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少女の絶望

お待たせしました。

今回もやはり暗いです。

……世界観崩さない様に気をつけます!!




 なんで、どうして。

 おかあさんやおとうさんがおしえてくれた。


『悩みや何かあれば、相談して頼って良いんだよ』


 おにいちゃんはいつでもわらってわたしのみかたになってくれていた。


『俺はお前の兄だからな』


 そういってほこらしげにわらっていたのをおぼえてる。

 かぞくはたいせつでたいせつで、ちのつながりのあるかぞくはどんなにうらぎられてもきらいになったりうらんだりなんかできるはずがない。

 そう、おもってたのに。






 少女のその感情は家族に裏切られた事への絶望から悲しみへ変わりました。


『きっとわたしがいいこにしてなかったからおにいちゃんだけにむかえにきたのかな』


 教会のシスターから話を聞いた少女は現実を理解したくないが為に絶望と勢いのままに教会を飛び出し、自らを裏切った家族を探しました。

 そして、数日の内に探していた家族を見付けました。

 遠くからでも見ていて分かりました。

 家族は悲しんではいませんでした。

 寧ろ、笑っていたのです。

 少女に教会に行く様にと言った両親も。

 少女が最後に頼っていた兄も。

 少女がいなくても、少女の血の繋がりのある家族は幸せそうでした。

 少女は家族の中に少女は必要無い、余計な存在だったのだと突き付けられたのです。

 幼い少女の感情は憎しみへと変化しました。



――――――



 フィリアの強い絶望感と悲しみ、そして憎しみと悔しさが僕の頭に、心に流れ込んでくる様だ。

 そして、最後に深い後悔。


 なんだろう、この話どこかで見た。

 いや、聞いた事のある話の様な。

 でも、伝承の中にはこんな話は無かった。

 じゃぁ何故?

 僕とミルフィリアが初めて会ったのはこの森だ。

 だから僕とミルフィリアに他の関係なんて。


 そう思った時、先程まで見ていたフィリアの過去は一度幕が降ろされて暗い空間に声が響いた。


『憐れな少女は絶望、悲しみや憎しみを抱えたままどうしたと思いますか?』


 その声は男性とも女性とも判別の付かない中性的な声だった。

 僕は声の聞こえる場所を探すべく辺りを見渡すが、先程までの過去を見せてくれていた淡く輝く青い蝶が戯れていた。

 まさか、この声は蝶から?

 それでも、結局ミルフィリアが過去に何をしたかなんて分からない。


『少女は決して特別ではありませんでした

 寧ろ普通の、幼い少女でした

 そんな少女が今こうして迷いの森に留まっている理由は一体?

 貴方はそう思ったが故に、少女に過去を聞きました

 ならばここまで聞いて答えの出ない貴方では無いでしょう?』


 感情の乗らない淡々とした声でそう言われた所で青い蝶も消え、視界が完全に闇に包まれた。

 フィリアの感情は未だに僕に流れ続けている。

 このままじゃ……


「お兄さん!!」


 身体を揺さぶる小さな手と共に強く呼ばれて意識を取り戻す。

 ぼんやりと視界に映るのはさっき見た。


「フィリア?」

「あぁ、お兄さんが眠っていたのは蝶達のせいだったって事かな

 やっぱり、お兄さんは私の過去を覗いちゃったんだよね」


 その声は若干低く、柔らかい声の中にどこか諦めと拒絶の入り交じった様な声だった。

 少女の顔色はあまり良くは無かった。

 蒼白だったとも言えるだろう。


「ミルフィリア、あの後君は……」

「うん、そうだねお兄さん

 その先は、私が直接話さなきゃね」


 そう言ったミルフィリアはどこか消え入りそうな雰囲気で笑った。

 ミルフィリア、僕らと同じ時代に生まれていれば、君は愛されていただろうか。




それは、少女が蓋を閉めて忘れようとしていた過去。

それは、少女が拭い切れない寂しさを抱える様になった原因。

それは、少女が醜いと思い込み、迷い人には見せてこなかった幼いもう一人の少女の姿。

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