第十一話
俺たちは走ってる途中、大きな馬車を見かけた。不審がられないよう、歩いていたのだが、どうもこのままだと、その馬車とお会いしそうな感じだ。とりあえず、挨拶だけはしておこうと思っていたのだが……。
「なぜにこうなった」
馬車に乗っていたのは奴隷。しかもそういう人権の侵害は亜神の制裁対象になるらしい。で、俺が奴隷商人たちに声をかけてしまったもんだから、いきなり斬りかかられた。俺はそれらを無効化して、馬車の中を覗くと奴隷が居たというわけだ。
「あの、どうするんですか?」
「とりあえず、魔法で隷属されているみたいなんだよね……まずその解除から」
そう言うと、俺は契約書を破るようなイメージをした。すると奴隷たちにかかっていた隷属が解けた。
「ほい、これでもう大丈夫だよ」
と俺が言うと。口々にお礼を言ってきた。
「まぁ、行き掛けの駄賃ってやつだね。とりあえず、俺はお礼を求めてやったわけじゃないから記にしなくていいよ・・で、あなた方は行く宛があるのですか?近くの街まではお送りできますが」
というと、奴隷の大半が近くの街へと連れて行ってくれというものだった。
「了解。で、そっちの子二人は?」
「……」
「……」
何も答えない。そうしていると、奴隷の一人が言った。
「この子達は親からも村からも捨てられ、死に体のところ奴隷商に見つかり、捕まったそうです。詳しいことはわかりませんが、この子達は行く宛もないと思います。私達は成人していますが、この子達は……」
なるほど、とりあえず、この子達は保護するかね?
「心配しなくていいよ。ちゃんと食べ物と飲み物は用意するからちょっと待っててね」
そして、馬車に戻り、奴隷商人達を魔法で収納し、馬車に乗り、馬車を動かせる人に頼み、ダンジョンの街へ向かった。
ガロルに着くとすぐに衛兵さんを呼び、奴隷商人達をその場に出して、引き渡した。もちろんその場で大騒ぎになった。何がって?俺の魔法だよ。
奴隷たちの殆どがこの街に消えてゆく。そして、残ったのは子供が二人。そして、俺の直感が叫ぶ。この子達は亜神決定だな。と。
いきなり災難に見舞われたが、無事ガロルに着き、宿を決め、冒険者ギルドに顔を出した。そこでクランとパーティーが移動してきた旨を伝え、宿屋に戻った。
「さてと、それでだ。この子達をどうしようか?」
「あら?亜神にされるのではないのですか?」
「おにーちゃんのこのみのこたちなの!」
「え“、やっぱり本物のロリコンさんなんだ……」
「おいおい、こらこら、何不名誉なあだ名をつけようとしている……まぁ、間違ってはいないが」
「ふふふ、そういう素直なところは私好きですよ」
「わたしもわたしも!おにーちゃんのそういうところすきなの!」
「ほ、惚れた弱みだな」
「もう好きにしてくれ。とにかくこの子達の意思が最優先だ。俺がいくらなんと言おうと、亜神になるつもりがなければ連れて行かないし、孤児院か何かを探して預けてくる」
ちなみにこの会話を二人の目の前でしているが、なんの反応も示さない。
「でも、なんとかしてあげたよな……とりあえず、ご飯を食べに行くか。シェリーの鼻が確かなら、ここの宿の料理は期待してもいいんだろ?」
「もちろん!」
「じゃあ、二人も連れてみんなで行こう」
二人を連れて宿の1階にある酒場に来る。ここは昼は食堂、夜は居酒屋みたいな感じになるらしい。
「すみません、ご飯6人分、おすすめで美味しいのお願いします」
そう言うとお給仕している人が、笑いながらかしこまりました。と言って奥へ下がる。そして、待つこと十数分。やっと料理が出てきた。
「おお、本当に美味しそうだ!みんな食べよう食べよう!」
と、俺が言うと名前も知らない子どもたち二人以外は食べ始めた。その時、子どもたちが怯えているのに俺は気がついた。
「どうした?遠慮しなくていいんだぞ?美味しそうだろ?君たち二人の分なんだ食べていいよ?足りなかったらお変わりしてもいいよ?」
そこまで言うと初めて子どもたちが声を出した。
「私達打たない?」
「お腹殴らない?」
俺ら四人は絶句した。
