教会
お待たせしましたっ!!
ちょっと内容に詰まってましたっ!!
少女の手に優しく導かれて、辿り着いた先は教会の様な場所でした。
少女は扉を開くと、迷い人と共に中に入ります。
中は礼拝堂の様な所で、祭壇の後ろに少女を大人の姿にした様な女神像がありました。
上を見上げると、数々のステンドグラスが窓にはめ込まれていて月の光を沢山取り入れて様々な色を出すオーロラの様な光が女神像に降り注いでいる様に見えます。
この教会は幻想的と言うよりは神秘的な場所でした。
「ここは迷い人達が祈り、願い、眠る場所なの」
「え……」
迷い人がそれを聞いて呆然とするのも仕方ありません。
少女の言葉は、人としての生を迷いの森の中で過ごす事を指し、教会で静かに、眠る事をも指すのですから。
その後、少女は迷い人に湖で眠る場合は、迷い人が最初に目覚めた白い部屋か、女神像の奥の部屋の棺で眠る事を説明しました。
「どちらで眠っても大丈夫だけど、迷ってたり不安がある場合は、棺で眠る事をお進めするよ」
少女にそう言われた迷い人は、複雑そうな表情をしていました。
少女は女神像の先にある白い扉を開け、広い部屋に案内しました。
そこには沢山の、白い棺がありました。
蓋の閉まった棺と、開いた空の棺がありました。
ひとつひとつの棺は大きく、眠るのに充分どころか、寝返りも余裕で打てそうな大きさだったのです。
迷い人はふと、視界の端で蓋の閉まった棺の内のひとつ、蓋を開ける部分に、蝶の模様の鍵付きの金具が付いていたのを、見かけました。
その棺から、淡く赤色に輝く蝶が飛び立って行きます。
「精霊様、あの錠は」
迷い人の質問に、少女は一瞬だけ泣きそうな表情をしましたが、無理矢理笑った様な表情で説明をします。
「そっか
錠、付いちゃったんだ
早いなぁ
裏庭に案内しながら説明するね
あの錠はね、一度だけ外から開ける事が出来るの
その一度は、迷い人達に時が来たら、開くの」
裏庭に案内されつつではあるが、説明を聞いていく内に、迷い人はこの湖で眠るという事はこういう事なのだと、納得した様な、覚悟を決めた様な表情になっていました。
裏庭は丘に作られていたのか、湖面とは言え、月の光が良く入る場所でした。
そこには沢山のお墓と蝶、奥に石碑の様な物が置かれていました。
丘からは町が見渡せる様で、蝶の淡い光でぼんやりと見える白い町と、ぽつりぽつりと湖面に向かう蝶達が見渡せました。
湖面に向かって真っ直ぐ進む蝶達が蛍や流れ星の様に見える、と迷い人は言いました。
それを背後で聞いていた少女は瞳を潤ませていました。
きっと、湖に溶け消えてしまって見えなかっただけで、一筋の涙を流していたのでしょう。