フィリア
お待たせしました
小さな村にとある少女が居ました。
名前はフィリア。
フィリアの住む村は基本的に四季はありませんでした。
ただ寒く、夏は存在せず、春の様な季節も短い、そんな村でした。
母と父と、そして兄と共に暮らす少女は村で両親の畑を手伝ったり、家事を手伝ったり、兄に遊んでもらったり、細々と慎ましく過ごすだけの一日がとても幸せでした。
それでもやはり、幸せな日々と言うのは長くは保たず。
『フィリア、どうしたの?
ほら、丁度ここの近くだよ』
フィリアにとって別れはいつも通りの日々の中で唐突に起きました。
兄に連れられて幼いフィリアは隣の村の外れにある教会に預けられたのです。
『良いか、フィリアはここで僕と一緒にお父さんやお母さんの帰りを待つんだ』
そう言った兄はフィリアとは目を合わせず、今にも泣いてしまいそうな程に悔しげでした。
そんなフィリアにとっての幸運は、フィリアの傍に兄が居た事でした。
そしてフィリアはそんな幸運も長くは続かない事を知る筈も無く、兄が傍に居る安心に縋っていました。
日が暮れても、フィリアと兄の元に両親の迎えは来ませんでした。
時期は肌寒いでは済まない冬。
ちょうど村が飢饉で食べる物が実りにくくなっている時期でした。
大雪と共に飢饉に襲われるとどんなに蓄えても、村の全ての人間が生き延びれる訳ではありません。
フィリアとフィリアの兄が教会に預けられたのはある意味では優しさだったのかもしれませんが、フィリアにとっては両親に捨てられた様なものでした。
そしてフィリアにとっての家族は兄だけになっていたのでした。
そして数日後、フィリアの前から兄が姿を消しました。
教会のシスターからは、両親が兄を迎えに来ていたと言いずらそうに聞かされました。
事実上、フィリアは兄を含めた家族に捨てられたのです。
フィリアはそれを知って絶望しました。
周りの見えなくなったフィリアは信じられないと言う思いを抱えて教会を飛び出しました。
生前の少女の話です……
後から内容増やす予定……です