「心配いらないよ。今言ったけど君たちの分の食事だよ。ちゃんと食べないと体にわるいよ?」
そう言ってもなかなか手を出そうとしない。するとピュアがものすごい勢いで食べ始めた。
「お、おいどうしたピュア?」
ピュアは一心不乱に食べている。子どもたち二人もそれを見ている。というより全員がピュアを見ている。そして数分もしないうちに食べ終わる。
「おにーちゃん、おかわりなの!」
「あ、ああ、それは構わないがどうした?」
「あのね、ピュアはわからないけど、ごはんおいしいよ?わたしもたくさんたべる!おなまえわからないけど、ふたりもたべようよ!というわけでおにーちゃんおかわり!」
すると子どもたちは恐る恐る手を動かし始めた。そして、食べ物を口に入れる。そこからは手が止まるどころか、一心不乱に食べ始める。ピュアはにっこり笑って「おかわりなの!」と言ってる。俺はおかわりを頼んで、タルトとシェリーに目配せをして食べ始めた。
子どもたち二人はご飯を食べ終わると、うつむいてしまった。
「どうした?おかわりほしいか?」
「……」
「……」
「おにーちゃん、わたしとこの子たちふたりぶんおかわりなの!」
「……わかった……すみません!後3人前お願いしてもいいですか?」
「ふふふ、よく食べますね。いいですよ。少々お待ち下さい」
二人はピュアを見る。
「おなかがすいてたらげんきがでないの!たくさんたべるの!」
そこから先は言うまでもないだろう。二人共遠慮なく、たくさん食べた。
「美味しかった?」
「うん」
「美味しかった」
「それは良かった」
そう言って俺は二人の頭を撫でる。すると二人共顔を赤らめ、うつむく。
「ん?どうした?」
「あ、ありがとうございます」
「あ、ありがとう」
「いいえ、どういたしまして。それで二人の名前を教えてもらってもいいかな?」
すると二人は顔を見合わせ、再度うつむく。
「どうしたの?」
「……」
「……わ、私達……」
「ん?」
「その、忌み子だから……」
「……っ」
二人は涙ぐんでいる。
「忌み子?詳しくは聞かないほうがいい?」
すると二人はしばらくうつむいたまま返事をしない。
「……そうだな、それじゃあこっちの話を聞いてもらおうかな。僕はね、神様に頼まれてこの世界に来たんだ」
すると、二人はこちらを見てキョトンとした顔をしている。
「はは、何言ってんだろって思うかも知れないけど本当の話だよ。僕のステータス見る?」
そして、俺のステータスを見せた。
【ステータス】
名前:ゼクス・アポロニア
年齢:20
性別:男
種族:神族
レベル:205
HP:2050000
MP:2050000
攻撃力:20500
魔法力:20500
物理防御:20500
魔法防御:20500
体力:20500
知力:EX
敏捷力:20500
幸運:EX
特殊スキル
神託EX
眷属化EX
隠蔽EX
鑑定EX
異世界言語EX
不老不死EX
完全属性適正EX
戦闘スキル
魔法12
剣術1
刀術19
銃術1
暗殺術21
状態異常7
非戦闘スキル
完全耐性9
錬金1
薬師1
鍛冶1
裁縫1
木工1
革細工1
鉄細工1
装飾1
歌唱68
「ほら、僕人族じゃないから。神様から肉体をもらったんだ」
二人共呆然としている。
「ね?君たちがその忌み子?だっけ?だとしても、僕は気にしないよ。なにせ神族、神様の仲間だしね」
「……私はシア」
「お、お姉ちゃん……わ、私はミア」
「シアとミアか。よろしくね。僕の名前は今のでわかったと思うけどゼクスっていうんだ。本当は別な名前があるんだけどね。本来この世界の人間じゃないし。異世界で生活してたしね。で、もしよかったらなんで忌み子と呼ばれていたか聞いてもいいかい?」
「……う、うん。」
「お姉ちゃん!」
「だって……」
「……」
「話したくないなら構わないけど、話したらスッキリするかも知れないよ?君たちはまだ子供なんだし、いじめるような人もここには居ない。だから安心してくれると嬉しいかな」
そう言うと、シアの方が決心したような顔をして話した。
「実は、私達双子なんです」
「お、お姉ちゃん……」
「うん。そうだね」
