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第十四話

 あれから一ヶ月が経った。俺たちは毎日毎日ダンジョンに潜った。お金はかなり余ってるので、素材は不良在庫になっている。三人は現在最下層までたどり着いた。明日ダンジョンボスを倒す予定だ。ちなみに、俺は何をしていたかと言うと……


「後どれくらいだ?」

「もうそろそろ大丈夫だと思いますけど……行ってみますか?」

「そうだな……行ってみるか」

「いくのー!」

「じゃあ【ゲート】……さあいこうか。ボスを倒しに」


 ダンジョンボスの周回をしていた。

 ダンジョンのボスは一定時間経つと復活する。魔物もそう。狩り尽くしたとしても最下層は無尽蔵に湧き出てくると言っても過言ではない。ただし、ボスと比べると弱いのだ。


「おっ、扉があるぞ、じゃあ行くか」


 これで何度目のボスだろうか。素材は有り余ってる。ちなみにここのボスもドラゴンだった。


「じゃあ、今日こそ5秒以内に倒してみせる!」

「はい、頑張ってくださいね!」

「おにーちゃん、がんばるの!」


 5秒以内。そう、5秒以内。魔法は禁止、刀のみで。どれだけ集中して一刀を放つか。今はそんなゲームみたいなことをしている。


「じゃあ、始めるぞ」


 扉に触れると自動的に開く。そして最奥にはドラゴンが居座っている。以前のダンジョンボスのドラゴンとは比べ物にならない。最初は結構絶望したものだ。だが、慣れればなんてことはない。それにボスを倒すと急激にレベルが上がる。とは言え、もう言うほど上がらなくなってきているが。


「……っ、シッ!」


 一閃。縮地を使い、懐まで飛び込んで、一気に首を切り落とす。


「……何秒だった!?」

「惜しいですね、まだ5秒は切れてないです」

「おにーちゃん、ざんねんなの~」

「いや、大丈夫だ。まぁ、これだけレベルが上ったんだ。後は朝になったら三人を迎えに行ってこの最下層の魔物を狩り尽くす勢いで狩って、その後ボスに挑ませよう。危なくなったら手を出すが、俺らは基本手を出さないようにしよう」

「わかりました」

「わかったの!」

「じゃあ、今日はもうボスが出る前に朝になるだろうから帰ろうか」

「はい」

「はいなの!」


 ゲートを使って宿屋に戻る。


「お疲れ様でした」

「おつかれさまなの!」

「二人共ありがとうね。さてと、三人はそろそろ起きるかな?」


 ちなみにまだ日は昇っていない。


「おっ、やっぱりみんな起きてたか。おはよう」

「おはよう!」

「おはようございます」

「お、おはようございます」

「覚悟はできているか?」

「は、はい!」

「今日は最下層……」

「そして、可能ならボスに挑む」

「よし、よくできました。それじゃあ、向かおうか【ゲート】」


 三人は覚悟を決めたような顔でゲートを潜る。そして、手続きをして、最下層へと再度ゲートを開く。そしてたどり着く最下層。いきなり魔物の襲来だ。


「ほら、ぼさっとしてないで会敵したら?」

「即殲滅!」

「はっ!」

「やっ!」


 三人共武器や防具はないので魔法のみで戦っている。


「まぁ、ここまでの力があれば大丈夫だろう」


(本当にここのダンジョンをクリアする亜神が誕生するとは思いませんでしたね)

(おにーちゃんにはしーなの!)

(そうですね。静かにしてましょうね)


 と本人が聞いたら愕然とするような話をタルトとピュアは話していた。もちろん本人の知らぬところでだが。


 そして、狩り尽くしたとはいい難いが、ある程度戦ってレベルも上がった。この三日間は三人共この最下層で戦って、慣れてきている。ウォーミングアップも済んだことだし、徐々にボス部屋に向かうように仕向ける。そして……


「ここがボス部屋」

「緊張してきたね」

「うん、お姉ちゃん」

「じゃあ、三人共準備ができたら扉に触れてくれ」


 そう言うと三人で顔を見合わせ、扉に触る。そして扉が開かれる。


「ど、ドラゴン!」

「今までの敵とは格が違う!」

「そんなことを言ってる暇があったら攻撃しろ!相手は待たないぞ!」


 そんなことを言ってる最中にもドラゴンはこちらに猛スピードで突進してくる。


 三人はかろうじて回避して、思い思い今まで練習してきた魔法をぶつける。


「タルト、どう思う?」

「なんとも言えないですね……今の所大丈夫だと思いますが……」

「まだ早かったか?」

「いいえ、貴方はここにたどり着いてすぐに入ったじゃないですか」

「そりゃそうだな」

「大丈夫だと信じて見守りましょう」


 ちなみに俺はあの後、隠蔽と隠形、鑑定などを身に着けている。もちろん全てカンストの先まで行ってる。そして、現在は隠形のスキルで隠れている。もちろんタルトとピュアもだ。


