませんが、ステータス、読めないと思いますよ?」


 そして、俺はステータスを見る。すると状態異常のところに幼女病と書かれている。ってか、年齢は25歳って表記されてるのな。


「これ、呪いって言ってましたけど、病みたいですよ?」

「え?この状態異常がなんと書いてあるのかわかるのですか!?」

「なんだと!そうなのかね!?」

「あっ、はい。まぁ、大体のことはわかりました。これ、絶対神様の仕業のような気がします」

「か、神様……亜神様の呪いでしょうか?」

「いえ、亜神ではこんなことはできなと思います……できないよな?」


 とタルトに聞くとできないと断言した。


「良かった。ってことは多分だが、その上の神様が直接なにかしたな。この病気にかかった時、なにか出来事がありましたか?」

「いいえ、最初の1年ぐらいは何も気づきませんでした。ステータスも見ることなどありませんでしたし」

「それが、まぁ、五年も経てばわかるってところですか?」

「え、ええ。具体的には2年ぐらい経ってから気づきました」

「なるほど。それまでは気づかなかったと」

「はい。その後噂を集め、やっとこれが呪いであることが判明しました」

「まぁ、一種の呪いですね……一応※※病となっていますけど……呪いと言っても過言ではないかもしれませんね」

「え?今何病とおっしゃいましたか?」

「え?だから※※病だよ?」

「病名が聞き取れません」

「神様のフィルターかな?」


 と振り返りながらタルトを見る。


「多分」

「まぁ、だろうな」


 俺は再度マリアさんを見る。


「とりあえず、手っ取り早く直したいなら方法は一つあります」


「はい?」

「は?」


 父娘ともに何を言われたのか、理解が追いついていない様子だ。


「とりあえず、固まってますけど話を続けますね。領主様はご存知だと思いますが、私は亜神と会うことを目的の一つにしています。だから青の亜神というパーティー名で、クラン名が亜神の住処にしているわけなんですけれども。それで、実はこの後ろにいる三人」


 そう言ってシェリーとミア、シアを前に出させる。


「実は私の眷属になったので、亜神になりました。この子達は亜神です」


 絶句。という言葉が似合うほど父娘はぽかんとしている。


「まだ再起動していないみたいなので続けますね。で、貴方も私の眷属、つまり亜神に慣れば多分治ります。ただし、元の姿には戻れません。その姿で固定されるでしょう。それでも構わなければすぐにでも亜神にできます。というか、この病、それ以外で多分治せないです。他の亜神に聞いてもいいですけど、十中八九知らない、無理って言うと思いますよ」


 この親子は某PCのOSでMEとかつくんじゃないだろうか?あれ、バグひどかったからな……それに、フリーズすると復帰するまで長いし。とか考えている間も固まったまんまだ。おお、口をパクパク箚せてる。さすが親子、シンクロしているな~……今度はなにかブツブツ話し始めたぞ?何を言ってるかはさっぱりだが。


「あの、そろそろいいですか?」


 二人がシンクロしてクワッとこっちを向いて、同じようにシンクロして頭を抱えうつむき、同じようにシンクロしてブツブツつぶやき始めた。


 あれから5分。やっと再起動したようだ。というかやはり親子だ。再起動のタイミングまで同じとか……本当にMEなんじゃねぇか?


「あ、あの、眷属化、亜神様にしていただけるというのは本堂でしょうか?そのようなことができるのでしょうか?」

「亜神様になる以外助からないというのは本当かね?」

「どれも全て本当です。で、どうしますか?相談するなら私達は席を外しますが?」

「……そうだな……おい、誰か、誰か居ないか!?」


 そう領主様が叫ぶと、使用人がやってくる。そして、俺たちを応接間に案内するよう命令し、少しの間そこで待っていてほしいと頼まれた。


「やはり、あの子も好みだったのですね?」


 とにこやかにタルト。


「おにーちゃん、ロリコンっていうびょうきなの!パパが教えてくれたの!」


 とピュア。


「いや、本当に見境ないな……いや、惚れたのが私だから何も言わないけど……」


 シェリーそれは言外に言っているのと同じだぞ。


「やはり、か弱そうな少女が好みなんですね」

「お姉ちゃん、ちょっと怖くなってきた」


 シア、ミア、お前ら人のこと言えないからな?


「あー、もうとにかく彼女も多分仲間になるだろうから宜しくな!とは言え、鍛えた後彼女がどうしたいかまでは俺は触れない。どうしたいかは彼女に決めさせる。もちろん眷属化を選んだ場合だがな。少なくても死ぬ心配はなくなったんだ。やりたいことがあればやらせてあげてもいいしな」

「それにしても見境ないですね~今度は貴族様ですか。次は王族でも狙いますか?」

「おい、タルト俺を一体何だと思ってる?」

「ロリコンと言う名の変態さんで、色々な幼子を集めるのが趣味の方でしょうか?」


 とにこやかに言ってくれる。コノヤロウ。


「まぁ、いいさ。暫く時間ができそうだ。とは言え、ここで待ってろってことは今日中にでも答えを出すきなのだろうか?」


 そして、結構待ったが、それにしても予想よりはるかに早く扉が開かれた。


「ゼクス君、娘と話し合って決めた」

「はい、私を亜神様にしてください」


 結論早すぎね?

お読みいただきありがとうございます。

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