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大変お待たせしました。

10日振りとか待たせ過ぎた感……




 青年は夢を見ていました。

 静かに雪の降る暗闇の中、地面がどこにあるのかも分からず、どこまで落ちるのかも分からない。

 ただただ暗闇の中に沈み、落ちて飲み込まれる、そんな夢を。


 身体が重い。

 頭から落ちる感覚がする。

 僕はこのまま、目を覚まさずに落ちて、沈むのかな。

 このまま目を覚まさなかったら、どうなるんだろう。


 青年がそう思い始めた時、微かに声が届きました。



 お兄さん、これじゃあ悲しすぎるよ。

 こっちにおいでよ。

 ほら、蝶を追いかけて。



 この声、僕の知ってる声だ。

 最近会った少女の声。

 あの子、名前はなんて言ったっけな。

 あぁ、思い出した。


『おはよう、ミルフィリア』


『お兄さん、なんて夢を見てるの』


 青年が目を覚ますと、青年の片手を必死に両手で掴みながら瞳を涙が溢れんばかりに潤ませている少女と目が合いました。


『あの夢の中で、目を覚まさなかったら、お兄さんは死んでたかもしれない』


 そう言った少女は、青年に飛び付きとうとう声を上げて、泣いてしまいました。



――――――



 微睡みの中で声が、聞こえた。

 寂しげで、でも何故か嬉しそうな、そんな声。

 柔らかく包み込む様な、その声の持ち主は私に()()を、届けにきた。

 精霊様は私の眠る棺まで、直接来ていた様だ。


「君との約束を、果たしに来たよ

 これから君は(魂の一部)になって、大切な人に会いに行くんだ

 蝶を通じて、夢を見る様な感覚で、君の大切な人を見守る形になるかな

 さぁ、道案内()を付けるから、行っておいで」



 やっと、あの人に会える。

 そう思ったら、身体が軽くなった気がした。

 フワリ、光に包まれたと思ったら、身体を包む淡い光は、湖で良く見る蝶の色だった。

 そして私は、精霊様に言われるままに、来た時と同じく蝶を追いかけた。


「どうか、迷い人に蝶の加護(導き)と湖の幸があらんことを」


 湖を出る時、精霊様の祈る様な、弱々しい声が聞こえた。






 蝶を追いかけている内に、空気が変わった。

 肌を刺す様な、冷たい風。

 冷たい空気に触れて、悴む(かじかむ)指先。

 唇から吐き出される、白い空気。

 触れてしまえば、今にも溶けてしまいそうな雪。

 そっか、もうここは迷いの森の外なんだ。

 町並みはふわりふわりと、落ちて行く雪に覆われ、砂糖やクリームが乗ったかの様に、白く染まっていく。

 学校の教室の中で、雪の降る外を眺めるあの人。


 見付けた。


 そう思った時、あの人と目が合った気がした。




個人名がやっと出てきましたねw

足跡の付いてない綺麗な雪がクリームに見えたんです……。

ケーキが食べたくなりました……

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