第五章 一話 悪食
やあ、久しぶりだな。
ただのしがないOLの大神結だ。
最近、フランス料理を出す高級料理店に入ったが、思ったより食べたいと思えることが少ないのだ。
私は、残念なことにそんな高級料理を食べることがステータスになるなどとは思っていない。
まず、ドレスコードがあって堅苦しい。
さらに出て来る料理はコース料理で勝手に決められる。
何より出てくる料理一品一品が非常に少ないのだ。
もちろん高級料理である以上味の方は文句のつけようがないのだが、私としては焼きそばのようなチープな物に舌が慣れている。
正直言って高級料理を食べると何故かそう言ったチープなものを無性に食べたくなるのが不思議だ。
なので、高級料理店を出た後でこっそりカップラーメンを食べたのはあまり声を大にして言えない。
そんなどうでもいい話だが、フランス料理の中にどうしても手を付けられないものがあった。
エスカルゴと呼ばれるカタツムリだ。
私はそもそも貝類が苦手なのだ。
牡蠣、帆立、蛤仔、蜆等などだが、特に牡蠣は一回当たったこともあり見るだけでも嫌な気分になるのだ。
正直、言って魚介類の貝だけでも嫌なのにカタツムリとなるともう私には悪食にしか見えないのだ。
無論、悪食と言えどもいろいろある。
そう言えば最近話題に上がっている【悪食】と呼ばれる殺人鬼だが、どうにも我が可愛いい弟がいる町に来ているという噂を聞いた。
もちろん友人から聞いた噂だが、その他の情報網からもその可能性が高いとのことだ。
最も、犯人の被害者は何某かの犯罪者なので大丈夫とは思うが、一番気になることは悪食の被害者は物理的にこの世にいないということだ。
そう死体が見つからないのだ。
なので、発覚している以外にもどれだけの人が殺されているのか皆目検討もつかないということだ。
特異な殺人鬼である【悪食】の存在を補足できたのは我が組織の人間の一人が被害にあったからだ。
ただ、その被害にあった男は、組織の仕事以外に黒い仕事をしていたことが調査で分かっている。
だからといって、組織の人間が襲われた以上は、その脅威を放置できるものでは無いのだが、組織が一致団結して探し出すなんてことにならなかった。
結局、【悪食】ついては、弟に被害が出てはいけないため私が動くことになったのだ。
拙作をご覧いただきありがとうございます。
食人とかどう書きにくすぎて死にそう。




