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第十話

 それから約一ヶ月この旅籠に泊まった。理由はシェリーの変わりの従業員の募集、増員とそれの育成。その間俺たちはダンジョンで狩りをしていた。

 無事シェリーが離れても大丈夫な状態になったということで今日で王都へ向かう。ちなみに、王都の途中にあるダンジョンには行っていない。シェリーの育成もあるからだ。


「まさか本当に亜神様になってしまうとはね~お母さんびっくりだよ」


 ステータスを見せたらしい。しかもレベルも1まで下がったらしい。ステータスも初期の俺とほぼ同じだ。ただし、取得してたスキルと、そのレベルはそのまま受け継がれた。


「というわけで、私はゼクス君についていきます!」


 最初は様付だったけど、やめさせた。普通に接してもらったほうが気が楽だ。


「どうもおせわになりました。まぁ、しばらくして落ち着いたら、シェリーさんはここには帰らせます」

「いいえ、そんな気を使わなくてもいいのよ?」

「親が居るなら、一緒に入れる間は一緒に居たほうがいいに決まってる」

「う~ん、そう言われると、そうなんだけどね~」

「とりあえず、娘さんは預かります」

「ま、元気に楽しんできなさいね!」

「うん!わかった!行ってきますお母さん!」


 こうして、一行は旅籠を出た。そして、次に冒険者ギルドへ向かった。


「すみません、冒険者登録をしたいのですが」

「……そちらの方ですか?その子は確か明鏡止水という宿屋の娘では?」

「訳あってゼクス君についていくことにしました!」


 色んな意味でギルド内が騒然とする。


「……本当にそれでよろしいのですか?亜神様に目をつけられるかも知れませんよ?」

「承知の上です!」

「……わかりました。登録します。パーティーは……その、青の亜神でよろしいですか?」

「はい!お願いします!」

「……クランも亜神の住処でよろしいですか?」

「はい!お願いします!」

「……登録完了しました。こちらがギルドカードになります」

「お、おお!ありがとうございます!」

「それじゃ行くか。ああ、そうだ拠点をここから別なところに移します。クランもそのまま移動ですね」

「……わかりました。手続きをしておきます」

「よろしくお願いします」


 そして、冒険者ギルドを出ると誰も居ないような路地へ向かう。そして今度はマルクの元へ向かった。


「ん?ゼクスか?どうした?おや?その子は?」

「すみません、色々おせわになりました」

「ん?……ちょ、ちょっと待て。それって」

「はい。王都を目指そうと思います」

「いやいやいや、もっとここに居ていいんだよ?」

「いや、目的がありますから。途中大規模なダンジョンがある街による予定ですけど」

「それはもう決定事項なのか!?」

「ええ。それと、この子は俺が泊まってた旅籠の看板娘だった子です」

「……だった?」

「仲間になったので一緒に旅をすることになりました」

「……君の性癖が垣間見えた気がするよ」

「そこは触れないでくれると助かります」

「……そこの娘、名前は知らないが、なにかされたら私を頼りなさい」

「あの、いえ、その……///」

「あれ?ちょっとまて、そういうことか?そういうことなのか?」

「どういうことかは理解しかねますが、まぁ仲間です」

「はぁ、とりあえずこの街は出ていくのだな?」

「そうなりますね」

「なんとかならないのか?」

「失礼します。くどい」

「はぁ、何かあっても君に頼れないじゃないか」

「自力でなんとかしてください。それにこの一ヶ月でかなり戦力は上がったでしょ?」

「それはそうだけど……」

「この街の領主様なのに何情けない声出してるんだよ」

「いや、だって」

「だってじゃねぇよ!」

「わかった。これ以上もう何も言わない」

「それは何気なく言ってるのか?」

「いやいやいや、そうではない」

「そうか。わかった。とりあえず、世話になったし、この街を出るから挨拶に来ただけだ。じゃあな」

「ああ、わかった。またこの地に来たら遊びに来てくれ」

「わかった。それじゃあな【ゲート】」


 俺らはゲートの中に入っていった。


「で?ゼクス君、ここは何処?」

