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第16話 真実

「この辺でいいだろう」


 10人は地下12階、地下11階からの階段を降りてすぐにある多数の分岐点でダンジョンボス部屋への道とは違う場所へ歩き続けると10人はその道の果てまで辿り着いた。


「確かにここなら他の冒険者には邪魔をされる事は無さそうだ。で、琥珀君。始めてくれるかな」


「球体を」


 琥珀はヨミスに球体を要求すると彼から膨大な魔力の入った球体と空の球体を渡され、琥珀は言った。


「【ゴブリン生成】」


 すると地面が歪み始め渦を巻き始めると中心が黒くなりそこからゴブリンが生成された。ゴブリンとはこのダンジョン外にも存在する魔物だ。ゴブリンはダンジョン内の魔物のようにアイテムを落としはしない。しかしその代わりにゴブリンなどのダンジョン外の魔物を倒した場合、その魔物に最もダメージを与えた人物の全体的な能力が上昇される。そのため筋トレだけで鍛えた人と魔物と戦う事を仕事にしている冒険者や警備兵は単純な握力や魔力量でさえ天と地ほどの差があるのだ。この場合、冒険者や警備兵が鍛えている一般人より能力が高いというのは言うまでもないだろう。


 話がそれたが今現在、目の前に生成されたこのゴブリンは一番数が多いとされるノーマルゴブリンと呼ばれるゴブリンだ。ゴブリンにも多様な種類があり、今現在琥珀の知る他の種類のゴブリンは主にガーディアン・ゴブリン、ゴブリンコマンド、レイズゴブリンの三種類だ。その三種類には各種類ごとに特殊な能力を有しているが、このノーマルゴブリンには人間のようにダンジョン内の武器や手を使い相手と戦うことしか出来ないタイプだ。ちなみに見た目は全身緑の小人エルフと言った感じだ。特にそれ以外でゴブリンを表現するとなればゴブリン専門家に聞けと言いたいところだが、琥珀なりにゴブリンを一言で表現するとしたらこの魔物はかなり気持ちが悪い。ご飯中に現れてほしくない魔物ランキングでは余裕で1位を取れるような気がするが、今はそんなことどうでもいいか…。


「素晴らしい! まさか魔物を生み出せる能力だったとは!」


 ヨミスは大喜びしてこちらの持っている球体を見つめる。


「ああ。この球体はこの中に入っている魔力量分、魔物を生み出せる」


「なるほど。これは物凄いアイテムであるのには違いない。ちなみにその空の方にも能力があると僕は睨んでいるが...?」


「確かにあることはあるが、知らない方がお前の為だぞ?」


「良いから見せろ。さて、どんな能力なんだ?」


「はぁ..。忠告はしたぞ?」


 するとディアブル、メルが一斉にヨミスとその護衛4人の周りに防御魔法を掛け、再び2人は防御魔法を発動するため詠唱を始める。


「何だ? 何故、僕たちを防御魔法で囲う? 琥珀君、何をするつもり.........だ..」


 と、ヨミスは己の疑問を最後まで琥珀に問いかける前に彼は地面に倒れ込んだ。防御魔法に囲われているヨミスの護衛兼暗殺者である4人も同様、彼と同じように地面に倒れ込んだ。


「【吸収】」


 見えはしないが、確実に球体は防御魔法内の5人の魔力を吸っていった。


「残念だったな、ヨミス。お前があるミスを犯さなければ俺は気づかなかったかも知れない」


「な、何を…」


 苦し紛れにもヨミスは琥珀に問いかける。


「まず、一つ目。どうやって俺を助けた?」


「君はダンジョンボスが空けた穴で倒れていたからね。カインが君の仲間を捕らえている間、その後ろでしかも穴のお蔭で姿が上からは見えない君を急いでカインにバレないように...」