「……え?」
「……え?」
「あの私達双子なんですよ?」
「ん?それがどうかしたの?」
「お姉ちゃん……」
「ミア……」
「「う、うわぁああぁああああん」」
そこまで言うと二人は大泣きし始めた。ここは食堂だったので少し焦ったが、ゲートを使って部屋に戻った。
しばらくして双子が落ち着いた。
「私達……ヒック」
「大丈夫、僕たちは居なくならないし、ちゃんと話も聞くから落ち着いてからでも構わないからね?」
「あ、ありがとうございます」
「でも、お話します」
内容を要約すると、双子というのはなぜか知らないが、その村では忌むべき存在だったらしい。本人たちはどうして忌み子だかわからないまま、村八分状態になっていたため、詳しくはわからなかった。シェリーにそういう風習があるか聞いてみたが、ものすごく珍しいとは言え居なくはなかったらしいし、そこまで忌み嫌われるような存在だという話も聞いたことがないとのこと。
「う~ん、ステータスにおかしな表記があったりした?」
「……ステータスに思い当たることがあります」
「思い当たること?」
「私とお姉ちゃんはステータスに魔法のスキルがあるんです」
「……それで?」
「「え?」」
「え?」
何がいいたいのかよくわからない。
「普通魔法のスキルは〇〇魔法のように必ず属性がつくんですが、それがなかったんです」
「うん、俺もないよ?」
「ああ、そう言えば私も亜神になった時、魔法のスキルが発現してたね」
「「あ、亜神様!」」
「あ、言うの忘れてた。というかさっきの会話本当に聞いてなかったんだ……僕は神様に頼まれて亜神、要するに僕の眷属を増やす目的でここに居るんだ。その他にも目的はあるけど。それで、僕の眷属になると肉体が亜神の肉体に変わるんだ……っていうか、やっぱりメジャーじゃないのか?魔法のスキルは?」
「あの、私最初に言ったと思うんですが」
とタルトに言われ、そう言えばそうだなと思い出す。
「と、とにかく、そんなわけで俺もシェリーも、魔法を使える」
「私も使えますよ?規模が段違いですが。多分お二人が持ってる魔法のスキルと思って頂いて構いませんよ」
「わたしもつかえるの!」
「というわけで四人全員魔法のスキルを持ってるわけで……な?問題ないだろ?」
双子はぽかんとしている。
「まぁ、双子だから忌み子だったのではなく、魔法のスキルが発現したから忌み子だったのかも知れませんね」
「どういうことだ?タルト?」
「産まれた時すでに魔法のスキルがあったなら、多分ですが、無意識のうちに使っていたのだと思います。魔法を。無詠唱で。それが気味悪がられた原因じゃないかと」
なるほど……子供の頃は無意識に使うこともあるのか……。
「そうですね……通常ですと魔法のスキルはかなり珍しい部類に入ります。というか、普通の人にはそもそも発現しません。そういう意味でも、亜神の候補ということでいいのではないでしょうか?」
「ちょっと待て、早まるな。それは俺が決めることじゃない」
「あ、あの……」
「どうした?シア?」
「亜神候補って、私達亜神様になることができるのですか?」
「ああ、俺の眷属になると、肉体が変わり、亜神という扱いになるかな?」
「お姉ちゃん」
「うん」
「どうした?」
「私達を眷属にしてください!」
「お願いします!」
そう言うと二人は頭を下げた。
「おい、ちょっと待て。そもそも亜神になるには成人していないとできなかったはずだぞ!」
「あの、私達成人しているんですけど……」
「それはちょっとあんまりです」
俺は絶句した。タルトとピュアはニコニコ笑ってる。シェリーは呆れてため息を着いている。
「その姿で成人!?」
「うぅ、周りのみんなよりちっちゃいのは自覚してますけど……そう面と向かって言われると……」
「ゼクスさんは意地悪ですか?」
「い、いや。そうじゃない。そうじゃないんだが……なんというか……その……な?」
この日俺はいろいろな意味で針のむしろだった。
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