スランプ
えー……うん、何気に続き書いてましたね……(´・∀・`)ハハハ…
一応紅茶飲みながら話してるので、紅茶のワンシーンを入れたかったんです……
『あ、はは
あははは』
何で、何で出来ないんだろう。
何で失敗したんだろう。
昨日までは出来てた筈なのに、何でっ!!
身体はちゃんと動く。
足も、手だって動く。
なのに、肝心な時に何も出来ないなんて。
あれ、どうすれば良いんだっけ。
いつも、どうしてたんだっけ。
やり方、忘れちゃったや。
何も出来ないのだと気付いた時、唐突に怖くなった。
『誰か、お願い
僕を助けて』
暗闇の中、青年のか細い声だけが響いていました。
―――――
湖の中心部。
舟に乗っている訳でも無いのに、浮かぶテーブルと椅子。
そして、そこに座る精霊様と私。
季節外れの蝶や、この空間があると言うだけでも不思議なのに。
湖の上でお茶会を開く私達は一体。
精霊様に進められたので、紅茶を飲んでみる。
湯気をたてているそれは温かく、どこかほっとする様な心に染みる様な温もりがあった。
夢である筈なのに紅茶の味がある事にも驚いた。
だが、この紅茶が美味しいって事にも驚いた。
美味しい
思わずそう呟けば精霊様は嬉しそうに、気に入ってもらえて良かった、と言ってお菓子を口に放り込んで美味しそうに頬を膨らませて食べていた。
そんな無邪気で微笑ましげな精霊様を見て、思わず笑ってしまう。
ふふっ
少し落ち着いた所で、私は話を再開させた。
「私ね
随分幼い頃にピアニストに憧れて、目指してたの
だけど、私はピアニストにはなれなかった
ピアノは勿論今でも好きよ?
でも何気ないある日、唐突にスランプになって……」
昨日まで出来ていた事が、急に出来なくなった。
それは酷く怖い事で、いつか完全に弾けなくなってしまうのでは無いかと考えた事もあった。
それでも私はピアノに触り続けていて、ピアノから離れるだなんて考えた事も無かった。
譜面を読み込んでも読み込んでも、上手く引けなくて怖くなった。
だから弾けなくなった事すら、きっと練習不足だったんだと頭の中で決め付けて私は必死にひたすら練習を重ねたの。
勿論、指が赤くなるまで毎夜練習を重ねたわ。
それでも、私はピアノを弾けなかったの。
コンクールの1週間前になっても、3日前になっても前日になっても、私のスランプは消えなかったわ。
日常の端々で、音楽を聴くといつの間にか指が動いてるなんて事もあった。
諦め切れる筈が無かった。
それでも……
「私は、ピアニストになる事を諦めたの」
「本当に?
貴女は本当に諦める事が出来たの?」
「いいえ、きっと本当は諦め切れて無いのよね
だって私には、ピアノしか無いと今でも思うもの」
少女の声が優しく響きます。
彼女も慎重にゆっくりと、言葉を選びます。
言葉の中に、少女を見つめる瞳の中に様々な思いを激情の色を乗せながら。
今にも叫んでしまいそうな程、危うい筈なのに。
次回、不定期です。
プロットだけは仕上がってる「その一歩は未来の為に」よりも遅いのは確実です。
ご了承ください。