「二つ目。何故、お前を常に守っているそいつらでは無く、お前が直々に宿屋まで俺を背負っていった?」


「それは...。彼らをカインに尾行させていたからだ」


「何故、4人全員が尾行する必要がある? 一人で十分じゃないのか? 三つ目。雇う暗殺者を間違えたな」


「..........」


「セイン、そこにいるんだろ?」


 するとディアブルとメルの発動している防御魔法の隣の空間が徐々に揺らぎ始め、次第にそこから女性が姿を現した。


「久しぶりね、琥珀」


「久しぶりではない。お前はエレガたちを助けにベルムヘイドへ向かう時から今までずっと俺達に付いてきていただろ? 俺がお前に気づかないとでも?」


「あれ~~、バレちゃったか~~! 気づかないように付いて行ってたのに...。やっぱり琥珀の察知能力は凄まじい~」


「...セイン、何故お前がここにいる」


「あ、ヨミス! ちょっと暇で付いてきちゃった~! てへっ!!」


 セインは琥珀が最後に彼女と会った時と変わっておらずぶりっ子が激しい。というより天然なのだろうか? それはどうであれ彼女は以前と同じく毎回、依頼を達成すると当分は依頼主に付きまとい、自分が依頼を達成したことによる変化を確認し、それを楽しむ癖(契約違反)はまだ治っていないようだ。


「簡単な話だ。冒険者嫌いのカイン自らがダンジョンに来ること自体、稀だがそれ以上に順位の低い貴族の護衛程度がこの4人を何の抵抗もさせずに捕らえるなどできるはずが無い。ましてや気絶させるなど論外だ。4人から聞いた話ではカインが現れ気づいた時にはもう気絶していたとのことだ。そして俺の知る中でこのような事の出来る人間は透明化魔法の使い手であるセインだけだ。そのセインをお前が雇ったと考えればそう難しい問題でもない。つまり何が言いたいかというと、護衛をカインにお前のその能力で変身させエレガたちの見える所まで行かせるとまるでカインの護衛、部下、または兵士がエレガたちを気絶させたと偽造するためセインを透明化魔法で彼等に気づかれずに気絶させた。そしてカインにエレガたちを売り、俺が目を覚ますとエレガたちを助けるために自分の利益になりそうなこの二つの球体の情報とその後を条件に。というわけだ」


 と、説明を終え琥珀は防御魔法の中を見ると、ヨミスはもう死んでおり琥珀の説明を最後まで聞く前に死んでしまったようだ。


「もう死んだようね」


 エレガはヨミスの護衛4人も彼と同じ状態になったことを確認し、ディアブルとメルは防御魔法を解除した。


「話の続きだけどそれだけでは私の依頼主がヨミスだって事は解らないんじゃない? 私意外にも透明化魔法を使える暗殺者はいるわよ? 偶々、私をカインが雇っていたって可能性もあるんじゃないの?」


「暗殺者は不意に自身をさらけ出さない為に暗殺依頼意外を受け付けるべきではないが、カインのような金を十分に蓄えている者からの依頼であればお前なら受ける可能性がある。しかしまずお前はエストで基本活動しておりベルムヘイド王国ではヨミス以外の交流は無い。つまりカインがお前を雇っている可能性は極めて低い。それにベルムヘイド王国を毛嫌いしていてヨミスの依頼以外では絶対にベルムヘイド王国には近づかないようなお前がベルムヘイド王国の他者の依頼を受け付ける確率はほぼ無い」


「つまり事前にその女を雇えることの出来る者はヨミス以外にはいないということだな? ということは…。ヨミスがその女を雇っていた理由は琥珀を暗殺するためだったということなのか?」


「ああ、そうだ。だからヨミスを殺した。こいつと組んでいても都合よく使われ、また裏切られるだけだからな」


 流石、ディアブル。頭の回転が速い。


「うぐ..。頭の回転の良さは貴方が暗殺者だった頃と変わっていないようね...」


「当然だ」


 と、そこでセインは声質を真面目な風に変えて言った。


「で、”こいつら”を殺して私を生かしたのは何故? 何が目的?」


 セインは警戒心を最大にして琥珀を睨みつけた。


「セイン、お前俺のパーティーに入らないか?」


「.......?...は?」


 セインは全力で発していた警戒心や殺気などを一瞬で無くなすとセインからしてその意外過ぎる琥珀の提案に反応できず、その場で呆然と首を傾げ立ち尽くすのだった。


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