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第六章 3話 仕掛け

「成る程、あのポニーテールの女から聞いたか?」

「おい、仮にも同級生に向かってなんて言い方をするんだ!」

「わ、わりぃ」


 俺が凄むと、大賀は、咄嗟に謝る。


「いや、何で謝らなきゃいけねぇんだ」


 ちっ、乗せきれないか。

 だが、畳みかけるチャンスだ。

 俺は、人の姿に戻り首を傾げる。


「折角綺麗な顔をしてるのにそんな言葉使ってたら美人が台無しだぞ?」

「は? 俺様が美人?

 バカ言っちゃいけねぇよ。

 美人って言うのは弥子ねこみたいな子のことを言うんだよ。

 俺様が美人なんてちゃんちゃらおかしい話だぜ」


 成る程ね。

 こちらの方が良いか。


「美人の定義って知ってるか?」

「あん?

 そんなこと知った事じゃねえよ」

「人に好かれやすいかどうかなんだよ。

 八方美人言葉は知ってるよな?」

「どこから見ても美人って事だろ?

 俺様には関係ねえ言葉だ」

「八方美人って言うのは誰からも好かれるように立ち回ることを言うんだよ」

「尚のこと関係ねえな。

 こうして敵対してるんだからよ」

「はは、だから言ってるじゃないか八方から好かれるのが八方美人なら美人は好かれるって事だろ?」

「何が言いたい?」

「少なくとも尾崎は、お前が好きだよ」

「……」

「だから、尾崎からみたお前は美人なんだよ」

「は?

 意味わかんねえ……弥子ねこのやつがそんな目で俺様を見るわけが」

「お前は尾崎のことは嫌いか?」

「んな訳ねぇだろ」

「じゃあ好きってことだろう?

 尾崎は美人だと思っているんだから当然だな」

「ち、違う!

 俺様は、俺様は!」


 まあ、詭弁だが、ここまでこちらのペースに乗せられたのなら後は、煮るなり焼くなり簡単ではあるが、あくまでこいつらは手駒に過ぎない。

 相手の業を煮やす必要がある。


「尾崎が好きっていうのは確かだろう?

 お前たち仲が良いのは、誰から見ても分かることだ。

 その上で俺からのお前の印象も美人って事。

 俺が言っている意味分かるよな?」

「それってつまり」


 大賀が、何か言おうとした瞬間糸が途切れたように崩れ落ちる。

 そしてあの少年のようにマリオネットのごとく立ち上がる。


「撫斬さん、ちゃんと処理出来てないじゃないですか」


 俺は、ここには居ない人斬りを思い浮かべる。

 ポーカーフェイス張りの笑顔を浮かべながら頑張れオオカミ少年と言う姿しか思い浮かばない。

 立ち上がった大賀は、ポケットから携帯を取り出してこちらに放ってきた。


 俺が受け取るとほぼ同時に着信音が鳴る。

 ひとまず、電話にでる。


『お前、僕のことを嘗めてるのか?

 それならそうと最初から言ってくれよ。

 それともお前の頭が残念すぎたのかな?

 いいかい?残念な君でもわかりやすく言ってあげよう。

【悪食】を置いて家に帰れ』


 諭すように言ってはいるが幼稚さがにじみ出ているところが人形師だと理解出来た。


「それは聞けない相談だな。

 保護対象のあいつが連れて行かれたら俺が殺される」

『まだ分からないのか?

 全く何所までバカなんだ。

 いいか?よく聞け。

 ……おい、お望みの奴に連絡を取ってやったぞ』


 衝撃音がして電話先の人物が代わった。


『大神、私だ』

「御剣か?」

『ああ、そうだ。

 私は大丈夫だが、会長が攫われた』


 その声は、確かに御剣の声だ。

 真剣味を帯びた声にまずい状態であることは容易に察することが出来た。


『わかった』


 再び衝撃音がした。

 電話を投げるなよ。


『これ以上は、聞かせられないが、どういう状態か理解出来ただろう?』

「卑怯な」

『はっ、頭を使わねぇ奴が悪いに決まっているだろうが』

「都合の良い言葉だな」

『言ってろ、もう、面倒くさいしここからは実力行使させてもらうよ。

 素直に言うこと聞いていればよかったのにな』


 人形師の言葉が終わるか終わらないかのタイミングで大賀が動き始める。

 問答無用と言うより問答拒否と言ったところか。

 まあ、撫斬さんが失敗したとは思えないので、何かしらの仕掛けがあるのだろう。

 ふと、あることを思い出した。


「ああ、そういうことだったのか」


 思いついてしまえば何のことはない。

 しかし、落ち着いて思考が出来たのはそこまでだった。

 大賀の怒濤の勢いの攻撃の前に俺は、防御姿勢をとるので精一杯だ。

 狼になったところで攻撃を仕掛けることは出来ないだろう。

 御剣なら良い勝負が出来そうだが俺にとっては専門外だ。

 矢張り勝負にはならず大賀の拳が防御の隙間をすり抜けたようで、いいものを顔に受けると意識が吹っ飛んだ。


 次に気が付いたときには、すっかり暗くなった空が視界に映った。


「無様だなぁ、さっさと渡してりゃそんなことにはならなかったのに」


 そんな声が聞こえてきた。


「さて、意識が飛んだのは確かなようだし、さて、結界を解いて貰うにはどうしたらいいかな?」


 さて、この声には覚えがある。

 と言うよりも覚えていないわけがない。

 一連の騒動その黒幕、あの電話で聞いた声。

 そう、人形師の声だった。

拙作をご覧いただきありがとうございます。

やはりなろうでは異世界モノの補正が強すぎるお(/ω\)

自分の書いている更新してるやつが更新してないやつに勝てないお。

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