表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/29

第21話 闇市場

 床の揺れが収まると目の前には広い通路があり、通路の両側には個別に様々なアイテムを売っている闇商人たちが多数。そして丁度、琥珀たちが地上から降りてきたことに気づいた女性は琥珀たちに近寄り言った。


「ようこそ、闇市場へ」


 その女性は上下黒の執事に似た格好をしており、周りには似つかない恰好をしていた。すると、


「私はシャルド。これから丁度一時間限り、お客様のお世話を務めさせていただきます」


 と、シャルドは言い右手を左胸に当て、琥珀たちに頭を下げた。シャルドのその仕草は本当に執事のようだ。


「ねえ、琥珀。ここは一体…」


 すると不安そうにエレガは琥珀に問い、答えた。


「闇市場だ。セインはこういう所に一回は来たことがあるんじゃないか?」


「いや、私は初めてだよ~? にしても凄いね~、ここ。違法アイテム、麻薬に密造品!」


「よくこんな場所が外部に見つからなかったな」


 どうやらセインとディアブルはエレガと違い、この光景に興奮しているようだ。そしてエルクとメルはまだこのような場所があることに驚いている。


「はい。ここの警備はベルムヘイド王国の中でも最高度のものです。そして何よりこの闇市場には闇の帝王と言われているお方によって経営されていますので」


 ディアブルの言葉に自慢げにそう返答したシャルド。


 だが…………。闇市場を経営しているのは闇の帝王などではない。もしそのような人物が経営しているのであれば、利益より赤字が続いてしまうほどの被害を毎回帝国から浴びてしまうだろう。だがそのような事にはならない。何故なら・・・この闇市場を経営している当の本人はこの国の王なのだから。


「まあ、その話なら前聞いたことがある。ところで闇館という場所はどこにあるのか案内してくれないか?」


「失礼いたしました。闇館の入場には30万がかかりますが、宜しいでしょうか?」


「構わない」


「承知いたしました」


 そう言い、シャルドは道を歩いていく。そして琥珀ら6人も彼女に続いて後ろを歩いてゆく。ちなみにこの場にはセインの言っていた通り、違法品、麻薬、密輸品が売買されている。しかし逆に言えば大まかにその三つのものしか売買されてないということだ。勿論、この中には高価なものも少なくは無いが、ほぼ全てが他の闇市も購入が可能なのだ。そして琥珀の目的のものはこの中には無い。


「着きました。ここが闇館です」


 どうやら闇市場の風景を見ている内にもう闇館へ着いてしまったようだ。全ての通路はかなり暗く如何にも裏の世界といったイメージを湧かせる。そして通路は複雑に様々な分かれ道があり、シャルドによればそのほとんどは行き止まりへになっているらしい。


「入場費30万を要求する」


 闇館は今までの露店とは違い、扉だけが壁に埋め込まれておりその中に琥珀の目的のものはあるようだ。扉は紫の頑丈そうな分厚いものだと闇館の外からでも理解することが出来る。そして琥珀たちに今、入場費を要求した仮面をした男も只者では無いとそう琥珀の今までに積み上げてきた経験と勘が言っている。確実にこの奥は闇館だ。


 琥珀は30万をアイテムバッグから取り出すと、仮面の男は扉を開けた。扉を開けたすぐ前には黒いカーテンが掛かっており完全に中身が見えないようになっていた。6人は扉が開いたことにより闇館へと入って行くが、シャルドは中へ入ろうとはしない。


「ん? どうしたんだ?」


 琥珀はシャルドに問いかけた。


「申し訳ございません。私はこれより先の入場許可を得ていません。そのため私の役目はここまでとなります。無事、目的の品を見つけられること、お祈り致します」


 そう言い、シャルドは頭を下げた。それに納得し、琥珀ら6人は闇館へと入って行った。どうやらここにも格差があるようだ。シャルドは平民なのだろう。明らかに先程から道を歩いている最中に聞いた話からして彼女は正しい情報をあまり与えられていないように思う。理由は彼女がここに闇市場と闇館しか存在しないと思い込んでいたからだ。しかし実際は違い、ここには闇市場以外にもカジノや奴隷市場などが存在する。勿論これもほんの一部の人間にしか知らされていない情報であり、これらの施設に入場する為には治癒薬店同様、どこかの場所に密かに隠されている。試しにここには娯楽施設があるかとこの場と雰囲気に似つかないことを質問したものの、彼女は瞬時にそれを否定した。


 つまりいくらこのような場で働いているとしても階級が平民の為、それらの施設の事は一切知らされていないのだろう。だがそれらの施設がどこにあるのかは大体、検討が付く。何故ならその場には必ず貴族や質の高い衣服を纏った者たちが次々と立ち寄るからだ。あれ程までに簡単に場所を掴ませてくれるとはなんとも優しいものだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