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第四章 十一話 消えた悪意と現れた脅威

 その日も、生徒会室に集まった。

 メンバーは俺と生徒会長、御剣と出雲だ。


「ってことはあの消防士の青年は行方不明になったのか」

「ああ」


 御剣の報告を聞いて俺はなんともいえない歯がゆさを感じた。


「お前が見たという青年が所属していた消防団にもここ最近来ていないそうだ」


 俺が少女を助けた日から数日経った。

 当分の間少女を狙うであろうことは予想できていたので姉の組織の力を借りて少女を見張ってもらったのだ。

 もちろん、いくら幹部の姉でも組織を自由に使えるわけではない。

 今回は異能者の青年が関わっているということなので助力を願えたのだ。

 まあ組織としては少女は囮のようなものだったのだろうけど。


「放火の被害もなくなっているよ」


 会長には地域のことについて調べてもらった。


「逃げたか?」

「いや、それはないだろう」


 俺のつぶやきを御剣は否定する。


「青年の家もわかったので調べてみたが、財布等が置いたままだった」

「刀子ちゃん勝手に人の家入ったの!?」

「入ったのは私ではないよ。

 ちゃんと式紙を使った」

「え、そういう問題なの?」

「いや、常識的には会長が正しいよ」

「だよね」

「だから会長、俺らが非常識なことをやっても常識を失わないでくれ」

「大神君! お前もか!」


 ズガァーンと会長がショックを受けたところで携帯が鳴る。

 携帯を開くと出雲からメールが入っていた。


『もしかすると悪食にやられたのかも』


 はは、まさか、いくら悪食とは言え骨まで残さず喰うなんてありえない。

 まだ若いとはいえ大人といえる青年を全て食べきるなんてことも無理だろうし、もし出来たとしても数日かかる。

 なにより、あの異能者を倒さないといけないのだ。

 ただの殺人鬼には荷が重いだろう。

 いや、組織が追跡しているくらいだそういった者の類ではあるか。

 再びメールが入る。


『組織の情報では悪食がこの地域の近くで確認されているらしい』

「本当か!?」

「ん? どうしたんだ? 犬」

「どうにもここら辺りに悪食がいる可能性があるそうだ。 あと犬じゃねぇ!」

「悪食?」

「……ああ、個々最近話題になっている殺人鬼の名前だ」

「聞いたこと無いよ?」

「まあ、言ってないしな」


 俺の言葉を聞くと会長は御剣を見た後、頬を膨らます。


「また私だけ仲間はずれ?」

「いや、そういうわけではない。

 ただ、会長には教える必要がなかっただけだ」

「なんで?」

「会長が殺人鬼に興味を持ったら俺の心臓に悪いからだ」

「むう」


 納得はしてないが、反論がないようだ。

 普段から危険だと言っているからな。

 会長もこちらが本気で会長の身を心配していることぐらい分かっているだろう。


「じゃあ、なんで今、私の前でその名前を出したの?」

「まあ、自分から危険に近づかすとも向こうから近づいてくるかもしれないからな。

 もう教えとこうと思ったからだ」

「で、犬。

 これからどうする?」

「これっポッチも直す気がねえな!

 全く、ひとまず悪食とは接触しないといけないからな。

 会長は家に帰ってくれ。

 もし好奇心で動こうとしたときは出雲頼むぞ」

「え~」


 会長は不満そうに声を上げる。

 出雲から着信アリ。


『わかった。 倉石には黙っといた方がいい?』

「ああ、そうだな。

 あいつが悪食と遭うとそのまま戦闘になりかねんからな」


 どんなに無害であろうと自分の信条と相反するものがいれば敵対するのがあいつだからな。

 だからこそあだ名が、クライシスなんだ。

拙作をお読み下さりありがとうございます!

四章はこれで終わりです。

次回五章プロローグ、お姉さんお願いします!

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