「ん?ああ、ここはダンジョンがある街だ」

「ダンジョンか~ここで経験値を稼ぐの?」

「そういうことだな」

「ちょっと楽しみ」

「シェリーは魔法を使えるか?」

「魔法なんて使える人のほうが珍しいと思うんだけど」

「そうか、魔法は使えないか。安心しろ。俺が魔法の使い方を教えてやる」

「あらあら、この間まで教わる立場だったのに……もう先輩面ですか?」

「タルトさん?なんか言葉に毒がありませんか?」

「そんなことないの!」

「あらあら、うふふ」

「俺、なにか怒らせるようなことしたか?」

「いいえ、特には。そこはかとなく気に入らなかっただけです」

「……まぁ、いいや。とにかく、魔法は使えないと話にならない。それに、もう肉体は亜神へと昇華しているんだ。普通に使えると思うが?」

「使えるんでしょうか?」

「何事もイメージだな。俺の場合は色々な知識があるから、それを魔法に応用している。例えばだ。火ってさ、温度どれくらいだと思う?」

「え?熱いとしかわからない」

「だろ?例えば今魔法でイメージしているのは通常の火。これで大体300度ぐらいかな?」

「300度がどれくらいかわからないんだけど……」

「そうだな……このあたりの気温はちょうど25度ぐらいだ。今の10倍以上熱いわけだ。それは理解できたか?」

「うん。なんとなく」

「ここに異世界の科学の知識を入れるとこうなる」


 俺の手から出てた火は赤から青白い炎へと変化した。


「お~きれいだ」

「そう、きれいだな。だけど、さっきの火よりもかなり強力だ。さっきの温度の何千倍になってるかわからないが、それくらいは熱い。要するに、火に耐性が会ったとしてもそれには限度があるだろう。もし、この青白い火をその耐性を持っている魔物に使ったとしても効果は絶大だろう。普通は弱点を突く訳だが、こうやって色々イメージで工夫すればこんなことだってできる」

「なるほど……ということはイメージ次第では転移の魔法も使えるということか!?」

「俺が使ってるゲートもあれも転移の一種だろ?」

「おー、そう言えばそうだった」

「まぁ、そんな感じで、魔力を自分のイメージでもって使いこなすことができれば成功だ!」

「わかりました!やってみます!」

「最初は簡単に手から水が出るイメージとかでもいいんじゃないか?」

「そうですね……やってみます!」


 そう言うと、シェリーの手から水が出てきた。


「おお!できました!」

「そう。それが魔法。次は攻撃のためにはどういう手段を用いる?」

「それは色々だと思います」

「例えば弓矢をイメージしよう。炎の矢……矢全体が炎になるイメージ」

「こうですか?」


 すると炎の矢が出現した。


「そう。それを飛ばせば攻撃になるよな?」

「なるほど!」

「後はひたすら科学や物理を教えたほうがいいのかも知れないな」

「それはやめておいたほうがいいと思います」


 とタルトが急に口を挟んできた。


「どうしてだ?」

「ゼクスさんの大きなアドバンテージはその異世界の知識です。その知識があれば、国一つ落とすのに一つの魔法で済むでしょう。それを亜神がポンポン使うようになったらこの世界が滅びます。貴方だけがそれを使うのが望ましいと私は思います」


 なるほど、そういう考えもあるか……。


「そうだな、わかった。じゃあシェリー俺が魔法でどんどん戦っていくから、それを参考にイメージして戦ってみてくれ」

「わかりました!」

「それじゃ、街に正規の手続きを踏んで入ろう」


 そう、俺らは今森の中にいる。ここから街までは歩いて半日。シェリーに合わせて走れば1時間とかからないで着くだろう。


「で?街は何処ですか?」

「あっちの方角だな」

「えーっと、どうやって移動するのでしょうか?」

「無論、走る。シェリーに合わせる。ほらみんな走るぞ~」

「わかりましたわ」

「はしるの!」

「ゲートの魔法じゃ駄目なんですか?」

「自分の肉体に慣れるため走ろうじゃないか」

「う、う~わかりました」


 こうしてダンジョンの街、ガロルへ向かうのだった。

お読みいただきありがとうございます。

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