「こいつ硬い!」

「硬いならそれを砕くイメージ!」

「駄目!もっと強くイメージしないと!」

「っ!回避できない!」


 ミアとシアは回避できたが、シェリーが少し遅れた。


「【結界最大】!」


 高威力の攻撃すら耐えしのぐ結界を最大まで魔力を注ぎ込んだ。


 GYAAAAAAAAAAAAA


 ドラゴンの翼にかすったが、逆にドラゴンのほうがダメージを負ったようだ。


「全力で攻撃するよ!」

「はい!」

「うん!」


 そうして、猛攻撃が始まるが、いかんせん俺の使う魔法より威力が弱い。もちろん俺の魔法を見て頑張って入るが、理論がないため完全とはいかない。


「駄目!もう一回【結界最大】みんな私の後ろから攻撃して!」


 ドラゴンはブレスを放ったり、一心不乱に攻撃を繰り返している。


「攻撃が通じていない!」

「どうすれば!」


「なぁ、どうする?有効打が打てないと同しようもないぞ?」

「困りましたね……確実にダメージは与えているんですが……」

「とりあえず、ダメージは与えられているみたいだからこのまま見守っておこう」


 というのもこのドラゴン実は自己回復能力が異様に高い。攻撃しても攻撃してもすぐに回復する。だから俺も最初は手こずった。どうやって殺したもんか迷ったが、最終的には物理と科学の勝利だった。


 その後も戦いは続き、徐々にこちらは疲弊していく。三人共流石にもう気づいたらしい。このドラゴンの回復能力を。先程から攻撃の手を緩めない。そう、一番最初に俺もそのことに気づかずどうやっても倒せなかった。が、コツが分かれば簡単に倒せるようになった。コツさえ分かればこいつは結構対応しやすいのだ。一体だし。確かに攻撃力は強いが、俺達のレベルだと、結界張ってればそんなに痛くはない。というか俺に至っては結界を張らずとも多分痛くないし、普通になにかされました?状態になるだろう。


 そして、そこから更に時が経ち、やっとドラゴンが沈んだ。三人共息を切らしている。そして倒したのを確認すると三人共その場で寝転がった。


「いや~、お見事、よく無事に倒せたね」

「「「……」」」


 うん、疲れて何もしゃべれないよね。俺もそうだったし。


「とりあえず、みんな合格だ。これでやっと王都へ向かうことができるな」


 と俺は上機嫌で言うと、タルトが一言言った。


「そうですね。王都に居る亜神にそろそろ会ってもいいかも知れませんね」


 と。


「は?王都に亜神が居る?」

「あれ?言ってませんでしたっけ?」

「言ってねぇよ!」

「ごめんなさい。今言いましたわ」

「……まぁ、いい。とりあえず、今日はゆっくり休め。そして明日出発するぞ。もちろんその前に冒険者ギルドに行って、卸して良さそうな魔物をいくつか納品して、王都に向かうがな」

「わ、わかりました~」

「つかれたです~」

「もうむりぃ~」


 三人共聞ける状況じゃない。


「とりあえず、歩けるか?歩けるなら今ゲートを開くぞ?」

「わ、わかりました。歩きます」

「お布団で寝たいです」

「私も~」


 疲れた体を無理やり起こし、三人共立ち上がった。


「【ゲート】ほら、宿屋の前だぞ」


 まるでゾンビの行進のように歩いていく。俺は苦笑いしながら後をついていく。そして、外に出て、宿の自分たちの部屋へ向かう。俺はその後ダンジョン出口へ向かって、疲れたので先に3人を帰らせたと伝え(一悶着あったが)、久しぶりに冒険者ギルドに向かった。


「あ、あーーーー!ゼクスさんですよね!」

「は、はい?あの、なんですか急に」

「お忘れですか!お肉を卸してくれるという約束だったじゃないですか!一ヶ月も何をしていたんですか!」

「すみません、ダンジョンに篭っていました」

「そ、そんなぁ~……それじゃあお肉は?」

「あの、普通に取ってありますよ?」

「そんな昔のお肉とっくに腐ってますよぉ~」

「いや、腐ってないですって。魔法で収納しているので」

「はい?」

「いや、だから魔法で収納しているので腐ってないですよ?」

「……ギルドマスター!お肉です!念願のお肉が届きました!」


 と受付嬢が叫ぶと、ギルドマスターと呼ばれた……おい、こいつ解体場のおっちゃんじゃねぇか!


