日常
久しぶりの更新でございます
大変お待たせいたしました
蝶が来てからも、俺の日常は変わらなかった。
いつも通り年末を家族と過ごしたし、いつも通り学校に通った。
俺が受験生だった事もあって、試験にも出た。
そして俺の視界の端には、いつも蝶が居る。
まるで俺を見守る様に。
段々この光景にも慣れてきた。
そして体質的な物なのか、幼い頃から怪我をする。
毎回運が悪かったではすまない程、傷が絶えない。
まるで「不運」を飼っているかの様に。
それなのに、俺の不運な体質は蝶が来てから徐々に軽くなっていた。
最近は地味に痛い程度なのだ。
これはきっと蝶が、そう都合の良い解釈をして良いのだろうか。
そう思いつつ日々を過ごす。
そうしている内に、三月が来た。
桜が咲き始め、視界を鮮やかに彩りつつある季節。
俺の卒業式の日。
この時、珍しく俺の視界に蝶は居なかった。
それを気にする事無く俺は卒業式をやりきり、友人との別れに涙を滲ませ、帰り道の分かれ道で「社会人になっても連絡寄越せよー」なんて笑って言って別れた瞬間だった。
俺は事故に合った。
車に引かれる。
それに気が付いたのは車のブザー音が耳元で響いた時だった。
頭に響く衝突音、痛みよりも先に感じる熱と麻痺。
薄らと視界に映る青と赤の輝き。
走馬灯の様に思い出していく俺自身の過去。
俺がこのまま死ねば、あの子に会えるのか。
伝えられなかった想いを伝える事が、出来るのか。
それなら、死んでも良いかもな。
意識が無くなる瞬間に誰かに手を掴まれた気がした。
身体の感覚なんてとっくに無くなってる筈なのに。
次話もお待ちくださいませ




