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六章 閑話 豆まき

 今日は節分だ。

 御剣の家に集まり豆まきをすることになったのは必然なことだった。

 集まったのは、俺、会長、御剣刀子みつるぎとうこ出雲寝瑠いづもねる倉石妹子くらいしいもこ馬場直倫ばばなおみちだ。

 珍しく生徒会役員勢揃いだ。

 生徒会で勢揃いしろ役員共。

 それにのじゃロリと【悪食】もいる。

 のじゃロリと【悪食】意気投合しているのはやや気になる。

 まあ、そんなことより


「何で俺が鬼役なんだよ」


 そういう俺は、鬼の各校をしている。

 この虎柄のパンツを履いている以上鬼役をやることに関しては仕方がないと思ってはいるが、それでも最後の抵抗と言ったところだ。


「なんです?

 貴方は、女の子にモノを投げつけるような人間ですか?」

「いや、俺以外にも野郎が居るじゃねえか」


 そう言って馬場ばば直倫なおみちを見る。


「そこは、僕より主役に向いているあなたがいいでしょう。

 そもそも豆を当てられるほうが縁起が良いんですから逃げる必要はないですよね?」

「ぐぬ」


 変な知識を持ち出しやがって馬場を睨むが、言い返す事ができない。


「ほら鬼のお面をかぶってシートに上に立ってください」

「まあ、巻いた豆がもったいないからな」

「ええ、あとでスタッフの人に食べてもらいますから」

「おい、スタッフの人ってなんだ!?」

「いえこちらの話です」


 不穏なことを言いやがって、こいつと話していると頭が痛くなってくる。

 そんな俺を見かねた会長が、


「大神君、私も後でやるから」

「いや、会長いいんだよ」


 会長が鬼役をするのは受け入れがたい心情的にも格好的にも。


「そう?」


 なんでちょっと残念そうなんだよ。


「鬼犬」

「きけんってある意味格好いいが俺は犬太郎(けんたろう)だ」

「その子も参加するのはいいが豆を勝手に食べたりしないか?」


 御剣刀子は、別のことを心配しているようだ。

 その視線の先にいるのは【悪食】ことセロニアス・ナイトウォーカーがいた。

 確かに世間ずれした子だから、どうにも常識があるようなないようななんとも言えない状態だ。

 食べ物に関しては好き嫌いしないし、俺が苦手な玉ねぎも普通に食べる。

 一応、勝手に食べるようなことはしないが、機会があればすぐに食べ物を口の中に入れる。


「まあ、大丈夫だろ。

 食べていいと言うまでは」


 御剣と話していると車の音が聞こえたのでそちらを見る。

 御剣が、なにかに気がついたようで声を漏らす。


「あれ?」


 御剣の視線を追いかけると敷地内に車が入ってきているのが目に入った。

 最近の車らしく車体が低めのスマートだ。

 御剣の反応を見ると呆れた様子だったのでどうやら身内のようだということはわかった。

 車が停まるとそれまで妙に静かだったクライシスこと倉石妹子が近づいて後ろの扉を開ける。

 そして中を漁って何かを取り出した。

 取り出された物は、物騒という言葉がきっちり当てはまる物だった。


「持ってきてくれてありがとう」

「おいそれはなんだ!?」


 俺は思わず声を荒げた。

 仕方がないだろう?

 クライシスの手に握られているのは銃なんだから。

 それも軍が使うような形をしたやつだ。


「この子?

 M16A1っていう名前だよ」

「名前を聞いてるんじゃない。

 なんでそんな物騒なもの持ち出してきた!?」

たまをばらまくならちょうどいいかなって思って持ってきたんだよ」

「それは禁止だ」

「えー、じゃあ、この子は?」


 と言って車から降ろしてきたのは、ガトリングと呼ばれる連射に特化した機銃だった。


「おま、よくそんな物持ってこれたな!?」


 むしろ感心してしまう。

 どうやってそんなバカでかいものを車に詰め込んだ。


「それは、御剣さんのおかげでといいますか」


 俺はとっさに御剣を見るが御剣は首を横に振る。

 すると車の方から聞き慣れたキザな口調の男性が現れた。


「やあ、面白そうな子をが居たから連れてきたよ」


 そう言って現れたのは御剣刀子の叔父に当たる御剣撫斬だった。


「鏖さん」

「ははは、まだオオカミ少年とも呼んでないのにそう呼ばれるのは遺憾だよ」

「どうせ呼ぶつもりだっただろ?」

「もちろんだよオオカミ少年」


 俺はため息を吐く。


「で、その物騒なモノをなんで持ってきたんですか?」

「面白そうだから」


 こんの愉快犯め!


「まあ、そのかわり()()()()()()たま()()()してあるからね」


 そう言って撫斬さんは、自分の懐からハンドガンを取り出す。

 そうしてなんのためらいもなく引き金を引く。

 銃口から丸い物体が飛び出してきたとっさに手を上げて防ごうとしたが、防ぐことができなかったらしくこめかみに衝撃を感じ仰け反った。


「へえ、銃っていうのもなかなかおもしろいものがあるね」

「いきなり何しやがる!」

「まあ、豆まきだよ」

「豆を撃つことをま豆まきとは言わねえよ!」

「そこはほら、鳩に豆鉄砲とか言うし」

「まさに鳩が豆鉄砲を食ったようってか?

 俺は鳩じゃねえ!」

「ははは、面白いこと言うじゃないか

 そんなオオカミ少年には、倉石さん」


 はっと気がついたときにはすでに倉石がガトリングを発射する準備をしていた。


「教会ではよくも恥をかかせてくれましたね」

「ちょっ、おまっ!」


 いつの間にか敬語になっている倉石に戦慄が走る。


「喰らいなさい!」

「こうなったら悪食飛んでくる豆全部食っちまえ!」

「はーい!」


 こうなったら徹底抗戦だ!



----------



「やはりあなたは不倶戴天の敵ですね!」

「おいしかった」


 俺は晴れた空を見ながらそんな会話を聞いていた。

拙作をご覧いただき誠にありがとうございます。

書きたかったこと、プロット的なものから若干ずれてますが概ね満足です。

テンポよく楽しく書けたのですが、普段からこんな感じで書きたいです。

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