「坊主!何処をほっつき歩いてたんだ!肉は大丈夫なんだろうな?早く出せ!」

「は、はい」


 そう言って俺は肉を大量に出す。


「馬鹿者!少しでいいと言っただろ!」

「は、はいぃ!」


俺は半分ぐらい収納するとギルドマスターと呼ばれたおっちゃんはうなずく。


「よし、これくらいがちょうどいいな。おい、お前らこの肉を運んで保存しろ!」

「「「「「はい!」」」」」


 解体場に居た人達は他の作業を止め、こちらに向かってくる。


「あの、お仕事いいんですか?」

「肉より大事なものは無い!」

「そこ、いい切っちゃっていいんですか?」

「無論構わん!」

「はぁ」

「ところでお前さん、一ヶ月も何をしていたんだ?」

「ダンジョンに篭ってました」

「はぁ、まぁいいか。こっちの苦労も知らないでと言いたいところだがな」

「は、はぁ、どういう事ですか?」

「おめでとう。この間来ていた嬢ちゃんたちのうちBランクだったお前ともう二人はAランクに昇格した」

「はぁ、ありがとうございます」

「何だ、嬉しくないのか?最高峰だぞ!言っておくが、今現在Aランクはこの国にお前たち含めて8人しか居ないんだぞ!」

「そうなんですか……少ないですね」

「感想はそれだけか?あ?」

「それなら新人の子たちもすぐにAランクになれますね」

「どういうことだ?」

「この間出した素材より更に強力な魔物を屠ってきてますから」

「お前はこのギルドを破産させる気か?」

「いやいや、滅相もない。とりあえず、あの後の階層のを順繰りに出していきますね。一種類ずつ。ほしいのがあればどれがいくつか言ってください」


 こうして、冒険者ギルドで仕分けをした。そしてその功績でやはりランクを全員Aランクにすることが決まった。ちなみに明日から王都に向かうと言ったら「馬鹿野郎!手続きすんのが面倒だ!後一週間ぐらいここに滞在しろ!」と言われたが、別に王都のギルドでも構わないだろうと思っていたら「俺の給料の査定に響く」と宣った。


「とりあえず、明日移動します。異論は認めない」

「……わかりました、手続きをしておきます。クラン、パーティーからは何名残っていただけるのですか?」

「全員連れて行く」

「……やはり、もう少しこの街にとどまりませんか?」

「貴方も給与査定に?」


 受付嬢はそっと顔をそむけた。


「異論は認めない」


 そう言って無理やり手続きを取らせ、タルトとピュアを呼び、ギルドカードをAランクの者にしてもらい、その日は帰った。


 次の日。俺たちはこの街を出ようとしたが、ギルドマスターはしつこかった。指名依頼というものが入ったとのことでギルドに来てくれと言われた。


「あの、来ましたけど」

「なんだ、お前一人か?」

「旅支度済んでるので」

「いや、お前たちのパーティーに指名依頼だ。全員来てもらおう。その間にAランクの手続きはしてやる」

「指名依頼とはなんですか?」

「高ランクの冒険者に稀に出される特殊な依頼だ。これは実力が伴わなければ死に至る。そういう過酷な依頼だ。断っても構わないが、ペナルティーがあるからあまりおすすめはしないな」

「ペナルティーってなんですか?」

「膨大な違約金と冒険者としての活動の一時停止だ」

「はぁ、別にそれでも問題ないんでお断りします」

「……まぁ、少しぶっちゃけすぎた儂も悪いんじゃが……できれば受けてほしい。この街の領主様からの依頼だ。実はその領主には娘が居るのだが、その娘が病で床に臥せっていてな。助けてやりたいのだ。成人したばかりだと言うのに、人生これからという少女を見捨てるわけはないよな?」

「その言い回しは腹が立ちますが、そんなに難しいことなんですか?」

「とりあえず、依頼の内容はこちらには知らされていない。とは言え、娘がこういう状況だからそれ以外考えられんがな。この領からAランク冒険者が出たということで至急依頼を出したとのことだったのだ」

「……ちょっと仲間と話してくる」


 そして、俺はみんなのところへ戻り言った。


「依頼が入った。この街から出るのはもう暫く先になりそうだ」

お読みいただきありがとうございます。

誤字、脱字等ありましたらお知らせいただけると幸いです。

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